朝から晴れ、清々しい気候の下で行われた今年のジャパンC。好メンバーが揃っていたので、東京競馬場にも多くの人が詰め掛け熱戦が繰り広げられた。


スタートは、今回もルーラーシップが出遅れ。外国馬のジャッカルベリーもアオる感じで後方からの競馬となった。まずは、ビートブラックが最内枠を生かしてハナを切る。トーセンジョーダンが2番手につけ、直後の最内にジェンティルドンナ。その後ろにフェノーメノとソレミアが並び、エイシンフラッシュ、ローズキングダムが中団。オルフェーヴルはこの後ろにいて中団~やや後方の外めを追走していた。出遅れたルーラーシップも向正面では内めをスルスルと上がっていき、このあたりの位置取りに。ダークシャドウ、ジャガーメイル、メイショウカンパクが後方を進んだ。前半の1000メートルが60秒2。超スローペースにはならず、平均的なラップをビートブラックは刻んだ。


ただ、ビートブラックは3コーナー過ぎに石橋脩騎手の手が動き、後続との差を広げにかかる。欅の手前では、2番手のトーセンジョーダンに5~6馬身ほどリードを取り、早めのスパートを開始。そのあたりから、オルフェーヴルも馬群の外を進出してきて、4コーナーではソレミアと並ぶ形で3、4番手集団にまで押し上げて直線に向いた。


やや内に切れ込みながらオルフェーヴルが伸びてきて、ビートブラックを捉えにかかる。ただ、そこで内々のラチ沿いを進んできたジェンティルドンナも伸びてきた。前のビートブラックを避ける形でジェンティルドンナは外に出したが、そこでオルフェーヴルと接触。それでも、ジェンティルドンナ=岩田騎手が激しく追う。対するオルフェーヴル=池添騎手も何とか体勢を立て直し必死にムチを入れる。残り100メートル、2頭の激しい叩き合いが続き、先に前に出たジェンティルドンナが、そのままオルフェーヴルの追撃を振り切り、ハナ差で勝利となった。オルフェーヴルは悔いの残る2着に終わった。


パトロールビデオを見てもわかるが、明らかに岩田騎手は強引に外に出していった。馬体も完全に接触しており、一歩間違えば落馬の危険もあったほど。20分以上の長い審議の末、結果は「着順は入れ替わらないが、危険な騎乗だったので岩田騎手は2日間の騎乗停止」という、最も意味のわからない制裁。池添騎手が「納得のいかない判定」とコメントしていたのも、当然だろう。バランスを崩してから追い直したわけだし、着差がハナ差。悔しさはハンパなものではないだろう。…まぁ、脚色から、ジェンティルドンナも並んだら交わさせない感じだったので、あの斜行がなくても着順は変わらなかったかもしれない。しかし、明らかに妨害があったのは確か。ちょっと、後味の悪い結果となってしまった。


それでも、ジャパンCの歴史で、3歳の牝馬が勝ったのは初めて。史上4頭目の「牝馬三冠」を達成したジェンティルドンナだったが、また新たな歴史の1ページを書き加えたことになる。この「実力」は、評価できると思う。当日はマイナス14キロの馬体重でも細くは見えなかったが、秋華賞で見せたときのような迫力は正直感じなかった。それでの勝利なのだから恐れ入る。年内は休養して、来年は海外競馬を視野に入れているとの話だが、マイルから2400メートルまでこなせるスピードと持久力は、底が知れないものがある。もしかしたら、来年の凱旋門賞で再度オルフェーヴルと再び対決、ということも十分ありそうだ。世代や性別の壁を越えて、どこまでも突き進んでいってもらいたい。


オルフェーヴルは、ほぼ完璧な競馬をしながら2着。大外の8枠17番という不利でも、折り合いはついていたし3~4コーナーで差を詰めていったのも正解。ぶつけられる不利も跳ね返したのだから、一番強い競馬をしたのはオルフェーヴルだろう。凱旋門賞のときも、そうだった。ちょっと、運には見放されているが、海外帰りでも馬体重は宝塚記念時よりプラス2キロの458キロでの出走。二人引きでクビをグッと下げ気合が乗っていたし、状態面での不安はまったく感じなかった。まだ馬体も若く、来年以降も活躍は期待できる馬。まずは今年の有馬記念で、この鬱憤を晴らしてもらいたい。


3着以下には触れていなかったが、3着には出遅れて直線でもお大外を通ってきたルーラーシップ。天皇賞・秋でも出遅れ、直線大外に持ち出し上がり3ハロンがメンバー最速(32秒7)。レース振りは、前走時とまったくといっていいほど同じだった。ただ、マイナス8キロと馬体はキッチリ絞れており、キビキビと歩き気合も現れていた。しかし、以前はゲート難もなかったが、ここ2戦がちょっと目につくことはつく。有馬記念に出走予定とのことだが、中山の2500メートルはトリッキーで直線だけの競馬だと好走するのが難しいコース形態。一定以上の評価は、しないつもりだ。


4着にはダークシャドウが入った。道中は後方から進み、4コーナーで大外。ルーラーシップと馬体を併せるように伸びてきた。ルーラーシップにはアタマ差届かず、1・2着には2馬身半差。「レース展望」でも触れたが、このあたりのメンバーに入るとややパンチ不足の感もある。GⅡレベルなら、2つ3つは獲れると思うが…。


5着にはフェノーメノが入線。道中は好位から、直線でもいい手応えできたと思ったが、追い出してもグングンとは伸びてこなかった。パドックではいつもより少しイレ込んでおり、蛯名騎手によれば「1コーナーで他馬(スリプトラ)と接触してハミを噛んでしまった」とのことだが、この「ちょっとした力のロス」が最後の叩き合いに出たように思う。ただ、まだ3歳馬。今後の伸びしろに期待したい。


ちなみに、外国勢はレッドガドーの8着が最高で凱旋門賞馬のソレミアは13着。近年は一流馬の参戦がなく、日本馬同士で上位を争っているのが実情でもある。今年で32回目となったジャパンCだが、何らかの「転換期」を迎えているのかもしれない。


さて、今週はジャパンCダート。こちらは3年連続で外国馬の出走がなく、過去12年で外国馬の優勝馬ですら1頭という状況。ジャパンCより、もっと見直しが必要(時期や開催場所など)だと思われるが、日本馬のラインナップは豪勢。佐藤哲騎手の落馬、岩田騎手の騎乗停止でエスポワールシチー、ローマンレジェンドの鞍上が替わるのは残念だが、それでもレースはハイレベルになるだろう。今のところ、本命候補はこの馬。

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まだ時間はあるので、レースを見直し週末の予想に備えたいと思う。


…あ、あと「WIN5」もキャリーオーバーが発生して配当が「割り増し」されるので、こちらの予想にも力を入れたい。