ヴァーミリアン快勝/フェブラリーS
<フェブラリーS>◇24日=東京◇G1◇ダート1600メートル◇4歳上◇出走16頭
1番人気に支持された昨年のダート王ヴァーミリアン(牡6、栗東・石坂)が、貫録を見せつけてG1・5勝目を挙げた。直線外から楽に抜け出し、後続に1馬身3/4差をつけて快勝。昨年4着の雪辱を期すドバイワールドC(国際G1、ダート2000メートル、3月29日=ナドアルシバ)へ大きく弾みをつけた。武豊騎手(38)は21年連続の中央G1制覇を達成。2着にはブルーコンコルド、3着にはワイルドワンダーが入り、2番人気のフィールドルージュは競走を中止した。
格の違いを見せつけた。直線半ばでヴァーミリアンが先頭に立つと、後続の蹄(てい)音は遠ざかる一方だ。国内無敵の強さに、他馬はなすすべがない。黒光りする体を揺らし、楽々とゴール。世界一を目指す馬にとって負けられない一戦を、横綱相撲で制した。武豊は「チャンピオンホースらしい、完ぺきな競馬。スタートは速かった。このまま順調にいって、ドバイで世界一を目指したい」と笑顔を見せていた。
前走に予定していた川崎記念は、右飛節炎を発症したため出走取り消し。その後に出した時計は4本と、急仕上げは否めなかった。しかし、地力の差は歴然。武は「絶好調と聞いていたし、本当に乗りやすい馬」と絶賛した。東京大賞典から7キロ増え、06年2月以来の520キロ台での競馬。余裕がある体でも、ワールドクラスの力は証明した。
昨年のドバイワールドCで4着。最後まであきらめずに走り切ったことで、精神面は大きく成長した。世界の壁にぶち当たっても、なえることなく上昇曲線を描く。帰国後はノーザンファームで約半年間休養したが、これも実のあるものだった。十分に乗り込まれ、精神面を強化。前を行く2頭の間を割らせるなど、馬同士の間隔を狭くしたタイトな調整を繰り返した。
この日もパドックを周回するごとに気合が乗ってきた。馬場入りから返し馬では闘志を前面に出した。レース前の輪乗りでは他馬を威嚇した。武は「馬が堂々としていた」と振り返ったように、内面の成長が充実ぶりの最大の要因だ。
この後は、もちろんドバイワールドC。昨年は4着とはいえ、勝ったインヴァソールからは2秒4もの差をつけられた。その経験と屈辱をバネに、国内で4連勝。今年の挑戦は、違った環境を経験させるだけではない。本気で世界一を狙いに海を渡る。スピードを要する馬場は、フェブラリーSを勝ったことで克服のメドを立てた。数段上の実力馬を相手にすることは織り込み済み。「胸を張ってドバイに行ける」(武)。ヴァーミリアンが世界を驚かせる態勢を整えた。【高橋悟史】
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