2012年5月22日火曜日

達成

http://kuriyama.miesque.com/?eid=257

ジェンティルドンナが牝馬二冠達成

後方を追走した△ジェンティルドンナ(3番人気)が大外をズバッと突き抜け、2着○ヴィルシーナ(2番人気)に5馬身差をつけました。タイムの2分23秒6はオークスレコード。従来の記録(07年ローブデコルテ=2分25秒3)をじつに1秒7も更新しました。
http://www.youtube.com/watch?v=FQys26UL-LA#t=21s

前半1200mの通過タイムは71秒0。オークスの歴史を振り返ると、06年に70秒5、90年に70秒7が記録されているので、過去3番目のハイペースです。06年はヤマニンファビュルが、90年はトーアルビーがいずれも単騎の大逃げで記録しているので、馬群が通常の塊のまま通過した今年は、実質的に過去最高のペースだったと考えていいでしょう。直前の東京10RフリーウェイS(1600万下・芝1400m)で1分19秒6というコースレコードが樹立されたように、超高速馬場であったことが最大の要因です。

前半でこのようなハイラップを刻みながら、後半の6ハロンのなかで最も遅いラップは12秒4。ペースにまったくゆるみがなかっただけでなく、勝ったジェンティルドンナはラスト3ハロンを34秒2でまとめています。オークスは中盤で13秒台のラップがちょろっと入って、息が入る流れになりがちなのですが、今年はそれとは違う競馬でした。

5馬身差で圧勝したジェンティルドンナは、そうしたレースに適性があったことはもちろん、絶対能力、つまり競走馬としての器が断然上でしたね。これほどの馬だったのか……と、軽い衝撃を受けました。ディープインパクト産駒にしては珍しく筋骨隆々とした馬体で、父は違いますがアヴェンチュラのような雰囲気と迫力を感じます。強烈なトモの蹴りが推進力を生み出しており、今回も坂上から独走となったとき、1頭だけ動く歩道の上を走っているかのようでした。テンションは高いけれどレースではきちんと折り合えるのがいいですね。

地脚は抜群。ただ、スパッと切れるタイプではありません。むしろ力強いスピードが持ち味で、ギアの数は少なけれどスピードの持続力に優れているというキャラクターだと思います。しかし、だからこそ、平均して速いラップが続く今回のようなレースに適性を見せたともいえます。たとえば、京都新聞杯(G2・芝2200m)を日本レコードで勝ったトーセンホマレボシは、同じディープインパクト産駒で、切れ味よりも持続力に秀でたタイプでした。レコードが出るようなレースはたいてい起伏の少ない高速ラップが続きます。こうしたレースに切れ味は必要なく、最も重要な能力はスピードの持続力です。トーセンホマレボシはその点において優れた資質を持っていました。

今回のレースでアイスフォーリスが3着に突っ込み、レコードが記録された直前のフリーウェイSではこれまでダート馬だと思われていたシンボリクリスエス産駒のミトラが勝ちました。どちらも切れ味のあるタイプではありません。この日の芝コースがどのようなものだったかが分かります。もちろん、ジェンティルドンナがジリ脚というわけではありません。どの能力も優れているのですが、本質的にはスピードの持続力が最大の長所、といったタイプだということです。前走の桜花賞もそのような能力が問われる流れでした。

母ドナブリーニは、チェヴァリーパークS(英G1・芝6f)とチェリーヒントンS(英G2・芝6f)を勝ったスピード馬。母の父 Bertolini は「Danzig×Alydar」という力強いアメリカ血統で、スピード型の名種牡馬として名高い Green Desert の4分の3同血です。現役時代はスプリント路線で活躍しました。しなやかな切れ味を伝える血ではなく、猪突猛進型です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106253/



ディープインパクトはスプリント血統との相性が良好です。スプリンターは往々にしてガッチリとした力強い体型で筋力があり、回転の速いフットワークを伝えます。小柄でしなやかでトビが大きいディープインパクトに足りない要素です。ディープは相手牝馬に備わったスプリンター的なスピードをフットワークの鋭さに転化し、自身の芝向きの優雅さを損なうことなく産駒に伝えます。ディープ自身の中距離適性と、繁殖牝馬の短距離適性が融合して、リアルインパクト、ドナウブルーのようなマイラーを誕生させました。ドナウブルーの全妹ジェンティルドンナは、心肺機能が優れており、姉よりも距離適性が長めなのでしょう。といっても、2400mがベストではなく、2000mあたりまではOKというタイプではないでしょうか。それぐらいの適性があれば、負荷が少なくスタミナを消耗しにくい現在の馬場ならハイペースであっても2400mを乗り切れるということだと思います。

同じディープインパクト産駒で先日の仏1000ギニー(G1)を勝った Beauty Parlour に、ジェンティルドンナの実力がそう劣るとも思えませんし、勝っている可能性もあると思います。夢の対決がどこかで実現しないものでしょうか。今年のセレクトセールには、ディープインパクト産駒を求めて外国人バイヤーがかなり訪れるはずです。かつてキーンランドやサラトガといったアメリカのハイクラスなセールに、ヨーロッパやアラブの富豪たちが押し寄せて、Northern Dancer 系の良血馬をどんどん落札して行ったという歴史があります。これから先、ひょっとしたらこの日本においてその光景が再現されることもありうるのではないか――とも夢想します。

2着ヴィルシーナは勝負どころから追っつけどおし。緩いペースでしか競馬をしていなかったので戸惑った部分があったと思います。それでもじりじりと伸びて2着を確保したのですから地力は高いですね。勝ち馬が強すぎたのでこの結果は仕方がないでしょう。

▲ミッドサマーフェア(1番人気)は13着。オーバーワークの懸念が現実のものになったような気がします。

◎トーセンベニザクラ(11番人気)は10着。一発があってもおかしくないのでは……と思ったのですが無理筋でしたか。結果的にハイペースに巻き込まれた形になりましたが、いったん先頭に立った津村騎手の積極性は良かったと思います。これから先のレースできっといいところを見せてくれるでしょう。

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