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14年12月28日(日)4回中山8日目10R 第59回有馬記念(G1)(芝2500m)
ジェンティルドンナ
(牝5、栗東・石坂厩舎)
父:ディープインパクト
母:ドナブリーニ
母父:Bertolini
有馬記念の結果・払戻金はコチラ⇒
スタンドを埋め尽くす黒、黒。そう、日本人の頭の色である。脚の踏み場もないほどに混雑したスタンドのあちこち。ファンファーレと共に、大歓声で今年の最後の一番を迎えた。
いつもどおりに好スタートのジェンティルドンナ。エピファネイアが2番手を持ったまま行くゆったりした流れでの3番手。まるで自分がハナを切っているかの様な位置で最後のカーブを廻った。そこからはジリジリっとした感じながら、前のエピファネイアを捕え、後ろからを完封してのゴール。牝馬としては、歴代最高の賞金を稼いだ賢女。毎年G1を勝ってしまう凄い女が、引退レースでも強さを見せた。
引退式に華を添える最高の演出。11万人の応援の声が、いつまでも鳴り響いていた。
どんどんと盛り上がる中山競馬場。ゴールドシップの返し馬が、以前に比べると大人しくなった。大勢の観客が見守る前を通って4コーナーへと行くのが、ごく普通の返し馬であるとしたら、逆の1コーナーへと去っていったのがトーセンラー、ウインバリアシオン、そしてジェンティルドンナの3頭であった。
オーロラビジョンに、ゴンドラ席が写しだされる。なんと、そこにはミスターがいた。そう、長嶋さんである。あの笑顔で大勢のファンに手を振る。
ボルテージが最高となる。入場人員も発表される。《午後3時現在で111,206名》だそうだ。だから多いのか。だったらオグリの時ってこの倍に近いのかと、恐怖を覚えた。そして陸上自衛隊のファンファーレ演奏となる。
3コーナー手前のゲートインが始まる。空にはヘリコプターが喧しい。
ゲートが開いた。メイショウマンボが1頭だけ置かれる。真っ先に飛び出したのは、やはりジェンティルドンナ。ゲートセンスが本当にいい馬である。それをヴィルシーナが押して押して先頭となって行く。少ししてエピファネイアが3番手に上がり、さらに前へと出て2番手となる。《意外と前で競馬するんだな~》と感じいる。トーセンラーも好枠を生かすべく、すっと前でレースをする。赤い帽子の2頭も好位の4,5番手にいる。
スタンド前を通過していく。我々が見つめる調教師席のすぐ目の前から、1コーナーへと走り去っていく。この音がいい。現場にいて、最高に幸せに感じる音である。
2コーナーを過ぎてヴィルシーナが先頭。2馬身ぐらい後ろにエピファネイア。そこから4馬身ぐらい後を、ジェンティルドンナが先頭となる次の集団が続く。トーセンラーの後ろにワンアンドオンリーがいる。ジャスタウェイは後方から4,5頭め。少し前を芦毛のゴールドシップがいる。決して外々を廻ってはいない。そのゴールドシップが動いて勝負が始まる。3コーナーを廻って外目を進出するゴールドシップ。追いかける様にウインバリアシオンが続く。
4角手前で逃げるヴィルシーナを交しにかかるエピファネイア。完璧に折り合っていた道中からも、また手応えからも、完全に勝利を手に入れたのではないかと思えた。ゴールドシップも上がって行くが、それに併せてラキシスが内から続き前に出さない。仕掛け処なんである。
直線へ入って完全にエピファネイアが先頭。ジェンティルドンナが追いかけるが、まだ差が詰まらない。外からラキシス、ゴールドシップ。ジャスタウェイも少し遅れて上がってきているのが見える。内でトーセンラーも悪くはないが、ガツンと伸びる気配には見えない。
ラスト1ハロン。ジェンティルドンナがエピファネイアに並びかけようとしてくる。ゴールドシップは、外からジワジワとしか伸びてこない。ラキシスに替わって、内から赤い帽子が伸びてきている。何なんだと一瞬、思う。トゥザワールドだ。
ジェンティルドンナの脚色が落ちない。そのまま伸びていく。2着が接戦。まだ内でエピファネイアも粘っている、がトゥザワールド、ゴールドシップが馬体を並べてゴールへと入った。ジャスタウェイもいい伸びを見せていたが、届くまではいかなかった。
調教師席の端っこで観ていた当方の、階段を降りようとして歩き出すその先に、石坂師が涙を浮かべて佇んでいた。《おめでとうございます》と声をかけて下りて枠場の方へと行く。
トーセンラーの鞍を外す武豊Jと厩舎サイド。そばに島川さん関係の方もいた。『形は出来たんだけどね~、あそこからガツンと伸びてくれなかった…』と武豊Jが言う。お疲れさまと労う。
ゴチャゴチャするそこからPVを観に行く。最初のゴール前を過ぎて行く時に《エピファネイアを始め、前がゆったりと判っているからみんな前々で競馬をするな~》と感じたし、そんな一流どころのジョッキーって、みんなが同じ様な考えと行動を取るものなんだな~と感心する。まるで今年のダービーで横山典、蛯名J、そしてわが武豊Jもあの位置で競馬をした事を想いだした。《だから、G1競馬っていいんだな~》と、ライブで観れる幸せを感じるものだった。
日本最強馬はジェンティルドンナ。おそらくフランスへ行っていても好勝負していたのではないかと、以前にも書いた。まさしく、最後にそのとおりの仕事ぶり。
そうそう、関東ジョッキーが乗る関西馬、そして外国人騎手。まるで絵に書いた様な図式で。今年の最終戦が終ったのである。
《いい競馬をありがとう》とお礼を言いたい。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
- ジェンティルドンナが惜しまれながらの引退に華を添える!!
トピックスTopics
ジェンティルドンナが惜しまれながらの引退に華を添える!!
2014/12/29(月) 13:16
14年12月28日(日)4回中山8日目10R 第59回有馬記念(G1)(芝2500m)
ジェンティルドンナ
(牝5、栗東・石坂厩舎)
父:ディープインパクト
母:ドナブリーニ
母父:Bertolini
有馬記念の結果・払戻金はコチラ⇒
スタンドを埋め尽くす黒、黒。そう、日本人の頭の色である。脚の踏み場もないほどに混雑したスタンドのあちこち。ファンファーレと共に、大歓声で今年の最後の一番を迎えた。
いつもどおりに好スタートのジェンティルドンナ。エピファネイアが2番手を持ったまま行くゆったりした流れでの3番手。まるで自分がハナを切っているかの様な位置で最後のカーブを廻った。そこからはジリジリっとした感じながら、前のエピファネイアを捕え、後ろからを完封してのゴール。牝馬としては、歴代最高の賞金を稼いだ賢女。毎年G1を勝ってしまう凄い女が、引退レースでも強さを見せた。
引退式に華を添える最高の演出。11万人の応援の声が、いつまでも鳴り響いていた。
どんどんと盛り上がる中山競馬場。ゴールドシップの返し馬が、以前に比べると大人しくなった。大勢の観客が見守る前を通って4コーナーへと行くのが、ごく普通の返し馬であるとしたら、逆の1コーナーへと去っていったのがトーセンラー、ウインバリアシオン、そしてジェンティルドンナの3頭であった。
オーロラビジョンに、ゴンドラ席が写しだされる。なんと、そこにはミスターがいた。そう、長嶋さんである。あの笑顔で大勢のファンに手を振る。
ボルテージが最高となる。入場人員も発表される。《午後3時現在で111,206名》だそうだ。だから多いのか。だったらオグリの時ってこの倍に近いのかと、恐怖を覚えた。そして陸上自衛隊のファンファーレ演奏となる。
3コーナー手前のゲートインが始まる。空にはヘリコプターが喧しい。
ゲートが開いた。メイショウマンボが1頭だけ置かれる。真っ先に飛び出したのは、やはりジェンティルドンナ。ゲートセンスが本当にいい馬である。それをヴィルシーナが押して押して先頭となって行く。少ししてエピファネイアが3番手に上がり、さらに前へと出て2番手となる。《意外と前で競馬するんだな~》と感じいる。トーセンラーも好枠を生かすべく、すっと前でレースをする。赤い帽子の2頭も好位の4,5番手にいる。
スタンド前を通過していく。我々が見つめる調教師席のすぐ目の前から、1コーナーへと走り去っていく。この音がいい。現場にいて、最高に幸せに感じる音である。
2コーナーを過ぎてヴィルシーナが先頭。2馬身ぐらい後ろにエピファネイア。そこから4馬身ぐらい後を、ジェンティルドンナが先頭となる次の集団が続く。トーセンラーの後ろにワンアンドオンリーがいる。ジャスタウェイは後方から4,5頭め。少し前を芦毛のゴールドシップがいる。決して外々を廻ってはいない。そのゴールドシップが動いて勝負が始まる。3コーナーを廻って外目を進出するゴールドシップ。追いかける様にウインバリアシオンが続く。
4角手前で逃げるヴィルシーナを交しにかかるエピファネイア。完璧に折り合っていた道中からも、また手応えからも、完全に勝利を手に入れたのではないかと思えた。ゴールドシップも上がって行くが、それに併せてラキシスが内から続き前に出さない。仕掛け処なんである。
直線へ入って完全にエピファネイアが先頭。ジェンティルドンナが追いかけるが、まだ差が詰まらない。外からラキシス、ゴールドシップ。ジャスタウェイも少し遅れて上がってきているのが見える。内でトーセンラーも悪くはないが、ガツンと伸びる気配には見えない。
ラスト1ハロン。ジェンティルドンナがエピファネイアに並びかけようとしてくる。ゴールドシップは、外からジワジワとしか伸びてこない。ラキシスに替わって、内から赤い帽子が伸びてきている。何なんだと一瞬、思う。トゥザワールドだ。
ジェンティルドンナの脚色が落ちない。そのまま伸びていく。2着が接戦。まだ内でエピファネイアも粘っている、がトゥザワールド、ゴールドシップが馬体を並べてゴールへと入った。ジャスタウェイもいい伸びを見せていたが、届くまではいかなかった。
調教師席の端っこで観ていた当方の、階段を降りようとして歩き出すその先に、石坂師が涙を浮かべて佇んでいた。《おめでとうございます》と声をかけて下りて枠場の方へと行く。
トーセンラーの鞍を外す武豊Jと厩舎サイド。そばに島川さん関係の方もいた。『形は出来たんだけどね~、あそこからガツンと伸びてくれなかった…』と武豊Jが言う。お疲れさまと労う。
ゴチャゴチャするそこからPVを観に行く。最初のゴール前を過ぎて行く時に《エピファネイアを始め、前がゆったりと判っているからみんな前々で競馬をするな~》と感じたし、そんな一流どころのジョッキーって、みんなが同じ様な考えと行動を取るものなんだな~と感心する。まるで今年のダービーで横山典、蛯名J、そしてわが武豊Jもあの位置で競馬をした事を想いだした。《だから、G1競馬っていいんだな~》と、ライブで観れる幸せを感じるものだった。
日本最強馬はジェンティルドンナ。おそらくフランスへ行っていても好勝負していたのではないかと、以前にも書いた。まさしく、最後にそのとおりの仕事ぶり。
そうそう、関東ジョッキーが乗る関西馬、そして外国人騎手。まるで絵に書いた様な図式で。今年の最終戦が終ったのである。
《いい競馬をありがとう》とお礼を言いたい。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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