2008年2月20日水曜日

中日記録

ヴァーミリアン、ねじ伏せる 第25回フェブラリーS
2008年2月19日 紙面から
パワーが要求される東京のマイル攻略に陣営も自信のヴァーミリアン
 08年最初のG1戦「第25回フェブラリーS」(G1、24日・東京、ダート千六百メートル)にダート王ヴァーミリアンが挑む。ドバイワールドカップに向け、結果と内容を求められる1戦。再び世界へと旅立つ日本のエースが、ここで希望の扉を開く。
 馬房の外を舞う雪。開いた扉の向こうを、時折見つめるヴァーミリアンの瞳は、まだ優しさに満ちている。だが、馬服の下に隠されたその体は、すでに戦うためのよろいを身に付けていた。「付かなければいけないところに、すべて筋肉が付いてきました。毛づやもいいですし、体調は申し分ありません」。全休日の月曜朝。担当の久保助手は、曇りのない表情で、こう口にした。
 ステップレースに1度は選んだ川崎記念を、飛節炎で回避。ローテーションの組み替えを余儀なくされたが、幸い症状は軽度だった、という。「不凍液が入って炎症が起きたようです。でも、熱が上がることはありませんでした。休んだのは1日だけ。先週の動きはとてもしっかりしていましたからね」(久保助手)。それ以後の歩みは順調。先週14日には、52秒5-13・3で坂路を駆け上がり、17日はCWコースで息を整えた。不安は消えた、と判断していい。
 再びドバイへ挑むために、どうしてもここで乗り越えておきたいテーマがある。それはスピードとパワーの共存。これなくして、あの地で勝ち目はない、というのが昨年(ドバイワールドカップ4着)得た教訓だった。速い流れに乗り、トップスピードを長く維持して、力でねじ伏せる。そのスタイルを確立しなければ、海を渡る意味はない。だからこそ、あえてハードルを高く設定。東京のマイル攻略に向かう。
 「力を付けているのは、間違いありません。今なら千六百メートルでも大丈夫だと思っています」(久保助手)。わが道を貫いてなお、周囲をうなずかせる。この期待という重い荷物をはね返せば、必ず世界と戦う勇気を得られるに違いない。 (山田数夫)

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