2012年11月30日金曜日

馬同

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三冠馬同士の一騎打ちを振り返って

 オルフェーヴルがまた敗れた。3歳牝馬ジェンティルドンナとの叩き合いで鼻差。ラスト1F地点でジェンティルドンナが狭いビートブラックとオルフェの間に強引に入ったため、モロにオルフェが外へ弾かれる不利。

 レース後に池添や関係者も怒り心頭だったようだが、パトロールで見ると確かにかなりの不利には映る。2、3度体が接して外へオルフェが飛ばされ、岩田はラフプレーで今週は騎乗停止のペナルティ。馬は無罪、人は有罪。このジャッジは何度も見ているが、先々週のGIマイルCSも直線でぶつけられた馬、弾かれた馬が続出。馬もジョッキーも必死の攻防の中、しょっちゅう起こり得るアクシデント。これという妙案がない現状、入線順位どおり、を選択するしかないようだ。

 このJCはブエナビスタが1着入線していながら、斜行により被害馬で2着入線ローズキングダムと降着により入れ替わった例もあり、池添にしてみれば「わずか鼻差」を言いたかったのだろう。この鼻差ならワンツーは逆でもいいのでは、の思いだ。ブエナビスタとジェンティルドンナを比べると、どちらがひどいとも言い難いラフプレーだが、私ならどちらも入線順のジャッジだ。

 ブエナの場合は脚勢と着差で圧倒していたし、あの不利を受けていなければローズキングダムがブエナを負かしていた、と考えるのはどだいムリ。当時の降着(スミヨン騎手)は諦めきれない心境だったに違いない。

 一方、今回だが確かにオルフェーヴルは一瞬体が浮くようなシーンもあったし、馬もひるんだ。しかし、まるまる1F分もの間、内の牝馬を競り落とせず押し切られたのは見方によっては不満。見た目、やはりピカピカで絶好調に映った凱旋門賞時をピークとすれば9分がいいところだったか。ジェンティルドンナは9分では負かせない女傑だったということだろう。

 1Fびっしり叩き合ったのは事実だし、態勢有利なはずの外オルフェーヴルを考えるとジェンティルが想定以上の走りで恐るべき能力を秘めていたことにもなる。

 レースラップも優秀。前5F60秒2→6F1分12秒3。対する後6F1分10秒8→5F58秒6と前後比でいえばスロー気味だが、4F目の12秒3が最もスロー。それ以外は全て12秒1以内。ラスト4Fの刻み方も11秒9→11秒7→11秒5→11秒5。やや緩めの前半は中団後ろ目を追走して3~4角進出。4角では2番手まで余裕で上がってきたオルフェーヴルは長い直線で再び加速して、内目で脚をタメたジェンティルドンナとの死闘へとシフトするわけだが、3着ルーラーシップ以下が離されたように、さすがに最強に恥じないレースをしている。

 ちょっと運がなかった、と思うしかあるまい…。オルフェーヴルがあれほど叩き合うシーン自体、ほとんど見た事がないのだから、3冠牝馬ジェンティルドンナは強かった。若干、後味の悪さのあったJCながら、レースは面白かったし、JCの売り上げが前年比109.6%ならまずは大成功。話題性が豊富でなければレースは盛り上がらない。

 今回は凱旋門賞帰りの日本最強馬、その最強馬を負かした凱旋門賞馬の再対決に加えて、3冠牝馬ジェンティルドンナほか、ルーラーシップ、エイシンフラッシュほかのGI馬やダービー、天皇賞秋で2着惜敗のフェノーメノ。メンツの豪華さはこれ以上ないもので、スターがいれば揃えば人気が出るのは当然。スターをつくってせっせとPRしていけば、まだまだ競馬もやっていける。

 JCはウインズ梅田横の行きつけの店で観戦したのだが、老若男女問わず大いに盛り上がっていた。こちらも思わず嬉しくなってしまう。JC観戦のために上京するという何人かの大学生もいたし、喫茶店などでスターホースの名前がチラチラと目に入るのも心地いいもの。

 盟友・清水成駿のように長く予想界をリードしてきたホースジャーナリストの貢献も見逃せないし、私も関西を少しでも盛り上げるべく、節目のGIでは前夜祭を催して競馬ファン囲まれ、レース解説、予想で頑張っている。

 12月22日(土)も恒例の「有馬記念前夜祭」を大阪豊中の阪急豊中駅前のパブ「ベルウッド」で行うが、秋田や福岡からも駆けつけてくれるので自然と力も入る。もう、そんな季節かとつい自分の年齢も考えてしまうが、競馬が励みになっているのは確かで、これが毎週あればヘコんでおれないのが現実。

 今週はJCダート。JCもJCダートも名ばかりの「JC」では困る。軸足を我が国のビッグステージに向かわせるように世界の強豪を惹きつけなければ未来はない。そのためにはやはり凱旋門賞を優勝、いやワンツーで決めるとか、海外でのパフォーマンスも不可欠だろう。サラブレッドのレベルアップと魅力ある環境、設備にイベントなど色々考える余地はまだある。そこには世界へ向けての発信力も問われる。内憂外患こもごもで厳しい情勢、踏ん張りどころではある。

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