2008年2月19日火曜日

サンスポ記録

【フェブラリーS】目指すは世界制圧、ヴァーミリアン始動



〔上〕JBCクラシック→〔中〕ジャパンCダート→〔下〕東京大賞典と史上初のダートGI3連勝を飾ったヴァーミリアン
 世界制圧に向けてヴァーミリアンが始動する。昨年は史上初の国内ダートGIを4勝。最優秀ダート馬に選出された。今年の始動戦に選んだ川崎記念を右飛節炎で取り消したことで、ステップに誤算は生じたが、最大目標のドバイWCへ向けても速い流れのマイル経験はプラスとなるはず。ダート王のプライドに賭けても、この戦いは負けられない。
フェブラリーS最終登録馬へ

 目標が先にあるのは分かっている。ここは世界制圧への試走かもしれない。それでも“砂王”の威信にかけてぶざまな姿は見せられない。昨年の最優秀ダート馬・ヴァーミリアンがいよいよ08年のスタートを切る。
 「先週の調教の時も動きは良かった。普段は動かない馬なのに、あんなにスムーズに乗れたからね。体調面に関しては特に問題はないね」
 小雪が舞い散る全休日の18日朝、担当の久保調教助手がにこやかな表情で切り出した。昨秋は圧倒的な力で史上初のダートGI3連勝(JBCクラシック→JCダート→東京大賞典)。もはや日本に敵はいない。当然のように視線は世界へ向けられた。昨春4着に敗れたドバイワールドCでのリベンジだ。
 ただ、決して順調にきたわけではなかった。始動戦に予定していた1月末の川崎記念を、右飛節炎でレース2日前に取り消し。アクシデントでフェブラリーSへ矛先を向けたことは事実だ。
 「症状は大したことがなかったし、使えないこともなかった。熱が出たのは1日だけで、すぐに運動は再開できた」と久保助手は振り返る。1週間後には坂路入りを再開し、14日の1週前追い切りでは4ハロン52秒5-38秒4-13秒3(一杯に追う)の好時計で駆け上がる回復ぶり。取り消しの影響をみじんも感じさせない動きを披露した。
 「むしろ取り消しはありがたいと思っている。あくまでも目標はドバイだし、ここでマイルのスピード競馬を経験しておくのは、絶対にプラスになる」と久保助手。今春はドバイWC(3月29日、ナドアルシバ、GI、ダ2000メートル)が最大目標。周囲の心配をよそに、陣営はアクシデントも前向きにとらえている。
 今回は一昨年のフェブラリーS(5着)以来のマイル戦。2000メートル以上を主戦場にしてきたヴァーミリアンにとって、決して楽な舞台ではない。
 「(最後の)直線に向いて、追い比べなら負けない。マイルが短いのはわかっているが、勝ち負けより過激なレースをしてほしい」と久保助手はニヤリと笑った。
 昨秋からの圧勝劇を見ても地力の差は歴然。付けいるスキがあるなら、距離と順調度か。それでも負けないのがヴァーミリアン。自分の土俵でない舞台で勝ってこそ世界が見えてくる。
(瀬戸聡)
★松元省師GIラストチャンス、クワイエットデイ
 前哨戦の平安Sを制したクワイエットデイは、初のGIチャレンジ。8歳になっても衰えはなく、立ち回りのうまさで今回も好勝負を演じるか。「うるさい感じで変わりなくきている。先生(今月で勇退する松元省調教師)も今回が最後のGIだから格好はつけたい。時計勝負になった方がいいと思うし、馬場が渋ってくれれば」と和田調教助手。
★不安は輸送だけ!?メイショウトウコン
 実戦を使いつつ地力を強化してきたメイショウトウコンに、GI奪取のチャンスが訪れた。昨年暮れの東京大賞典で3着、前走の平安Sで2着と近2走ともに安定した走りを見せている。「平安Sは道中で他馬にぶつけられるアクシデントもあった。少し蹄球を痛めたが、今は問題ないし、状態は良好。あとは輸送を克服するだけ」。林調教厩務員に気合が入る。
★あるぞダート適性、デアリングハート
 2週前登録時点で補欠1番手のデアリングハートが、ボンネビルレコードの回避(ダイオライト記念出走のため)で出走権が巡ってきた。「藤田騎手の進言もあって、ここを目標に調整してきた。ここ2戦でダート適性があるのは分かったし、マイルぐらいが合う馬。好位につけられるから、芝のスタートもプラスになる」と倉ヶ崎厩務員は好勝負を願っている。
★東京千六なら問題なし
 ダート競馬は芝のレースほど距離適性が問われない。ダートの本場・米国では“強い馬は長い距離を克服する”といった概念がある。それはレース体系に顕著に表れ、84年のBCスプリント(ダ1200メートル)創設以前は、2歳戦以外は1200メートルのGIはなかったほど。レース全体では短距離戦が圧倒的に多いが、チャンピオン決定は長めの距離で、という体系だ。今でこそ短距離GIが増えてはいるが、それでも高額賞金の重要GIは1800~2000メートルが目立つ。こうした概念から、ヴァーミリアンは強いから長い距離もこなしているといえ、1200メートルならともかく、広い東京の1600メートルなら問題ないと判断できる。
★前年のJRA最優秀ダート馬、5戦3勝2着1回
 フェブラリーSがGIになった97年以降、前年のJRA最優秀ダート馬は5頭が出走し、3勝、2着1回と好成績を残している。
 また、秋のジャパンCダートを勝ち、翌年のフェブラリーSに挑んだ馬は4頭いて、カネヒキリ(06年)が鮮やかにV。その他も01年ウイングアローが2着、03年イーグルカフェが3着、05年タイムパラドックスが4着と上位に顔を出している。

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