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ジェンティル代打・川田で2冠/オークス
<オークス>◇20日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳牝◇出走18頭
やっぱり桜花賞馬は強かった! 3番人気のジェンティルドンナ(石坂)が豪快な差し切り勝ちを決めた。勝ち時計はオークスレコードの2分23秒6という驚異的なもの。5馬身差の圧勝劇で史上13頭目の2冠制覇を達成。主戦岩田騎手の騎乗停止で手綱が回ってきた川田将雅騎手(26)の冷静な手綱さばきも光った。10年アパパネ以来となる史上4頭目の3冠を目指すヒロインがまた誕生した。一方、佐々木主浩オーナーのヴィルシーナ(友道)は桜花賞に続き2着に敗れた。
無我夢中だった。残り200メートルを切ってジェンティルドンナはヴィルシーナを抜き去り、独走状態に入った。1馬身、2馬身…。差はどんどん広がる。当然、川田騎手はそれに気付いていたが、なお手綱を動かし続けた。「突き放しているのは分かっていたが、追うのをやめられなかった」。勝たせたい一心でゴールへ一直線。勝ち時計は何と2分23秒6のレースレコードだ。ディープインパクトのダービーが2分23秒3だから、馬場状態の違いはあるとはいえ、すごさが分かる。5馬身の差で史上13頭目の2冠馬が誕生した。
殊勲の川田は顔を高揚させ、ふうっとひと息つき喜びを口にした。「強い馬に乗せていただき、結果を出せてホッとしています」。主戦の岩田騎手の騎乗停止により回ってきたバトン。安堵(あんど)の表情が乗り替わりによる緊張感を想像させた。スタートを五分に出て後方外めに位置。「ヴィルシーナとミッドサマーの2頭を気にしていた。直線はミッドが動いてから追い出そうと思った」。桜花賞馬ながら3番人気の評価を受けたことについて「僕が信頼されていない証しだと思う」と振り返ったが、岩田騎手のアドバイスもあり、冷静な手綱さばきで大役を果たした。桜花賞とオークスを異なる騎手で制したのは、実に52年スウヰイスー以来60年ぶりだ。
陣営は勝ってかぶとの緒を締めた。ジェンティルは繊細で音に敏感。デビュー当初から調教中に急に横っ跳びするようなことがたびたびあった。そこで、シンザン記念で重賞初制覇を達成した後からメンコを着用。日迫助手は「着けるのをギリギリまで我慢していたが、着けてからだいぶ落ち着いた」と振り返る。能力を高い次元で発揮する術を追求し続けた。今回もスタンド前発走に備え、メンコを二重に。ファンファーレが鳴り終わるとオークス仕様の赤いメンコを外してゲート入りさせた。
順調にいけば、秋には史上4頭目の牝馬3冠を目指すことになる。「あとは岩田さんに。もし僕が他の馬に乗って参戦していれば全力で負かしにいかなければと思うし、乗っていなければ全力で応援したい」。今週のダービーにはゼロスで挑戦する川田。最高の結果を導き出した鞍上と圧倒的なパフォーマンスを見せたジェンティルドンナの今後から目が離せない。【和田美保】
◆川田将雅(かわだ・ゆうが)1985年(昭60)10月15日、佐賀県生まれ。父をはじめ、親族が調教師、騎手という競馬一族で育つ。04年に安田厩舎からデビュー。06年小倉大賞典でメジロマイヤーに騎乗し、重賞初制覇を飾る。JRA通算5178戦545勝。G1勝利は08年皐月賞(キャプテントゥーレ)、10年菊花賞(ビッグウィーク)に続く3勝目となった。
[2012年5月21日9時14分 紙面から]
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