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【ジャパンC】馬体激突!ジェンティル4冠(1/3ページ)
第32回ジャパンC(25日、東京11R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝2400メートル、1着本賞金2億5000万円=出走17頭)史上に残る名勝負だ。今年最多の11万7776人の大観衆が見守る中、人気を集めた牡牝の3冠馬が手に汗握る大接戦を演じた。最後は今年の3冠牝馬ジェンティルドンナ(栗東・石坂正厩舎、牝3歳)が、昨年の牡馬クラシック3冠馬オルフェーヴルをハナ差退けてGI4勝目をあげた。日本最強馬を破ったジェンティルドンナは来年、世界制覇を目指して海外に挑戦する。
残り200メートルで馬体がぶつかった瞬間、2頭の3冠馬の意地と闘争心に火がついた。ジェンティルドンナとオルフェーヴル。3冠牝馬が見つけたビクトリーロードを先輩3冠馬は簡単に譲らない。馬体を並べて、内から外、そして内へ。格闘技さながらの追い比べは3度激突。そのままゴールに流れ込み、審議と写真判定に持ち込まれた。
固唾をのんでファンが見守る中、20分後に掲示板の頂上に輝いた数字は“15”。日本の競馬史上初の牡馬と牝馬の3冠馬対決、歴史に残る直線の攻防は3歳牝馬ジェンティルドンナに凱歌(がいか)が上がった。
「初めて彼女の本気を見せてもらった気がします。すごい馬です。ブエナビスタもウオッカもすごい牝馬だったけど、それ以上に走ってほしいし、超えてほしい」
ジャパンカップ史上初の3歳牝馬の勝利。現役最強の座をオルフェーヴルから奪い取り、自身も騎手として初のジャパンC連覇を果たした岩田康誠騎手は、過去に自分が手綱を取った名牝を引き合いに愛馬を称賛した。
外めの〔8〕枠(15)番スタートだったが、「芝の内は馬場がいい」と判断し、スタートしてすぐに好位の内に誘導。「オルフェという怪物と戦うのでいろいろと考えたが、やっぱりオルフェ抜きに考えてジェンティルのベストパフォーマンスを見せよう」と腹をくくり、絶好の手応えで直線へ。残り200メートルでオルフェを外にはじき飛ばす。牡馬相手でもひるむどころか、再び勝負根性を発揮した。
「もっとちゃんとエスコートしてあげたかった…。後味の悪いレースをして申し訳ないです」
2日間の騎乗停止処分を受け反省しきりだが、「3歳牝馬がJCを勝ったということをほめてあげてください」と、制裁で勝利の価値が下がることはないと強調した。
オルフェを破って日本最強の座に就いた若き女王の次なる目標は世界制覇。岩田は「海外に挑戦して勝ち負けを意識できる馬だし、まだ3歳馬。来年はもっと新しいジェンティルで挑戦してみたい」と世界を意識する。海外初戦には、ブエナビスタが4歳時に挑戦して2着のドバイシーマクラシック(ドバイ、3月)などが有力視される。
有馬記念には出走しないが、牝馬初の年間GI4勝を達成して年度代表馬争いは一歩抜け出した。来年はジェンティルドンナが日本最強の看板を背に世界を暴れ回る。 (柴田章利)
◆GI年間最多タイ6勝
ジャパンCの勝利で岩田騎手は今年、フェブラリーS(テスタマッタ)、桜花賞、秋華賞(ジェンティルドンナ)、ダービー(ディープブリランテ)、スプリンターズS(ロードカナロア)とJRA・GI6勝目となった。これは騎手の年間JRA・GI勝利最多タイ。ほかに武豊騎手(2005、06年)、安藤勝己騎手(07年)、池添謙一騎手(11年)がおり、新記録達成もありそうだ。
◆’08オークス降着なしも池添斜行で騎乗停止
今回と似た、GIで1着馬が審議の対象となり降着せずに騎手が騎乗停止となったケースに、2008年オークスがある。勝ったトールポピー(池添謙一騎乗)が直線で斜行し審議となった。被害を受けた馬は4頭いたが、JRAは着順を変更するに至らないと判断。到達順位の通りに確定したが、「継続的で修正動作のない内斜行は危険」とされ、池添騎手に2日間の騎乗停止となった。
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