ヴァーミリアン“不安一走”…フェブラリーS追い切り
いっぱいに追われたヴァーミリアン。出走取消の影響もなく臨戦態勢は整った
昨年の「ダート王」ヴァーミリアンが20日、栗東トレセンで追い切った。坂路を52秒1。調教駆けしないこの馬としては文句なしの時計を刻み、川崎記念取消の不安を全く感じさせなかった。ドバイ・ワールドカップ(3月29日、ナドアルシバ競馬場)へ向けての“壮行レース”。パートナーの武豊は「胸を張ってドバイへ」と燃えている。一方、関東の雄・ワイルドワンダーも元気いっぱい。美浦の坂路を馬なりでシャープに伸びた。
黒い筋肉の塊が、坂路を勢い良く突進して行く。分厚い胸前の筋肉を躍動させて、四肢がフル回転。取消のアクシデントの後遺症どころか、最近では見られないくらい、ヴァーミリアンは活発に動いた。
調教では目立たない馬が、4ハロン52秒1と上々のタイムを叩き出した。「このところ調教では速い時計が出ていなかったが、先週(52秒5)、今週とも、この馬にとって速かった。思った以上に元気良く上がってきた」石坂調教師は満足した表情を浮かべた。
今年の始動戦となるはずだった川崎記念は、右飛節炎のため直前に出走取消。ローテーションの変更を強いられたが、軽傷で済んだため、すぐに運動を再開できた。「アクシデントは考えなくてもいい」石坂師がキッパリ言うほど、調整はスムーズに進められた。
JBCクラシック、ジャパンCダート、東京大賞典。昨年後半は、GI3連勝を飾ったが、決して順調とは言えなかった。特にJCダート前は、ザ石の影響で満足に調教を消化できなかった。「今まで、まともな状況で走ったことがない。それでもあれだけの勝ち方を見せてきた」と担当の久保助手。最近は、接着装蹄で固めていた蹄が釘を使用できるまで成長し、脚元の潜在的な不安はなくなっている。
マイル戦への投入は、06年のフェブラリーS(5着)以来2度目になる。「気になるのは距離だけだが、あの時とはまるっきり別馬。全く走れない訳ではないし、ドバイの速い流れに対応するためにも、ここをクリアしたい」と石坂師は力を込めた。昨年4着と世界の壁に泣いたドバイWCに再挑戦する「ダート王」。条件がどうであれ、不様な競馬は見せられない。
◆武に聞く
―今年初めてのGIは、ヴァーミリアンで挑みます。「昨年のダートのチャンピオンホースなので楽しみ。昨年はすべて完勝でしたから」
―2歳時から断続的に騎乗していますね。「もともと期待していた馬。ダートを使うようになって、特に良さが出てきた。昨秋に復帰する際には、僕の方からお願いして乗せてもらいました」
―最近は変化が見られますか。「以前は肉体的に弱い部分があったけど、力強さが加わって、頼もしくなってきた」
―今回1600メートルに距離が短縮されます。「乗りやすいし、レースには対応できると思う。ただ、スタートが速い馬ではないので、距離が短くなると心配はある。もちろん距離に合った乗り方はしますが」
―この後は、ドバイWC控えています。「今年の大目標。昨年のダートの王者らしい走りをして、胸を張ってドバイに行きたい」
(2008年2月21日06時01分 スポーツ報知)
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