http://keibalab.jp/column/interview/1328/
http://keibalab.jp/column/interview/1329/
当初はJCが引退レースという報道もあったジェンティルドンナだが、陣営が選択したのは有馬記念でのラストラン。二度先着を許したスピルバーグへのリベンジこそ叶わないが、勝てば伝説となることは間違いなしのメンバー構成だ。19戦目で初の中山コースというのは悩ましいところだが、その解決は競馬ラボにお任せあれ。かねてから密着してきた井上泰平調教助手に、超がつくロングインタビューでその全てを語っていただいた。
-:いよいよラストランとなるジェンティルドンナ(牝5、栗東・石坂厩舎)です。3連覇が懸かったJCでは、不向きな馬場もあって4着でした。ジェンティルなりには目一杯走れていましたか?
井上泰平調教助手:頑張ってくれたと思います。
-:勝ち馬もこれまでにない脚を使って、あれは勝った馬を褒めるしかないですよね。
井:そういうことですよね。
-:終わった後のジェンティルの具合はいかがでしたか?
井:そんなに疲れもなさそうで、体重も次の木曜日には484キロまで戻っていました。ダメージはありませんでした。
-:良い馬場状態で走らせたかったという悔いは残りますか?
井:当日は雨が降っていなのですが、アスファルトもずっと濡れているような感じで、芝もなかなか乾かないだろうなと思っていました。ジョッキーも「下が緩かったから、持ち味が出せなかった」と言っていました。
-:今回はまた戸崎ジョッキーに戻ります。天皇賞(秋)でも惜しい2着でしたし、良いイメージを持って乗ってくれると思います。
井:相性も良さそうです。
-:今週も戸崎ジョッキーが駆けつけてくれて、1週前追い切りが終わりましたが、その感触はいかがでしたか?
井:ジョッキーは「天皇賞の前に乗った時よりも、状態が良さそうだ」と言っていました。
-:井上さんがリードホースで、ペースメーカー役をしたのですか?
井:そうです。今週は馬場が難しかったです。中が濡れていて、表面が凍っている乗りづらいものでした。僕の乗っていた馬の手応えは悪くなかったのですが、追ってもあまり伸びませんでした。横で見ていましたが、ジェンティルは終始、僕に併せてくる感じでした。最後の1Fはサーッと行くのかなと思ったら、50mないくらいをちょっと行かせただけで、ずっと引っ張ったまま乗っていましたね。時計は最後掛かっていますが、僕の馬に併せている感じがありました。
-:今週は寒波の影響で、いつもの坂路と状態が違いました。時計どうこうよりも、負荷が掛かり過ぎないようにしないといけないですよね。
井:そうですね。今週は坂路で転倒してしまった馬が2頭いたみたいです。最近、馬場のトラブルが多いです。
-:入れ替えた直後ですものね。
井:それに、雨が降ったり、寒波で凍ったりで、コンディションが良くないです。どの厩舎も、気持ち良く乗っている感じではないと思います。(一日の)後半なんて酷いですからね。躓いたり、脚を取られたりしています。
-:追い切りの映像でも確認できます。そんな中で、1週前としてビッシリやり切れましたか?
井:負荷は掛かっていると思います。最後の1Fも13秒台になっていますが、スーッと行かせていれば時計は出たと思います。ジョッキーがあえてそうしなかった感じがします。
-:ちょっとセーブ気味にしたのですね。
井:3回目なので、そんなにビシビシ鍛えなくてもいいのかなという気がします。順調にきているので、出来ないからやらなかった訳ではないです。
-:体がなくなって、時計を調節しなければいけない状態ではないのですね。
井:そういう状態ではないです。今日も量ったら88(488キロ)ありました。
-:ちゃんとやらなアカンくらいですね(笑)。
井:輸送でまた減ると思いますし、今くらいでキープですね。
-:中山は初めてのコースになりますが、いかがでしょうか?
井:右回りがダメと言われていますが、自在性がありますし、右回りのG1も勝っています。古馬になってからの右回りのG1は、馬場が渋っていることが多かったので、右回りよりも馬場だったのかなと思います。
-:クラシックの三冠も、2つは右回りですからね。
井:戸崎さんも、乗っていて右がダメという感じはないと仰ってました。
-:改めて総括すると、良馬場で時計が速いような条件が合うのですね。
井:合うんじゃないかと思います。
-:右回り、左回りは関係ないのですね。
井:そういう気がするのですが、実際に結果が出ていないので、ファンの皆さんに右回りはダメだと言われたら、ダメなんじゃないかという気もしています。
-:それは個々の判断に任すということですね。これだけの実績を上げている馬が、コース形態がどこじゃないと走れないとか、そういうのはないと思います。実績の割に、ファンの評価はイマイチですね。
井:いえいえ、ファン投票2位にして頂けました。本当に有り難うございます。
-:ジワジワ上がっているのですね(笑)。1位のゴールドシップも出ていますし、レーティング世界No.1のジャスタウェイも出ています。
井:(レーティング)2位のエピファネイアもいますよね。うちは牝馬なので、比較が難しいです。数字じゃなんとも言えないですから(笑)。
「ただ走らせるだけの、いい加減な調教はしてないです。そういう仕上げにしてしまったら、逆に壊れてしまうこともあると思いますので」
-:それよりもやはり結果ですね。
井:結果も凄く重要で、しっかり順調に調教を積んで、いつもと変わらないように仕上げのトレーニングをしています。最後ですし、結果が良ければ最高ですが、無事というのが第一条件です。ちゃんとゴールして帰ってくることです。
-:ファンの中では、ジェンティルがJCで引退するプランもあったので、有馬記念出走に懐疑的な人もいると思います。条件さえ揃えば、安心してジェンティルの競馬をして、力を出せますか?
井:いい加減にただ引退レースをさせようという調教はしていないです。いつもと同じですし、人間が引退レースと言っているだけで、馬は分かりません。いつもと同じように、元気に走ってくれると思います。
-:その言葉を信じて、最後までジェンティルドンナを応援したいと思います。できたら勝って欲しいですね。
井:勝って引退式を迎えて欲しいです。
-:無事に繁殖牝馬として送り出すことですね。
井:それが大前提ですが、ただ走らせるだけの、いい加減な調教はしてないです。そういう仕上げにしてしまったら、逆に壊れてしまうこともあると思いますので。
-:体を守るためにも、しっかりトレーニングをするのですね。
井:そういう部分は、今まで通りと変わりなくやっています。
-:石坂先生のジェンティル愛というのは、凄いものがありますよ(笑)。我が娘を守りきって、引退させてくれるでしょうね。
井:最後だから引退レースは回ってきて、という気は、陣営には全くないです。
-:どんな子供を生んでくれるかという楽しみは、この後のことですよね。
井:大きくなって、これがジェンティルの仔かと、見られる可能性はありますけどね。その楽しみの前に、結果を出したいですし、無事に帰ってきて欲しいです。それに、あの馬は引退レースって知らないですから、必死で走ってくると思います。
-:伝わってないですか?動物ほど敏感に伝わるものはないです。
井:引退するとは思ってないんじゃないですか。
-:また府中に輸送されるのかと思って行った先が中山です。
井:来たことない所だな、というのはあると思います。
-:中山の出張馬房は、環境的には落ち着いて一夜を過ごせそうな所なのですか?
井:そういう面に関しては、輸送で色々な場所に行っていますから、そこまで馬房に注文が付く馬ではないと思います。ドバイみたいに、日本の馬房2つ分くらいあるようならリラックスもするでしょうが、大して変わらないと思います。
-:僕らが最も注目すべきは、馬場状態ですか?
井:そうですね。最後くらいは良い馬場でやらせてあげたいです。
-:中山競馬場は芝も張り替えて、新装されました。井上さんの目から見て、この馬場ならジェンティルに合いそうですか?
井:良馬場であれば問題ないと思います。
-:我々の他の注目ポイントは、枠順発表のクジ引きです。馬名が引かれて、担当調教師さんにカメラが切り替わって指名します。
井:1分以内って酷ですよね。2分くらい欲しいと思うんです。
-:やっぱり、見ている側の基準なのでしょうね。その時期の中山2500mは、普通の注文が付かない馬であれば、内が良くないですか?
井:スタート地点から考えると、内が有利かなと思います。
-:2、4、6、8、1、3、5、7という順番で選んでいくのですか?
井:たぶん、そうなるのでしょうね。
-:ジェンティルはどの辺が良さそうですか?
井:内目が良いのでしょうが、ゲートセンスが凄いので、ちょっと外くらいでもポジションは取れると思います。出たなりで良いところに行けると思いますが、距離ロスが嫌なだけで、後手を踏んでしまったということは、今まで見たことがないです。大体、ちょっとフライング気味にパーッンと出ちゃいます。クジ運が悪くてちょっと外目になったとしても、ジョッキーが上手く乗ってくれると思います。
-:ジェンティル史上初のコーナー6個です。
井:器用な馬で、手前も上手に替えますから、大丈夫だと思います。
-:心配するとしたら、馬場コンディションと枠くらいですか?
井:馬場コンディションが一番だと思います。枠はクジなので、お祭りみたいなところもありますから、そればかりは分かりません。もしかしたら、物凄く良いところを引けるかもしれないですね。
-:天皇賞(秋)みたいにですね。
井:1番は問題ないのですが、1回だけ潜ろうとしたことがあったので、長くなる1番は嫌だなという気がします。
-:2、3、4番くらいなら理想的ですか?
井:4くらいが良いですかね。
-:でも、寂しくなりますね。
井:僕らも仕事としている以上、新しい馬が入ってきて、また次のそういう馬になって欲しいと願ってやっていますが、なかなか思うようにはいかないです。こんな馬にはなかなか出会えないです。
-:そう簡単には出ないですよね。
井:長い歴史の中でそんなにいないですからね。
-:改めて、凄い馬ですよね。
井:もう1回同じ事をやれと言われても、同じ馬でも出来るか分からないです。毎回決まったローテーションをキッチリ使えるというのも難しいと思います。
-:大体、何かあるのがこの世界ですからね。
井:熱発するとか、脚が腫れたり色々あるのですが、そういうアクシデントが本当に少なかったです。
-:健康優良児ですね。
井:健康ですね。言うことを聞くので、体もあまり傷まないのだと思います。
「パワーもスピードもです。ドバイであんなに横に飛び出して、抜け出してきました。あの動きがあのスピードで出来るんですから、本気出せば歩いている時に何でも出来ますよ」
-:ジェンティルの体型自体は、ドナウブルーと比べてちょっと胴長なのですか?
井:ドナウよりも全部が大きくて、ちょっと長い感じです。牝馬には見えないですよね。
-:僕らが見ているよりも、乗られている方が一番分かるんじゃないですか?
井:あの馬は大人しいです。たまにちょっとヤンチャな時があるのですが、体幹が強いのか、スピードや勢いが、他の馬にない暴れ方をします。“落ちるならコイツだな”という気がしますね。元気な馬はけっこういるのですが、落ちることはないなという馬もいます。でも、ジェンティルが本気で暴れたら、吹っ飛ばされますね。
-:パワーがそのまま伝わってきますか?
井:パワーもスピードもです。ドバイであんなに横に飛び出して、抜け出してきました。あの動きがあのスピードで出来るんですから、本気出せば歩いている時に何でも出来ますよ。
-:普通、ああいうステップを踏んだ場合は、怪我したりしますよね。
井:いつも思うのですが、体幹が強いですから、ボディーバランスが崩れないのでしょうね。
-:井上さんといえば、坂路での時計を精密に取ろうとしたキッカケは、ジェンティルだったのですか?
井:ジェンティルに乗っている時には、それはできていました。できていて良かったなと思いました。
-:時計うんぬんよりも、馬場で変わりますからね。むしろそちらの方が大事ですか?指示通りの時計で乗れたかよりも、負荷がどれくらいか、ということですか?
井:例えば、G1の当該週の追い切りで、馬場のコンディションが凄く悪いとするじゃないですか。悪いからといって、最初から55秒を狙っていくペース配分で入ってしまうと、55秒でしか入れません。53秒とか、いい落しどころを考えて乗って、最初からある程度決めて行かないと、最初15秒で入って、最後11秒にはならないんです。上がった時に、この馬場だったら負荷が掛かり過ぎたかなとか、軽すぎたかな、という葛藤はいつもあります。
-:常にあるのですか?
井:例えば、G1の週に56秒で、馬場が重かったからメイチの負荷を掛けたくなかったと言っても、誰も納得してくれません(笑)。56秒とか57秒だと、最後が12秒台だとしても、確かに遅いです。それではやっぱりダメだし、調教師の先生にも怒られると思います。かといって、そんなに悪い馬場なのに、52秒にしてしまうと、見た目には52秒で良く動いているね、となるかもしれないですが、負荷が掛かり過ぎたんじゃないかとか、パンパンの走りやすい馬場なら51秒台のラップだな、となります。
いつも乗ってから、“今日の追い切りは成功したのかな?”って思っています。馬の疲労度って見えないですから。みんなも僕らも、時計を見るだけです。ただ、乗っての手応えを総合して考えて、周りの馬と比較して、これくらいの馬場だったら、これくらいでもよかったのかなとか、いつも100%ではないと、自分の中でやっています。
-:井上さんの場合は、水曜日に追い切った後、木・金曜日に跨いで、歩様の変化や、体の動きの硬さなどをチェックできます。今週はどうですか?
井:今週はケロッとしています。
-:ちょっと軽かったですか?
井:今週の馬場状態で53秒台は軽くないと思います。終い1Fを伸ばしていれば、53を切るか切らないかで、終いのタイムが12秒台でまとまったと思います。横にいて手応えを見ていましたが、凄く楽そうでした。でも、ジョッキーも先生から直接指示を貰ったと思うので、これでいいのだと思います。
-:戸崎さんに今のジェンティルのコンディションを感じてもらうことが、大きな目的の1つですか?
井:はい。50秒くらいの中で、実際にあのスピードで自分が乗ると、表面の凍った馬場状態で、バシャバシャ音が鳴るんです。これはどういう状態なんだろう、と思っているうちにゴールしちゃうんです。次に2頭目に乗ったりすると、さらに荒れてこれは酷いなとなりました。
-:刻一刻と悪くなっていきますよね。
井:それを見ると、今日はよくないなと。坂路で凍ることはあんまりないです。あんまりバシャバシャいうので、この感触はどうなってるのかなと思いました。馬は手応えがあるし、止まってる感じもないのに、伸びないんです。だから難しかったです。正直、本当に屋根をつけてほしいです。いつも同じ様なコンディションでやらないと、分からないですよね。
-:屋根をつけて欲しいですね。
井:今は牧場でも屋根がついていますからね。ファンの人も、(時計を)見ても分からないですよね。
-:僕らは分からないです。
井:例えば、いつも前半に乗って53秒くらいが出る馬がいても、後半の悪い時に追い切りをやると、56秒とか57秒になるんです。悪すぎて、みんなこの追い切り時計を見て参考になるのかなと思いますね。
-:これで引退ということで寂しくなりますね。
井:JCの時くらいから、いつが最後かなというのは感じていました。最後までしっかりジェンティルをサポートできるように、頑張りたいです。
-:井上さんも中山で二人引きですね。寒い時期の大一番ですが、あと10日です。
井:楽しみたいです。
-:ジェンティルの近くにいられて、幸せですよね。
井:そうですね。あと8回乗れます。
-:8回も乗れるのですね(笑)。一回一回を噛み締めながらになりそうですね。
井:頑張りたいと思います。
「思い出は一杯あるのですが、とにかく調教をミスすることが許されないと思っていたので、必死でした。それが一番の思い出です」
-:ジェンティルとの一番の思い出はなんですか?
井:思い出は一杯あるのですが、とにかく調教をミスすることが許されないと思っていたので、必死でした。それが一番の思い出です。
-:調教で本気になってしまいませんでしたか?
井:色々な課題もありますし、そういうのをちょっとずつ矯正しながらでした。
-:ジェンティルでも課題があったのですか?
井:今はほとんど感じません。入厩したての2歳の頃は、お姉ちゃんのドナウブルーも同じなんですが、後ろからくる馬に凄く敏感でした。それが原因でドナウは引っ掛かるようになってしまいました。それを教訓に、ジェンティルは同じ様にならないように、と思って、そういうことに動じないように工夫しました。馬が慣れてくれたというのもあるのですが。
-:ジェンティルは学習能力が高いですか?
井:高いですね。見た目は全然違うのですが、精神的なものとかは他の兄姉と凄く似ていたので、やることに共通した部分が多かったです。僕にしたら初めてじゃないから、こういうところは似ているのだなという感じで、それが大きかった気がします。
-:ジェンティルの活躍の裏には、ドナウブルーでの経験が生きているのですね。
井:それはあったと思います。
-:ドナウブルーは道悪が上手いんですけどね。
井:フォームが違いますからね。
-:そこが合体したら、真の最強馬になりそうです(笑)。
井:悪いところはよく似るのですが、良いとこ取りはできないですね(笑)。
-:ドナウブルーのフォームの方が綺麗でしたよね。
井:ダイナミックでした。写真とか見ると、ドナウブルーの方が綺麗ですよね。
-:飛んでいる感じのフォームでしたよね。ジェンティルはどっちかというと終始、脚が接地しているような感じです。
井:最短距離を走っている感じがしますよね。
-:道悪が上手い走り方のはずなんですけどね。
井:坂路の道悪はそんなに気にしないんですけどね。芝となると、何か違うんでしょうね。
-:色々な要素が絡み合っているので分かりませんが、むちゃくちゃ悪くなったら走るかもしれないですね。滑っているのがいけないかもしれないです。ツメがのめり込む様なら走るかもしれません。
井:どうなんでしょうね。大概そういうことはないんですが、最後はどうなるんでしょう。
-:僕らもある程度近くで、これだけの馬を見られたというのは、ファンにとっても凄く幸せなことですね。
井:なかなかこういう馬に会えないですよね。
-:しかも、コンスタントに使いたいレースに出てきてくれて、牝馬の最長期間活躍できました。
井:ずっと着にはきていますし、そんなに恥ずかしいレースもしていないです。頑張っていると思います。
-:引退式で井上さんはジェンティルに、何て言葉をかけてあげるのですか?
井:有り難うくらいしか言えないですよね。楽しかったですし、色々な経験もさせてもらいました。精神的にしんどいことも多かったですけどね(笑)。
-:最後の一戦を楽しみにしています。あと8回頑張って下さい。
井:ありがとうございます。
(取材・写真=高橋章夫 写真=競馬ラボ特派員)
http://keibalab.jp/column/interview/1329/
- 【井上泰平調教助手】ジェンティルドンナ女傑伝説・最終章は生涯初の中山で
ジェンティルドンナ女傑伝説・最終章は生涯初の中山で
2014/12/21(日) 17:00
ジョッキーが駆けつけての1週前追い切り
-:いよいよラストランとなるジェンティルドンナ(牝5、栗東・石坂厩舎)です。3連覇が懸かったJCでは、不向きな馬場もあって4着でした。ジェンティルなりには目一杯走れていましたか?
井上泰平調教助手:頑張ってくれたと思います。
-:勝ち馬もこれまでにない脚を使って、あれは勝った馬を褒めるしかないですよね。
井:そういうことですよね。
-:終わった後のジェンティルの具合はいかがでしたか?
井:そんなに疲れもなさそうで、体重も次の木曜日には484キロまで戻っていました。ダメージはありませんでした。
-:良い馬場状態で走らせたかったという悔いは残りますか?
井:当日は雨が降っていなのですが、アスファルトもずっと濡れているような感じで、芝もなかなか乾かないだろうなと思っていました。ジョッキーも「下が緩かったから、持ち味が出せなかった」と言っていました。
-:今回はまた戸崎ジョッキーに戻ります。天皇賞(秋)でも惜しい2着でしたし、良いイメージを持って乗ってくれると思います。
井:相性も良さそうです。
-:今週も戸崎ジョッキーが駆けつけてくれて、1週前追い切りが終わりましたが、その感触はいかがでしたか?
井:ジョッキーは「天皇賞の前に乗った時よりも、状態が良さそうだ」と言っていました。
-:井上さんがリードホースで、ペースメーカー役をしたのですか?
井:そうです。今週は馬場が難しかったです。中が濡れていて、表面が凍っている乗りづらいものでした。僕の乗っていた馬の手応えは悪くなかったのですが、追ってもあまり伸びませんでした。横で見ていましたが、ジェンティルは終始、僕に併せてくる感じでした。最後の1Fはサーッと行くのかなと思ったら、50mないくらいをちょっと行かせただけで、ずっと引っ張ったまま乗っていましたね。時計は最後掛かっていますが、僕の馬に併せている感じがありました。

12/17(水)、坂路で戸崎圭太騎手が騎乗
馬なりで4F53.8-39.4-26.2-13.5秒をマーク
サンライズネオを0.7秒追走し0.2秒先着した
馬なりで4F53.8-39.4-26.2-13.5秒をマーク
サンライズネオを0.7秒追走し0.2秒先着した
-:今週は寒波の影響で、いつもの坂路と状態が違いました。時計どうこうよりも、負荷が掛かり過ぎないようにしないといけないですよね。
井:そうですね。今週は坂路で転倒してしまった馬が2頭いたみたいです。最近、馬場のトラブルが多いです。
-:入れ替えた直後ですものね。
井:それに、雨が降ったり、寒波で凍ったりで、コンディションが良くないです。どの厩舎も、気持ち良く乗っている感じではないと思います。(一日の)後半なんて酷いですからね。躓いたり、脚を取られたりしています。
-:追い切りの映像でも確認できます。そんな中で、1週前としてビッシリやり切れましたか?
井:負荷は掛かっていると思います。最後の1Fも13秒台になっていますが、スーッと行かせていれば時計は出たと思います。ジョッキーがあえてそうしなかった感じがします。
-:ちょっとセーブ気味にしたのですね。
井:3回目なので、そんなにビシビシ鍛えなくてもいいのかなという気がします。順調にきているので、出来ないからやらなかった訳ではないです。
-:体がなくなって、時計を調節しなければいけない状態ではないのですね。
井:そういう状態ではないです。今日も量ったら88(488キロ)ありました。
-:ちゃんとやらなアカンくらいですね(笑)。
井:輸送でまた減ると思いますし、今くらいでキープですね。

引退レースにして初の中山コース
-:中山は初めてのコースになりますが、いかがでしょうか?
井:右回りがダメと言われていますが、自在性がありますし、右回りのG1も勝っています。古馬になってからの右回りのG1は、馬場が渋っていることが多かったので、右回りよりも馬場だったのかなと思います。
-:クラシックの三冠も、2つは右回りですからね。
井:戸崎さんも、乗っていて右がダメという感じはないと仰ってました。
-:改めて総括すると、良馬場で時計が速いような条件が合うのですね。
井:合うんじゃないかと思います。
-:右回り、左回りは関係ないのですね。
井:そういう気がするのですが、実際に結果が出ていないので、ファンの皆さんに右回りはダメだと言われたら、ダメなんじゃないかという気もしています。
-:それは個々の判断に任すということですね。これだけの実績を上げている馬が、コース形態がどこじゃないと走れないとか、そういうのはないと思います。実績の割に、ファンの評価はイマイチですね。
井:いえいえ、ファン投票2位にして頂けました。本当に有り難うございます。
-:ジワジワ上がっているのですね(笑)。1位のゴールドシップも出ていますし、レーティング世界No.1のジャスタウェイも出ています。
井:(レーティング)2位のエピファネイアもいますよね。うちは牝馬なので、比較が難しいです。数字じゃなんとも言えないですから(笑)。
「ただ走らせるだけの、いい加減な調教はしてないです。そういう仕上げにしてしまったら、逆に壊れてしまうこともあると思いますので」
-:それよりもやはり結果ですね。
井:結果も凄く重要で、しっかり順調に調教を積んで、いつもと変わらないように仕上げのトレーニングをしています。最後ですし、結果が良ければ最高ですが、無事というのが第一条件です。ちゃんとゴールして帰ってくることです。
-:ファンの中では、ジェンティルがJCで引退するプランもあったので、有馬記念出走に懐疑的な人もいると思います。条件さえ揃えば、安心してジェンティルの競馬をして、力を出せますか?
井:いい加減にただ引退レースをさせようという調教はしていないです。いつもと同じですし、人間が引退レースと言っているだけで、馬は分かりません。いつもと同じように、元気に走ってくれると思います。
-:その言葉を信じて、最後までジェンティルドンナを応援したいと思います。できたら勝って欲しいですね。
井:勝って引退式を迎えて欲しいです。
-:無事に繁殖牝馬として送り出すことですね。
井:それが大前提ですが、ただ走らせるだけの、いい加減な調教はしてないです。そういう仕上げにしてしまったら、逆に壊れてしまうこともあると思いますので。
-:体を守るためにも、しっかりトレーニングをするのですね。
井:そういう部分は、今まで通りと変わりなくやっています。
-:石坂先生のジェンティル愛というのは、凄いものがありますよ(笑)。我が娘を守りきって、引退させてくれるでしょうね。
井:最後だから引退レースは回ってきて、という気は、陣営には全くないです。
-:どんな子供を生んでくれるかという楽しみは、この後のことですよね。
井:大きくなって、これがジェンティルの仔かと、見られる可能性はありますけどね。その楽しみの前に、結果を出したいですし、無事に帰ってきて欲しいです。それに、あの馬は引退レースって知らないですから、必死で走ってくると思います。

-:伝わってないですか?動物ほど敏感に伝わるものはないです。
井:引退するとは思ってないんじゃないですか。
-:また府中に輸送されるのかと思って行った先が中山です。
井:来たことない所だな、というのはあると思います。
-:中山の出張馬房は、環境的には落ち着いて一夜を過ごせそうな所なのですか?
井:そういう面に関しては、輸送で色々な場所に行っていますから、そこまで馬房に注文が付く馬ではないと思います。ドバイみたいに、日本の馬房2つ分くらいあるようならリラックスもするでしょうが、大して変わらないと思います。
-:僕らが最も注目すべきは、馬場状態ですか?
井:そうですね。最後くらいは良い馬場でやらせてあげたいです。
-:中山競馬場は芝も張り替えて、新装されました。井上さんの目から見て、この馬場ならジェンティルに合いそうですか?
井:良馬場であれば問題ないと思います。
枠順抽選会の注目ポイント
-:我々の他の注目ポイントは、枠順発表のクジ引きです。馬名が引かれて、担当調教師さんにカメラが切り替わって指名します。
井:1分以内って酷ですよね。2分くらい欲しいと思うんです。
-:やっぱり、見ている側の基準なのでしょうね。その時期の中山2500mは、普通の注文が付かない馬であれば、内が良くないですか?
井:スタート地点から考えると、内が有利かなと思います。
-:2、4、6、8、1、3、5、7という順番で選んでいくのですか?
井:たぶん、そうなるのでしょうね。
-:ジェンティルはどの辺が良さそうですか?
井:内目が良いのでしょうが、ゲートセンスが凄いので、ちょっと外くらいでもポジションは取れると思います。出たなりで良いところに行けると思いますが、距離ロスが嫌なだけで、後手を踏んでしまったということは、今まで見たことがないです。大体、ちょっとフライング気味にパーッンと出ちゃいます。クジ運が悪くてちょっと外目になったとしても、ジョッキーが上手く乗ってくれると思います。
-:ジェンティル史上初のコーナー6個です。
井:器用な馬で、手前も上手に替えますから、大丈夫だと思います。

-:心配するとしたら、馬場コンディションと枠くらいですか?
井:馬場コンディションが一番だと思います。枠はクジなので、お祭りみたいなところもありますから、そればかりは分かりません。もしかしたら、物凄く良いところを引けるかもしれないですね。
-:天皇賞(秋)みたいにですね。
井:1番は問題ないのですが、1回だけ潜ろうとしたことがあったので、長くなる1番は嫌だなという気がします。
-:2、3、4番くらいなら理想的ですか?
井:4くらいが良いですかね。
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ジェンティルドンナ女傑伝説・最終章は生涯初の中山で
2014/12/21(日) 17:00
勝つつもりで使う引退レース
-:でも、寂しくなりますね。
井:僕らも仕事としている以上、新しい馬が入ってきて、また次のそういう馬になって欲しいと願ってやっていますが、なかなか思うようにはいかないです。こんな馬にはなかなか出会えないです。
-:そう簡単には出ないですよね。
井:長い歴史の中でそんなにいないですからね。
-:改めて、凄い馬ですよね。
井:もう1回同じ事をやれと言われても、同じ馬でも出来るか分からないです。毎回決まったローテーションをキッチリ使えるというのも難しいと思います。
-:大体、何かあるのがこの世界ですからね。
井:熱発するとか、脚が腫れたり色々あるのですが、そういうアクシデントが本当に少なかったです。
-:健康優良児ですね。
井:健康ですね。言うことを聞くので、体もあまり傷まないのだと思います。
「パワーもスピードもです。ドバイであんなに横に飛び出して、抜け出してきました。あの動きがあのスピードで出来るんですから、本気出せば歩いている時に何でも出来ますよ」
-:ジェンティルの体型自体は、ドナウブルーと比べてちょっと胴長なのですか?
井:ドナウよりも全部が大きくて、ちょっと長い感じです。牝馬には見えないですよね。
-:僕らが見ているよりも、乗られている方が一番分かるんじゃないですか?
井:あの馬は大人しいです。たまにちょっとヤンチャな時があるのですが、体幹が強いのか、スピードや勢いが、他の馬にない暴れ方をします。“落ちるならコイツだな”という気がしますね。元気な馬はけっこういるのですが、落ちることはないなという馬もいます。でも、ジェンティルが本気で暴れたら、吹っ飛ばされますね。
-:パワーがそのまま伝わってきますか?
井:パワーもスピードもです。ドバイであんなに横に飛び出して、抜け出してきました。あの動きがあのスピードで出来るんですから、本気出せば歩いている時に何でも出来ますよ。
-:普通、ああいうステップを踏んだ場合は、怪我したりしますよね。
井:いつも思うのですが、体幹が強いですから、ボディーバランスが崩れないのでしょうね。

ジェンティルで学んだ時計の哲学
-:井上さんといえば、坂路での時計を精密に取ろうとしたキッカケは、ジェンティルだったのですか?
井:ジェンティルに乗っている時には、それはできていました。できていて良かったなと思いました。
-:時計うんぬんよりも、馬場で変わりますからね。むしろそちらの方が大事ですか?指示通りの時計で乗れたかよりも、負荷がどれくらいか、ということですか?
井:例えば、G1の当該週の追い切りで、馬場のコンディションが凄く悪いとするじゃないですか。悪いからといって、最初から55秒を狙っていくペース配分で入ってしまうと、55秒でしか入れません。53秒とか、いい落しどころを考えて乗って、最初からある程度決めて行かないと、最初15秒で入って、最後11秒にはならないんです。上がった時に、この馬場だったら負荷が掛かり過ぎたかなとか、軽すぎたかな、という葛藤はいつもあります。
-:常にあるのですか?
井:例えば、G1の週に56秒で、馬場が重かったからメイチの負荷を掛けたくなかったと言っても、誰も納得してくれません(笑)。56秒とか57秒だと、最後が12秒台だとしても、確かに遅いです。それではやっぱりダメだし、調教師の先生にも怒られると思います。かといって、そんなに悪い馬場なのに、52秒にしてしまうと、見た目には52秒で良く動いているね、となるかもしれないですが、負荷が掛かり過ぎたんじゃないかとか、パンパンの走りやすい馬場なら51秒台のラップだな、となります。
いつも乗ってから、“今日の追い切りは成功したのかな?”って思っています。馬の疲労度って見えないですから。みんなも僕らも、時計を見るだけです。ただ、乗っての手応えを総合して考えて、周りの馬と比較して、これくらいの馬場だったら、これくらいでもよかったのかなとか、いつも100%ではないと、自分の中でやっています。
-:井上さんの場合は、水曜日に追い切った後、木・金曜日に跨いで、歩様の変化や、体の動きの硬さなどをチェックできます。今週はどうですか?
井:今週はケロッとしています。

-:ちょっと軽かったですか?
井:今週の馬場状態で53秒台は軽くないと思います。終い1Fを伸ばしていれば、53を切るか切らないかで、終いのタイムが12秒台でまとまったと思います。横にいて手応えを見ていましたが、凄く楽そうでした。でも、ジョッキーも先生から直接指示を貰ったと思うので、これでいいのだと思います。
-:戸崎さんに今のジェンティルのコンディションを感じてもらうことが、大きな目的の1つですか?
井:はい。50秒くらいの中で、実際にあのスピードで自分が乗ると、表面の凍った馬場状態で、バシャバシャ音が鳴るんです。これはどういう状態なんだろう、と思っているうちにゴールしちゃうんです。次に2頭目に乗ったりすると、さらに荒れてこれは酷いなとなりました。
-:刻一刻と悪くなっていきますよね。
井:それを見ると、今日はよくないなと。坂路で凍ることはあんまりないです。あんまりバシャバシャいうので、この感触はどうなってるのかなと思いました。馬は手応えがあるし、止まってる感じもないのに、伸びないんです。だから難しかったです。正直、本当に屋根をつけてほしいです。いつも同じ様なコンディションでやらないと、分からないですよね。
-:屋根をつけて欲しいですね。
井:今は牧場でも屋根がついていますからね。ファンの人も、(時計を)見ても分からないですよね。
-:僕らは分からないです。
井:例えば、いつも前半に乗って53秒くらいが出る馬がいても、後半の悪い時に追い切りをやると、56秒とか57秒になるんです。悪すぎて、みんなこの追い切り時計を見て参考になるのかなと思いますね。
姉妹で築き上げた血統の集大成
-:これで引退ということで寂しくなりますね。
井:JCの時くらいから、いつが最後かなというのは感じていました。最後までしっかりジェンティルをサポートできるように、頑張りたいです。
-:井上さんも中山で二人引きですね。寒い時期の大一番ですが、あと10日です。
井:楽しみたいです。
-:ジェンティルの近くにいられて、幸せですよね。
井:そうですね。あと8回乗れます。
-:8回も乗れるのですね(笑)。一回一回を噛み締めながらになりそうですね。
井:頑張りたいと思います。
「思い出は一杯あるのですが、とにかく調教をミスすることが許されないと思っていたので、必死でした。それが一番の思い出です」
-:ジェンティルとの一番の思い出はなんですか?
井:思い出は一杯あるのですが、とにかく調教をミスすることが許されないと思っていたので、必死でした。それが一番の思い出です。
-:調教で本気になってしまいませんでしたか?
井:色々な課題もありますし、そういうのをちょっとずつ矯正しながらでした。
-:ジェンティルでも課題があったのですか?
井:今はほとんど感じません。入厩したての2歳の頃は、お姉ちゃんのドナウブルーも同じなんですが、後ろからくる馬に凄く敏感でした。それが原因でドナウは引っ掛かるようになってしまいました。それを教訓に、ジェンティルは同じ様にならないように、と思って、そういうことに動じないように工夫しました。馬が慣れてくれたというのもあるのですが。
-:ジェンティルは学習能力が高いですか?
井:高いですね。見た目は全然違うのですが、精神的なものとかは他の兄姉と凄く似ていたので、やることに共通した部分が多かったです。僕にしたら初めてじゃないから、こういうところは似ているのだなという感じで、それが大きかった気がします。

-:ジェンティルの活躍の裏には、ドナウブルーでの経験が生きているのですね。
井:それはあったと思います。
-:ドナウブルーは道悪が上手いんですけどね。
井:フォームが違いますからね。
-:そこが合体したら、真の最強馬になりそうです(笑)。
井:悪いところはよく似るのですが、良いとこ取りはできないですね(笑)。
-:ドナウブルーのフォームの方が綺麗でしたよね。
井:ダイナミックでした。写真とか見ると、ドナウブルーの方が綺麗ですよね。
-:飛んでいる感じのフォームでしたよね。ジェンティルはどっちかというと終始、脚が接地しているような感じです。
井:最短距離を走っている感じがしますよね。

-:道悪が上手い走り方のはずなんですけどね。
井:坂路の道悪はそんなに気にしないんですけどね。芝となると、何か違うんでしょうね。
-:色々な要素が絡み合っているので分かりませんが、むちゃくちゃ悪くなったら走るかもしれないですね。滑っているのがいけないかもしれないです。ツメがのめり込む様なら走るかもしれません。
井:どうなんでしょうね。大概そういうことはないんですが、最後はどうなるんでしょう。
-:僕らもある程度近くで、これだけの馬を見られたというのは、ファンにとっても凄く幸せなことですね。
井:なかなかこういう馬に会えないですよね。
-:しかも、コンスタントに使いたいレースに出てきてくれて、牝馬の最長期間活躍できました。
井:ずっと着にはきていますし、そんなに恥ずかしいレースもしていないです。頑張っていると思います。
-:引退式で井上さんはジェンティルに、何て言葉をかけてあげるのですか?
井:有り難うくらいしか言えないですよね。楽しかったですし、色々な経験もさせてもらいました。精神的にしんどいことも多かったですけどね(笑)。
-:最後の一戦を楽しみにしています。あと8回頑張って下さい。
井:ありがとうございます。
(取材・写真=高橋章夫 写真=競馬ラボ特派員)
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プロフィール

【井上 泰平】Taihei Inoue
大阪府豊中市出身。9歳から乗馬を始め、高校生時代に国体を優勝。必然の流れにより大学では馬術部に入る。卒業後は美浦分場に2年間勤務。アイルランドの研修などを挟んだ後に競馬学校へと進学し、中村均厩舎からトレセン生活をスタート。その後は開業直後の角居勝彦厩舎で調教主任を務め、大久保龍志厩舎では持ち乗りから攻め専に転身。後の名門厩舎の基盤を築く。
32年に渡る馬乗り人生の中で、現在モットーにしていることは「馬との信頼関係を築くこと。分かりあえたかなと思っても、また違うのかなとそれの繰り返し」と。石坂正厩舎の屋台骨を支えるベテラン調教助手。
32年に渡る馬乗り人生の中で、現在モットーにしていることは「馬との信頼関係を築くこと。分かりあえたかなと思っても、また違うのかなとそれの繰り返し」と。石坂正厩舎の屋台骨を支えるベテラン調教助手。

【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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