http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20120515-951191.html
桜女王ジェンティル距離へ挑戦/オークス
今週は3歳牝馬日本一を決めるオークス(G1、芝2400メートル、20日=東京)が行われる。
その名の通り「貴婦人」だ。全休日の14日早朝、洗い場に出された桜花賞馬ジェンティルドンナ(石坂)は、静かにたたずんでいた。牝馬らしいテンションの高さはまるでない。たまに前かき(不満などを表すため前脚で地面をたたくこと)をすることはあっても、しずしずとした動きでかすかに音を立てる程度。ターフでのたくましい脚さばきとは正反対。「お嬢やからね」。担当の日迫助手が目を細めた。
落ち着きぶりはレースにもつながる。入厩当初は物見がきつく敏感だったが、1戦ごとに精神面の成長を見せている。「メンコを着けてからは折り合いがつくようになった」。今では乗り手の誰もが「乗りやすい」と口をそろえ、操縦性がセールスポイントになっている。未知の距離に挑む上で頼もしい材料だ。
状態も申し分ない。9日の1週前追い切りでは坂路で4ハロン51秒4-12秒2と抜群の伸びを披露。僚馬エピセアロームに2馬身差をつけた。騎乗停止の岩田騎手に代わって手綱をとる川田騎手は「動きはすごく良かったです。まだ全力で走ってないぐらい。純粋に楽しみ」と底知れぬ能力を実感した。デビューから減少が続く馬体重も中間は460キロ台半ばをキープ。日迫助手は「いい意味で変わりない。先週の時点でほぼできあがっているし、今週は調整程度になるのでは」と見通しを示す。
立ちはだかるのは血統の壁だけか。全姉ドナウブルーは先週のヴィクトリアマイル2着などマイル戦線で活躍中。母ドナブリーニは英国のスプリントG1を制し、母父ベルトリーニもダンチヒを父に持つ短距離血統で6ハロンの重賞ウイナーだ。13日の仏1000ギニー制覇など大活躍のディープインパクト産駒も、まだ1600メートル超の距離ではG1勝ちがない。“限界”を超えて史上13頭目の2冠制覇へ。気品あふれる女王が常識をもひれ伏させる。【太田尚樹】
[2012年5月15日8時53分 紙面から]
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