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ジャパンC
2012年11月26日(月)18時00分
- 注目数:42人
直線の坂上、逃げ粘るビートブラックを交わそうとしたオルフェーヴル。その2頭のあいだの狭いスペースにねじ込むように入ったジェンティルドンナ。2頭はぶつかった。そのあとも2頭は再三接触し合いながら、激しい競り合いはゴールまで続き、わずかに先着したのは3歳牝馬のジェンティルドンナ。激しいマッチレースが展開された。
降着制度は、2013年1月1日からルールを見直し、新しい「降着ルール」を取り入れることが決まっている。ちょうどその過渡期に発生した、きわめて難しい判断を求められる審議だった。確定までに約20分もの時間がかかっている。
新しい降着制度のもっとも重要な変更部分は、「その走行妨害がなければ、被害馬は加害馬に先着していたかどうか」である。現行の降着ルールでこれに該当する部分は、「その走行妨害が、被害馬の競走能力発揮に重大な影響を与えたかどうか」である。
まだ、新降着制度が導入されているわけではない。新降着制度が導入されてからでも、今回のジェンティルドンナとオルフェーヴルの接触は、もちろん意見や見解が分かれることになる。わたしは、「あの接触がなければ、オルフェーヴルのほうがジェンティルドンナに先着していた」とは思わないから、降着ルールは適用されないと考える。あくまで裁決委員になったつもりの個人的見解である。いろんな記者と考えを述べあったが、新ルールでは、あれは降着にはならないだろうとする見解のほうが圧倒的に多かった。
新ルールの意味するもっとも重要な部分は、多くの人びとが納得して受け入れようとしている「競走で示された結果を尊重し、なおかつそれは、絶対の真理や正義を伴うような降着制度などありえないが、馬券を買って参加した人びとに不条理な迷惑をかけないルールに近いのではないか」という点である。
しかし、過渡期とはいえ、現在は現行の降着ルールに沿わなければならない。でも新ルールの趣旨が理解を深めているときだけに、今回の判定は難しかった面があるのだろう。もう意識は先行しているファンや関係者に納得してもらうという意味で…。現行ルールに法って考えるとき、今回のジェンティルドンナ(岩田騎手)とオルフェーヴル(池添騎手)の接触は、「ジェンティルドンナ(岩田騎手)は、池添騎手の乗ったオルフェーヴルの全能力発揮に重大な影響を与えたか、どうか」である。
ビートブラックが、自身にとっては絶妙のペース「前後半バランス、1分12秒3-1分10秒8」で逃げて粘っていた。直線、これを追走していたトーセンジョーダンの動きが怪しくなった。外から接近してきたオルフェーヴルはトーセンジョーダンの前に出ながら進路を内に変更し、ささりながらビートブラックの方へ寄って行った。この印象が悪すぎた。結果として、ジェンティルドンナの進路を締めたわけではないが、限定するような動きになった。そのときイン狙いに徹して差を詰めていたジェンティルドンナは、オルフェーヴルがビートブラックに寄ってきているから、さらに2頭の内を衝くことができた気もするが、判断は一瞬のこと、ビートブラックとオルフェーヴルのあいだにスペースを作るように、外へ斜行して突っ込んだ。結果、オルフェーヴルを弾く形になった。
ジェンティルドンナの岩田騎手は、やっぱり危険な騎乗である。先週のサダムパテック(武豊騎手)の進路の取り方が危険度「4」くらいとしたら、10月28日の2歳新馬ソロル(スミヨン騎手)の危険度は「6」くらい。結果、相手がひるみすぎて減速してしまったから降着。今回のジェンティルドンナ(岩田騎手)の進路の取り方も危険度「6」くらいだろう。オルフェーヴルは古馬の牡馬だから、寄られてぶつけられたが瞬時に立ち直っている。ちょっとぶつけられて「あれが原因で負けました」では、オルフェーヴルは王者ではなくなってしまいかねない。
接触のあとも互いに馬体を接したジェンティルドンナとオルフェーヴルは、再三の接触を繰り返しながら約200m競り合った。ジェンティルドンナの岩田騎手は体を躍らせながら再三左ムチを乱打した。その内はもうラチである。オルフェーヴルの池添騎手は、ゴールまで懸命に押し続けた。左ムチを使うスペースはない。しかし、右ムチを強打したなら、おそらくオルフェーヴルはもっと内によれ、だれも想像したくない「悲惨な事態」が発生していたことだろう。池添騎手はきわめて立派だった。もう、我を忘れて…の、トールポピーのころの池添謙一騎手ではなかった。でも、オルフェーヴルは、3歳牝馬ジェンティルドンナに競り負けてしまったのである。目にみえない疲れもあったろう。
「ジェンティルドンナ(岩田騎手)は、オルフェーヴル(池添騎手)の競走能力発揮に重大な影響を与えたか」である。当然、強引な危ない騎乗で、影響は重大だったとする見解も生じた。一方で、もともと締めるように進路を変えていたのはオルフェーヴルであり、狭いスペースを強引に狙った岩田騎手には(のちに)ペナルティーが科せられるのは当然だが、降着に相当するほどオルフェーヴルに重大な影響を与えたわけでない。岩田騎手はその騎乗に制裁を受けても、ジェンティルドンナは降着ではないとする見解があり、結果、「降着処分はない」となったのである。
しかし、20分も時間を要するのは問題が大きすぎる。以前にも再三どころか幾たびも各所で指摘されたように、いったいなにを検証し、なにを話し合っていたのだろう。これでは審議ではなく、関係者の話を聴いての相談になってしまったのである。
「岩田騎手に危険な騎乗がありました。よって岩田騎手にはのちほどペナルティーが科されます。しかし、ジェンティルドンナのオルフェーヴルに与えた走行妨害の程度は、降着に相当するほど重大なものではありません。したがって、入線順位通りに確定します」。
5分後、せめて10分後くらいにファンにアナウンスできなければ、新降着制度はもっと情況判断が難しいから、そのときの関係者や裁決委員のムードしだいに陥りかねない。ひどく、心配である。「不利がなければ先着できたか」と尋ねれたら、オーナーや調教師の手前もある。多くの騎手が「もちろんですとも…」だってありえる。
ジェンティルドンナも、オルフェーヴルも素晴らしいレースを繰り広げた。ルーラーシップは、また今回も行き脚がつかず、不本意だったろう。4着ダークシャドウは注文がハマらなかった。5着フェノーメノは結局、疲れていて若かった。エイシンフラッシュは、坂下まで楽だったが、正攻法のレースをするとどうもスタミナが続かない。
降着制度は、2013年1月1日からルールを見直し、新しい「降着ルール」を取り入れることが決まっている。ちょうどその過渡期に発生した、きわめて難しい判断を求められる審議だった。確定までに約20分もの時間がかかっている。
新しい降着制度のもっとも重要な変更部分は、「その走行妨害がなければ、被害馬は加害馬に先着していたかどうか」である。現行の降着ルールでこれに該当する部分は、「その走行妨害が、被害馬の競走能力発揮に重大な影響を与えたかどうか」である。
まだ、新降着制度が導入されているわけではない。新降着制度が導入されてからでも、今回のジェンティルドンナとオルフェーヴルの接触は、もちろん意見や見解が分かれることになる。わたしは、「あの接触がなければ、オルフェーヴルのほうがジェンティルドンナに先着していた」とは思わないから、降着ルールは適用されないと考える。あくまで裁決委員になったつもりの個人的見解である。いろんな記者と考えを述べあったが、新ルールでは、あれは降着にはならないだろうとする見解のほうが圧倒的に多かった。
新ルールの意味するもっとも重要な部分は、多くの人びとが納得して受け入れようとしている「競走で示された結果を尊重し、なおかつそれは、絶対の真理や正義を伴うような降着制度などありえないが、馬券を買って参加した人びとに不条理な迷惑をかけないルールに近いのではないか」という点である。
しかし、過渡期とはいえ、現在は現行の降着ルールに沿わなければならない。でも新ルールの趣旨が理解を深めているときだけに、今回の判定は難しかった面があるのだろう。もう意識は先行しているファンや関係者に納得してもらうという意味で…。現行ルールに法って考えるとき、今回のジェンティルドンナ(岩田騎手)とオルフェーヴル(池添騎手)の接触は、「ジェンティルドンナ(岩田騎手)は、池添騎手の乗ったオルフェーヴルの全能力発揮に重大な影響を与えたか、どうか」である。
ビートブラックが、自身にとっては絶妙のペース「前後半バランス、1分12秒3-1分10秒8」で逃げて粘っていた。直線、これを追走していたトーセンジョーダンの動きが怪しくなった。外から接近してきたオルフェーヴルはトーセンジョーダンの前に出ながら進路を内に変更し、ささりながらビートブラックの方へ寄って行った。この印象が悪すぎた。結果として、ジェンティルドンナの進路を締めたわけではないが、限定するような動きになった。そのときイン狙いに徹して差を詰めていたジェンティルドンナは、オルフェーヴルがビートブラックに寄ってきているから、さらに2頭の内を衝くことができた気もするが、判断は一瞬のこと、ビートブラックとオルフェーヴルのあいだにスペースを作るように、外へ斜行して突っ込んだ。結果、オルフェーヴルを弾く形になった。
ジェンティルドンナの岩田騎手は、やっぱり危険な騎乗である。先週のサダムパテック(武豊騎手)の進路の取り方が危険度「4」くらいとしたら、10月28日の2歳新馬ソロル(スミヨン騎手)の危険度は「6」くらい。結果、相手がひるみすぎて減速してしまったから降着。今回のジェンティルドンナ(岩田騎手)の進路の取り方も危険度「6」くらいだろう。オルフェーヴルは古馬の牡馬だから、寄られてぶつけられたが瞬時に立ち直っている。ちょっとぶつけられて「あれが原因で負けました」では、オルフェーヴルは王者ではなくなってしまいかねない。
接触のあとも互いに馬体を接したジェンティルドンナとオルフェーヴルは、再三の接触を繰り返しながら約200m競り合った。ジェンティルドンナの岩田騎手は体を躍らせながら再三左ムチを乱打した。その内はもうラチである。オルフェーヴルの池添騎手は、ゴールまで懸命に押し続けた。左ムチを使うスペースはない。しかし、右ムチを強打したなら、おそらくオルフェーヴルはもっと内によれ、だれも想像したくない「悲惨な事態」が発生していたことだろう。池添騎手はきわめて立派だった。もう、我を忘れて…の、トールポピーのころの池添謙一騎手ではなかった。でも、オルフェーヴルは、3歳牝馬ジェンティルドンナに競り負けてしまったのである。目にみえない疲れもあったろう。
「ジェンティルドンナ(岩田騎手)は、オルフェーヴル(池添騎手)の競走能力発揮に重大な影響を与えたか」である。当然、強引な危ない騎乗で、影響は重大だったとする見解も生じた。一方で、もともと締めるように進路を変えていたのはオルフェーヴルであり、狭いスペースを強引に狙った岩田騎手には(のちに)ペナルティーが科せられるのは当然だが、降着に相当するほどオルフェーヴルに重大な影響を与えたわけでない。岩田騎手はその騎乗に制裁を受けても、ジェンティルドンナは降着ではないとする見解があり、結果、「降着処分はない」となったのである。
しかし、20分も時間を要するのは問題が大きすぎる。以前にも再三どころか幾たびも各所で指摘されたように、いったいなにを検証し、なにを話し合っていたのだろう。これでは審議ではなく、関係者の話を聴いての相談になってしまったのである。
「岩田騎手に危険な騎乗がありました。よって岩田騎手にはのちほどペナルティーが科されます。しかし、ジェンティルドンナのオルフェーヴルに与えた走行妨害の程度は、降着に相当するほど重大なものではありません。したがって、入線順位通りに確定します」。
5分後、せめて10分後くらいにファンにアナウンスできなければ、新降着制度はもっと情況判断が難しいから、そのときの関係者や裁決委員のムードしだいに陥りかねない。ひどく、心配である。「不利がなければ先着できたか」と尋ねれたら、オーナーや調教師の手前もある。多くの騎手が「もちろんですとも…」だってありえる。
ジェンティルドンナも、オルフェーヴルも素晴らしいレースを繰り広げた。ルーラーシップは、また今回も行き脚がつかず、不本意だったろう。4着ダークシャドウは注文がハマらなかった。5着フェノーメノは結局、疲れていて若かった。エイシンフラッシュは、坂下まで楽だったが、正攻法のレースをするとどうもスタミナが続かない。
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