武ヴァーミリアンG1・4連勝「ドバイで世界一」…フェブラリーS
ヴァーミリアン(右)は別格の強さを見せ付けた。左が2着ブルーコンコルド
◆第25回フェブラリーS・G1(24日、東京競馬場、ダート1600メートル) 砂の王者・ヴァーミリアン(武豊)が、底力を見せつけた。5番手追走からあっさり抜け出し、1馬身3/4差の完勝。マイルでも、その強さに変わりはなかった。これで、G1・4連勝を達成。次は、世界最高峰のダートG1、ドバイ・ワールドカップ(3月29日、ナドアルシバ競馬場・2000メートル)に挑む。2着はブルーコンコルド。ヴァーミリアンに次ぐ人気を集めたフィールドルージュは、左肩ハ行のため競走を中止した。
周り見る余裕 ライバルの鞍上のアクションが激しくなった直線入り口。ヴァーミリアンの武豊には、じっくりと周囲をうかがう余裕があった。満を持して追い出すと、先行集団を抜け楽々と先頭に躍り出る。左ムチを受けてさらに加速。後続を突き放し「1馬身3/4」差でGI4連勝のゴールへ飛び込んだ。
強さが際立っていた。課題のスタートを克服し、速い流れの中、外めの5番手につけた。「長く距離を走るのに不安はないので、外を通った」と武。距離のロス、そしてアゲンストの強風をものともせず、芝並みの上がり35秒9で突き抜けた走りを「完ぺきでした」と言い切った。
負け怖かった 88年のデビュー以降、21年連続でのJRA・G1制覇。前人未到の記録を、さらに伸ばした。次のターゲットは、世界最高峰のGIレース、ドバイ・ワールドC。日本代表として夢の舞台に参加できることに心を躍らせた。「本当にドバイが楽しみになった。負けて、ドバイへ行くのをやめると言われるのが一番怖かった」
01年のドバイ・ワールドCでは、トゥザヴィクトリーを2着に導いている武。「(中東遠征は)ハンドボールじゃないんで大丈夫(笑い)。スタッフは昨年の経験もあるし、どんな砂質でもこなせる馬」と冗談をまじえながら適性に太鼓判を押した。
昨年の雪辱だ 昨年は、インヴァソールから2秒4も離された4着。“壁”にはね返されたが、パワーアップした姿で再び海を渡る。「今日は日本最強を実感した。昨年は世界のレベルを痛感したが、強くなっているので、あの時よりは走れる」と石坂調教師は期待を膨らませる。「ドバイで世界一を目指したい」ユタカの言葉に現実味を感じさせる壮行レースだった。
【ヴァーミリアン】 ◆性齢 牡6歳の黒鹿毛。
◆戦績・22戦11勝(地方6戦6勝、海外1戦0勝) G1・5勝(別表参照)。他の重賞勝ちは、04年ラジオたんぱ杯2歳S、05年浦和記念、06年ダイオライト記念、名古屋グランプリ。
◆総収得賞金 優勝賞金9400万円を加え、7億4909万7500円。
◆血統 父エルコンドルパサー、母スカーレットレディ(父サンデーサイレンス)。父の産駒はGI4勝目。
◆2冠達成 JRAのダートG1(フェブラリーS、JCダート)をともに制覇したのは、ウイングアロー、カネヒキリに続き3頭目。
◆武豊騎手(38) 03年ゴールドアリュール、06年カネヒキリに続く3勝目で、GI61勝目。ヴァーミリアンとは抜群に相性が良く、11戦8勝、2着3回で連対率100%。
◆石坂正調教師(57) G1・5勝目。
◆生産者 北海道安平町のノーザンファーム。
◆馬主 (有)サンデーレーシング。
(2008年2月25日06時00分 スポーツ報知)
ルージュまさかの競走中止…フェブラリーS
レース前は元気いっぱいのフィールドルージュだったが…
◆第25回フェブラリーS・G1(24日、東京競馬場、ダート1600メートル) 骨に異常なし 打倒ヴァーミリアンに向け、ゲートから踏み出した1完歩目。フィールドルージュが、まさかのアクシデントに襲われた。
左前肢と後肢が交錯。その際、前肢を落鉄すると同時に、蹄球部の肉がえぐれてしまった。リズムを崩したことに加え、脚部の痛みで前に進んで行けない。鞍上の横山典は、何度も脚元を確認し、向こう正面で競走を中止させた。
「最初は我慢して走っていたけど、(走りが)良くならなかったので止めた。大したことがなければいいんだけど…」検量室に戻って来た横山典は、パートナーを思いやった。
願いが通じたのか、競馬場の診療所で下された診断は「骨には異常なし」だった。「かなりの出血がありましたが、大事には至らなかったのが、不幸中の幸いでした。ファンの皆様には、ご迷惑をおかけしました」西園調教師は、無念さの中にも安どの表情を見せていた。
ヴァーミリアンには戦わずして敗れる結果になったが、今後もチャンスは残っている。「まずは厩舎で静養し、それから放牧に出して立て直したいと思います。これからも応援よろしくお願いします」とトレーナー。一日も早い復帰を待ちたい。
ヴァーミリアン圧勝…フェブラリーS
第25回フェブラリーS・G1(ダート1600メートル)は24日、東京競馬場で行われた。ヴィクトリーが速いペースでレースを引っ張り、勝負は直線に持ち込まれた。いつもより早めに動いた1番人気のヴァーミリアン(武豊)がしっかり伸びて勝ち、ドバイ遠征に弾みをつけた。2着にはブルーコンコルドが入り、3着はワイルドワンダーだった。
武豊騎手「完ぺきでしたね。馬が堂々としていました。スタートがよかったし、競馬も上手。次は(出走予定の)ドバイで世界一を目指したいですね」
◆ヴァーミリアン 6歳牡馬 父エルコンドルパサー、母スカーレットレディ。北海道安平町のノーザンファーム生産、馬主はサンデーレーシング。戦績は22戦11勝(うち地方6戦6勝、海外1戦0勝)、重賞はジャパンカップダートなど9勝目。獲得賞金は7億4909万7500円(うち地方3億6000万円、海外3574万8500円)。
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