フェブラリーS
ドバイ遠征を前にした注目のヴァーミリアンが囁かれた不安を一掃、これで国内のGI格のレース5連勝となった。昨年のドバイワールドCは4着とはいえ、勝ったインヴァソールに2.6秒も離された完敗。しかし、あのあと明らかにパワーアップしている今年、もし連続の遠征がかなえば2分02秒6にとどまった昨年よりずっと中身の濃いレースが可能ではないか、の期待があった。 それにはただパワーアップというだけではなく、ドバイのナルアルシバ向きのスピードの持続力を示す必要がある。そこで、フェブラリーS・1600mではその勝ち方、レース運びにも豊かなスピード能力を前面に出して欲しかった。結果は、十分にその期待に応える好内容だったろう。 午前中の激しい風こそ収まってはいたが、それでも全体に少し時計のかかるコンディションの中、1分35秒3の勝ち時計は悪くない。快速のダート巧者がいて飛ばしたわけではなく、全体にバランスを失わない流れで、もっとも遅い1Fが12.4秒。東京のマイル戦だから前後半の差はあっても、速めの平均ペースとしていい。 一昨年のフェブラリーSでも自身の前半の1000m通過59.0秒をそう無理なく記録していたヴァーミリアンは、その当時は粘るだけで精一杯だったが、今年は楽々と59.1秒の流れを追走し、なおかつ自分でスパート。ワイルドワンダーが並びかけてきてもまったく動じることなく突き離した。最後の1Fもバテることなく12.1秒。本質はスピード系ではないか、とも思わせる豊かなスピード能力を示すことに成功した。 1600mを楽々と1分35秒3で乗り切ったことにより、今年のヴァーミリアンはうまくすると、01年のドバイワールドCを2分00秒9でキャプテンスティーブの2着したトゥザヴィクトリーと同じくらいのレースが可能ではないか、の展望が広がった。もちろん、相手も流れも異なるが、期待は大きく高まる。 昨年に続いて2着のブルーコンコルドは、1600mならめったに崩れないマイラーのトップであることを改めて示したから見事。2000m級になると脚の使いどころが難しいが、これでワイルドワンダーには昨年10月の南部杯に続いて先着を許さなかったことになる。ベテラン、まだまだ衰えはない。 そのワイルドワンダーは素晴らしい手応えで一度はヴァーミリアンに並ぶところまで行ったが、あと1Fで鈍った。前回の根岸Sで激走の反動は表面的には見られなかったが、マイルでは脚の使いどころが難しく、ベストは1400mなのかもしれない。 ジャパンCダートでヴァーミリアンと接戦のフィールドルージュは、その後の充実ぶりから今回は逆転も…と思われたが、残念なことにスタート直後に脚をぶつけるアクシデント。出血を見て横山典騎手が止めるしかなかった。あまりにも残念だったが、骨や腱には異常はないと診断されたといわれるので、早期の復活に期待したい。 ロングプライド、ドラゴンファイヤーの4歳勢は、前者は出遅れ、後者には急な馬体重減などの不利もあったが、今回に限れば迫力負けの印象があった。やがて、来期のこのGIでは主役になる馬として期待したい。しかし、ダート界には逸材が次々と現れる時代になったのか、今年の3歳世代には素晴らしい馬が連続して現われつつある。3歳のダート重賞が中央にも公営にも、この時期に少なすぎるという声が出てきた。
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