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2着オルフェの“最強馬”揺るがず
11/26(月)発行 東京スポーツ掲載「私たちはこう見た 柏木集保&渡辺薫」
- 東スポWeb -
<ジャパンカップ>
渡辺:残り200メートルを切ってからはまさに“ガチンコ”のマッチレース。お互いがお互いの強さを引き立てる迫力ある叩き合いだった。こういうレースなら11万人を超える観客も満足して帰ったことだろう。
柏木:少々強引にジェンティルドンナが割って入ってぶつかっていましたが勝負事ですし、仕方がないレベルと見ました。数字うんぬん以上に全体のレベルが高かったレースと言っていいでしょう。
渡辺:勝ったジェンティルドンナは3歳牝馬として初のJC制覇。あのウオッカでも4着止まりだったのだからまさに“女傑”だ。軽量の53キロを差し引いても持ち前の勝負根性は特筆ものだ。
柏木:馬の強さもさることながら岩田クンの騎乗も光りました。スタートから一番うまく流れに乗ったのがこのコンビでした。特に後続勢がマクリ気味に外を回った3~4角でジッとインで我慢した場面は好プレーでしょう。
渡辺:本人もインタビューで語っていたが、前日からのイン有利の馬場を読んで、かつ53キロを生かす積極策が功を奏した。対照的にオルフェーヴルは外を回ったことが最後に響いたし展開的にも前にいた方が有利だった。評価が下がる内容ではないし、むしろ、現役最強馬であることを改めてアピールしたんじゃないか。
柏木:はい。凱旋門賞後という難しい臨戦過程でもありますし、“荒っぽい”レースでなくとも結果を残しました。勝ち馬もそうですが、2分23秒1で走って上がりも32秒台ですから実力は十分に誇示しました。
渡辺:2頭が別格だったのですっかりかすんでしまったが3、4着馬の走破タイムも例年ならば勝ち馬レベルだ。もったいなかったのがルーラーシップ。今回も痛恨の出遅れで後手後手の競馬、こうなると外を回らざるを得ない。
柏木:ルーラーシップにこそジェンティルドンナのレース運びをしてもらいたかったんですけど…。上位4頭から少し水をあけられたのがフェノーメノです。1週前追い切りあたりがピークだったのでしょうか? 今日は覇気がなく映りました。こなしてもらいたかったのですが、3歳馬が天皇賞でメイチに仕上げた後ではお釣りがなくても仕方がありません。
渡辺:そのフェノーメノと同じような位置にいたのがエイシンフラッシュ。ところが坂上から置かれて9着止まりだった。何とも走りごろが難しいタイプだ。
柏木:11頭が34秒を切る上がりを使いました。みんなが同じ脚を使えるような展開は向いていないですね。
渡辺:凱旋門賞馬のソレミアもこういう馬場、展開が合わないタイプなのは確かだ。それにしてもオルフェーヴルを負かした馬にしては見せ場がなかった。他の外国馬はネームバリューからして走る前から日本馬に負けていた。
柏木:ええ、ソレミアを除けば十数年前なら招待されるレベルの馬ではありません。アメリカのブリーダーズカップ、香港国際競走と競合する時期でもありますし、このままでは同じような色彩のメンバーが続きかねません。思い切って、1着賞金を5億円に上げるくらいの改革が必要でしょう。
<京阪杯>
渡辺:ハクサンムーンのアッと驚く逃走劇だったが、先行争いはもっと激しくなると思ってた。
柏木:終わってみれば前34秒3→後34秒2の落ち着いた流れ。一気に行くハクサンにしてみればこれ以上ない絶好の展開になりました。
渡辺:枠順の利を最大限に生かし切った印象だ。
柏木:前走が3ハロン通過33秒1で競り合って15着でしたが、こういう強烈な個性を持っている馬は怖い存在ですね。競馬の原点をしみじみと思い出させられました。
渡辺:逆に、サドンストームや俺が期待したエーシンホワイティは自分で競馬を作れない弱みが出てしまった。
柏木:同感。ただ、このあたりの千二路線は流れひとつで着順が変わる顔触れです。
渡辺:ほかの負け組で注目すべきはアドマイヤセプター、ハナズゴールあたりかな。特にアドマイヤは短距離路線に切り替えて力を発揮。血統通りの素質が徐々に開花しつつある。
柏木:その通りなんですが、何度ビデオを見てもまだ本気で走ってない印象を受けます。表現が難しいんですが、本質的に短距離の追い込み馬のフットワークではないように映るんです。だから、本来はスプリント路線ではない気も…。精神面の成長があれば違う姿が見られるかもしれません。
渡辺:ハナズゴールは体が戻って5着健闘。前半で流れに逆らうタイプだから仕方ないか。
柏木:僕は大きく見直しました。自身の3ハロン通過35秒0の時点で勝負圏外なんですが、初の千二で1分08秒台走破は立派な内容。これもこの路線の馬ではないですけど、非凡な能力を示したと言えます。
渡辺:つまり、柏木君の見解は千二重賞でありながら、他路線で活躍できる馬に見どころがあったということか。
柏木:そうなんです。ある意味、珍しい重賞だったと思います。
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<ジャパンカップ>
渡辺:残り200メートルを切ってからはまさに“ガチンコ”のマッチレース。お互いがお互いの強さを引き立てる迫力ある叩き合いだった。こういうレースなら11万人を超える観客も満足して帰ったことだろう。
柏木:少々強引にジェンティルドンナが割って入ってぶつかっていましたが勝負事ですし、仕方がないレベルと見ました。数字うんぬん以上に全体のレベルが高かったレースと言っていいでしょう。
渡辺:勝ったジェンティルドンナは3歳牝馬として初のJC制覇。あのウオッカでも4着止まりだったのだからまさに“女傑”だ。軽量の53キロを差し引いても持ち前の勝負根性は特筆ものだ。
柏木:馬の強さもさることながら岩田クンの騎乗も光りました。スタートから一番うまく流れに乗ったのがこのコンビでした。特に後続勢がマクリ気味に外を回った3~4角でジッとインで我慢した場面は好プレーでしょう。
渡辺:本人もインタビューで語っていたが、前日からのイン有利の馬場を読んで、かつ53キロを生かす積極策が功を奏した。対照的にオルフェーヴルは外を回ったことが最後に響いたし展開的にも前にいた方が有利だった。評価が下がる内容ではないし、むしろ、現役最強馬であることを改めてアピールしたんじゃないか。
柏木:はい。凱旋門賞後という難しい臨戦過程でもありますし、“荒っぽい”レースでなくとも結果を残しました。勝ち馬もそうですが、2分23秒1で走って上がりも32秒台ですから実力は十分に誇示しました。
渡辺:2頭が別格だったのですっかりかすんでしまったが3、4着馬の走破タイムも例年ならば勝ち馬レベルだ。もったいなかったのがルーラーシップ。今回も痛恨の出遅れで後手後手の競馬、こうなると外を回らざるを得ない。
柏木:ルーラーシップにこそジェンティルドンナのレース運びをしてもらいたかったんですけど…。上位4頭から少し水をあけられたのがフェノーメノです。1週前追い切りあたりがピークだったのでしょうか? 今日は覇気がなく映りました。こなしてもらいたかったのですが、3歳馬が天皇賞でメイチに仕上げた後ではお釣りがなくても仕方がありません。
渡辺:そのフェノーメノと同じような位置にいたのがエイシンフラッシュ。ところが坂上から置かれて9着止まりだった。何とも走りごろが難しいタイプだ。
柏木:11頭が34秒を切る上がりを使いました。みんなが同じ脚を使えるような展開は向いていないですね。
渡辺:凱旋門賞馬のソレミアもこういう馬場、展開が合わないタイプなのは確かだ。それにしてもオルフェーヴルを負かした馬にしては見せ場がなかった。他の外国馬はネームバリューからして走る前から日本馬に負けていた。
柏木:ええ、ソレミアを除けば十数年前なら招待されるレベルの馬ではありません。アメリカのブリーダーズカップ、香港国際競走と競合する時期でもありますし、このままでは同じような色彩のメンバーが続きかねません。思い切って、1着賞金を5億円に上げるくらいの改革が必要でしょう。
<京阪杯>
渡辺:ハクサンムーンのアッと驚く逃走劇だったが、先行争いはもっと激しくなると思ってた。
柏木:終わってみれば前34秒3→後34秒2の落ち着いた流れ。一気に行くハクサンにしてみればこれ以上ない絶好の展開になりました。
渡辺:枠順の利を最大限に生かし切った印象だ。
柏木:前走が3ハロン通過33秒1で競り合って15着でしたが、こういう強烈な個性を持っている馬は怖い存在ですね。競馬の原点をしみじみと思い出させられました。
渡辺:逆に、サドンストームや俺が期待したエーシンホワイティは自分で競馬を作れない弱みが出てしまった。
柏木:同感。ただ、このあたりの千二路線は流れひとつで着順が変わる顔触れです。
渡辺:ほかの負け組で注目すべきはアドマイヤセプター、ハナズゴールあたりかな。特にアドマイヤは短距離路線に切り替えて力を発揮。血統通りの素質が徐々に開花しつつある。
柏木:その通りなんですが、何度ビデオを見てもまだ本気で走ってない印象を受けます。表現が難しいんですが、本質的に短距離の追い込み馬のフットワークではないように映るんです。だから、本来はスプリント路線ではない気も…。精神面の成長があれば違う姿が見られるかもしれません。
渡辺:ハナズゴールは体が戻って5着健闘。前半で流れに逆らうタイプだから仕方ないか。
柏木:僕は大きく見直しました。自身の3ハロン通過35秒0の時点で勝負圏外なんですが、初の千二で1分08秒台走破は立派な内容。これもこの路線の馬ではないですけど、非凡な能力を示したと言えます。
渡辺:つまり、柏木君の見解は千二重賞でありながら、他路線で活躍できる馬に見どころがあったということか。
柏木:そうなんです。ある意味、珍しい重賞だったと思います。
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