「最近、後方ままで、ひと息の競馬が続いているけれど、外国人ジョッキーに乗ってもらえば、現状打破があるかもしれない」と、ある近しい馬主さんがポツリ。


先週は、JCウィークと並行して、WSJSが行われたが、古くは、サーの称号を貰ったイギリスの至宝ピゴット。マッキャロンにスティーヴンス。近年ではデザーモにペリエと、外国人ジョッキーが跨ると、魔法をかけられたように激走する馬というのを目にしてきたし、今もその魔法は、解けていないかもしれない。


一流と言われる外国人騎手は、どんな馬にまたがっても、ほぼ能力のマキシマムを出し切ってくれる(日本人騎手は、馬によってアタリハズレがある?)。


それでも、競馬には勝ち負けがつきものだ。しかし、たとえ負けたとしても、ある程度は結果に納得できるし、「距離がもたないと思っていたのに。折り合いが微妙なのに。あのダート馬が、芝で勝てるの?」――なんていう、新味を引き出してくれることも多いから、自然と騎乗を依頼したくなる(キャピタルSのヤマニンウィスカーを想像した人は少なかった)。


JCは、ジェンティルドンナとオルフェーヴルの、息の詰まるような叩き合い、削り合いと同時に、長い長い審議。ジェンティルは岩田。オルフェーヴルの池添も、お手馬だけに、工夫を凝らし、持てる力は発揮できたが、WSJSのアレコレを考えると、普通にまっすぐは走れなかったのか。なんか物足りなさのようなものも感じる(一昨年はスミヨンの降着もあったけれど)。


なんて、ジェンティルドンナは、スタートして外から、すぐに二番手。向こう正面で好位のポケットに落ちつき、スタミナを温存。直線中ほどまでは、理想の、満点のポジショニング。オルフェーヴルの池添も、後方よりで、折り合いに慎重。3~4コーナーをリズムよく回り、直線、追い出しをできるだけ我慢。繊細で苦心した道中だった。


残り1F手前。岩田とすれば、脚の上がったビートブラック、トーセンジョーダンが、内ラチ沿いに失速してくるのを避け、ひとつ外に持ち出したい。内にモタれ加減の池添のオルフェは、そのまま切れ込んで、できれば内を締めたい。が、右鞭は打てない。


進路の変更の大きさのぶん、岩田に非があるのは当然とはいえ、両者の言い分は、あくまで事情徴収。審議の結果は、自信と自分たちのルールにのっとって、もう10分は早く確定しておけばという思いもある。


ただ、3着とは決定的な2馬身半差。上がり4Fのラップは、11秒9―11秒7―11秒5―11秒5の加速ラップ。二頭の力は抜けていた。


ルーラーシップは、発馬直前。ゲートでガタガタするのが大写しに。スタートしてすぐ、インに切れ込みポジションを探ろうとした、ウィリアムズの意図は見えたが、ふう。何かが足りない、切ない馬だなぁ…。


フェノーメノは、4角手前で、もうひと呼吸我慢。前回の天皇賞は、やや仕掛け早。まだ脚があると判断して、追い出しのタイミングをずらしたようにも見えたが、少し疲れがあったのかもしれない。ダークシャドウも、馬に重みを増していたが、2400mは微妙に長いか。トーセンジョーダンは、次走の有馬はもっとよくなる。


JC週は、2歳のベゴニア賞で1分33秒6のレコード。少し芝を刈りこんだようだが、過度の芝の調整は無意味に思う。