http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/other/horse/2014/columndtl/201412280007-spnavi
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JRAの1年を締めくくるグランプリレース、第59回GI有馬記念が28日、中山競馬場2500メートル芝を舞台に争われ、戸崎圭太騎乗の4番人気ジェンティルドンナ(牝5=栗東・石坂厩舎、父ディープインパクト)が優勝。好位3番手追走から最後の直線を力強く抜け出し、引退レースで有終の美を飾った。良馬場の勝ちタイムは2分35秒3。
ジェンティルドンナは今回の勝利で通算19戦10勝(海外2戦1勝含む)、GI勝利数はシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカに並ぶ7勝目(海外含む)。また、騎乗した戸崎、同馬を管理する石坂正調教師ともに有馬記念は初勝利となった。
なお、3/4馬身差の2着にはウィリアム・ビュイック騎乗の9番人気トゥザワールド(牡3=栗東・池江厩舎)、さらにハナ差の3着には岩田康誠騎乗の1番人気ゴールドシップ(牡5=栗東・須貝厩舎)が入線。ジェンティルドンナと同じく有馬記念が引退レースとなるジャスタウェイ(牡5=栗東・須貝厩舎)は4着に敗れた。
59回を数える歴史の中で幾多のドラマを生んできた有馬記念。今年もまた、永遠に日本競馬史に刻まれる劇的なレースとなった。
「この秋の2戦を振り返って、ジェンティルドンナの力はこんなもんじゃないと思っていました。その思いが最後の直線で出てくれましたね。夢のような……本当に『ありがとう!』と、ジェンティルドンナには言いたい」
レース後の共同会見で、石坂調教師が力を込めてゴール前最後の攻防を振り返った。彼女の力はこんなもんじゃない――現役最強の実績を持つ稀代の名牝にとって、最終的な単勝オッズが4番人気というのは屈辱以外の何物でもなかっただろう。だが、そんな評価となってしまうのも、この秋2戦の連敗(天皇賞・秋2着、ジャパンカップ4着)、いや、夏の宝塚記念9着を含めての3連敗を考えれば仕方ない。ジェンティルにも衰えの時が来たのだ――と。
しかし、GI6勝馬の心は少したりとも折れてはいなかった。
「勝つべくして勝つ条件はすべてそろっていました。戸崎君には『競馬は簡単だ』とレース前に伝えたんです」
石坂調教師が語った“勝つ条件”の中でも「最大だったのは枠順」。クリスマスの25日に史上初めて枠順ドラフトが実施され、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手がクジで一番目に引いた馬がジェンティルドンナだった。陣営が選択した枠番は2枠4番。この時点ですでにジェンティルドンナのハッピーエンドは約束されていたのかもしれない。いや、こういった“運”を引き寄せることもまた、真の強者たる所以なのだろう。
最後の騎乗者に指名された戸崎も、勝つべくして勝つ条件がすべてそろったことを認識していたかのように、レース前は“自信”の2文字しかなかったという。
「引退レースですから、最高のパフォーマンスを見せようと、自信を持って乗りました。今回が2度目の騎乗で、天皇賞では負けはしましたが、僕自身はすごくこの馬との相性を感じていたんです。だから何の不安もなく、自信を持って臨めましたね」
レースは教科書通りの横綱相撲。前半1000mの通過が63秒という超スローペースの中でもキッチリと好位で折り合い、最後の直線では実に鮮やかに、そして実に力強く駆けて行った。ゴールドシップ、ジャスタウェイ、そしてエピファネイアら牡馬を従えて走る姿はまさに、猛き貴婦人そのものだった。
「すごく賢くて、素直な馬。騎手の意思でレースを運べる馬ですね。我慢してくれるところでは我慢して、行くところでは行ってくれる。ゲートも速いので位置取りもすんなりと自分の好きなところを取れる馬なんです」
戸崎のこの言葉を聞き、この期に及んで僕はハッと、ジェンティルドンナの強さの最大の秘密を知ったように思った。ぶち抜いたオークスや、オルフェーヴルを弾き飛ばしながら勝ったジャパンカップの印象が強いせいか、恐ろしいまでの末脚の切れ味と勝負根性がその強さを支えていると思っていたのだが、そうではなく、騎手の意のままに操れる素直さと乗りやすさこそがジェンティルドンナ最大の長所だったのだ、と。
「競馬におろしてすぐからGIを争う立場にいて、この3年ずっと結果を出してきた偉大な馬です。そして、ラストでこれだけのパフォーマンスを見せてくれて、改めて凄い馬だなと思いましたね。よく私が管理することができたなと思います」
ジェンティルドンナとの3年の歩みを振り返った石坂調教師は、ベストレースに迷わずこの有馬記念を挙げた。そして、グランプリの余韻が色濃く残る17時過ぎからは引退セレモニーが執り行われ、スタンドを埋め尽くすぐらいの多くの人たちが、歴史的名牝を見送っていた。
JRA創立60周年という節目の1年は終わり、同時にジェンティルドンナという時代も終わった。振り返ればこの10年は、ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、そしてジェンティルドンナへと続く“牝馬の時代”だったと思う。その象徴的存在がターフを去ったJRA61周年目から、日本競馬はどのような時代へと突入するのだろうか? そんなことを考えながら年末年始をゆっくり過ごしたいところなのだけど、東西金杯は1週間後の1月4日。あまり感傷に浸るヒマもなく、新しい時代はすぐにやって来るのである。
どうでもいい余談ですが、結局、有馬記念でも心穏やかに年越しできないくらい財布の中身を持っていかれてしまいました。来年こそは“馬券”でいい思いをしたい! それでは、有馬で勝った人も負けた人も、まだ東京大賞典がある、いやいや競輪グランプリで最後の大勝負という人も、すべての競馬ファンのみなさま、よいお年を!
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)
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「勝つべくして勝つ」ジェンティルドンナ
有終の有馬記念、父に並ぶ七冠締め
スポーツナビ
2014年12月28日 19:30
ディープ、ウオッカらに並ぶGI7勝目
ジェンティルドンナは今回の勝利で通算19戦10勝(海外2戦1勝含む)、GI勝利数はシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカに並ぶ7勝目(海外含む)。また、騎乗した戸崎、同馬を管理する石坂正調教師ともに有馬記念は初勝利となった。
なお、3/4馬身差の2着にはウィリアム・ビュイック騎乗の9番人気トゥザワールド(牡3=栗東・池江厩舎)、さらにハナ差の3着には岩田康誠騎乗の1番人気ゴールドシップ(牡5=栗東・須貝厩舎)が入線。ジェンティルドンナと同じく有馬記念が引退レースとなるジャスタウェイ(牡5=栗東・須貝厩舎)は4着に敗れた。
ジェンティルの力はこんなもんじゃない
「この秋の2戦を振り返って、ジェンティルドンナの力はこんなもんじゃないと思っていました。その思いが最後の直線で出てくれましたね。夢のような……本当に『ありがとう!』と、ジェンティルドンナには言いたい」
レース後の共同会見で、石坂調教師が力を込めてゴール前最後の攻防を振り返った。彼女の力はこんなもんじゃない――現役最強の実績を持つ稀代の名牝にとって、最終的な単勝オッズが4番人気というのは屈辱以外の何物でもなかっただろう。だが、そんな評価となってしまうのも、この秋2戦の連敗(天皇賞・秋2着、ジャパンカップ4着)、いや、夏の宝塚記念9着を含めての3連敗を考えれば仕方ない。ジェンティルにも衰えの時が来たのだ――と。
しかし、GI6勝馬の心は少したりとも折れてはいなかった。
勝つべくして勝つ条件
石坂調教師が語った“勝つ条件”の中でも「最大だったのは枠順」。クリスマスの25日に史上初めて枠順ドラフトが実施され、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手がクジで一番目に引いた馬がジェンティルドンナだった。陣営が選択した枠番は2枠4番。この時点ですでにジェンティルドンナのハッピーエンドは約束されていたのかもしれない。いや、こういった“運”を引き寄せることもまた、真の強者たる所以なのだろう。
最後の騎乗者に指名された戸崎も、勝つべくして勝つ条件がすべてそろったことを認識していたかのように、レース前は“自信”の2文字しかなかったという。
「引退レースですから、最高のパフォーマンスを見せようと、自信を持って乗りました。今回が2度目の騎乗で、天皇賞では負けはしましたが、僕自身はすごくこの馬との相性を感じていたんです。だから何の不安もなく、自信を持って臨めましたね」
レースは教科書通りの横綱相撲。前半1000mの通過が63秒という超スローペースの中でもキッチリと好位で折り合い、最後の直線では実に鮮やかに、そして実に力強く駆けて行った。ゴールドシップ、ジャスタウェイ、そしてエピファネイアら牡馬を従えて走る姿はまさに、猛き貴婦人そのものだった。
ジェンティルを支えた強さの秘密
戸崎のこの言葉を聞き、この期に及んで僕はハッと、ジェンティルドンナの強さの最大の秘密を知ったように思った。ぶち抜いたオークスや、オルフェーヴルを弾き飛ばしながら勝ったジャパンカップの印象が強いせいか、恐ろしいまでの末脚の切れ味と勝負根性がその強さを支えていると思っていたのだが、そうではなく、騎手の意のままに操れる素直さと乗りやすさこそがジェンティルドンナ最大の長所だったのだ、と。
「競馬におろしてすぐからGIを争う立場にいて、この3年ずっと結果を出してきた偉大な馬です。そして、ラストでこれだけのパフォーマンスを見せてくれて、改めて凄い馬だなと思いましたね。よく私が管理することができたなと思います」
ジェンティルドンナとの3年の歩みを振り返った石坂調教師は、ベストレースに迷わずこの有馬記念を挙げた。そして、グランプリの余韻が色濃く残る17時過ぎからは引退セレモニーが執り行われ、スタンドを埋め尽くすぐらいの多くの人たちが、歴史的名牝を見送っていた。
1つの区切り、新しい時代はすぐにやって来る
どうでもいい余談ですが、結局、有馬記念でも心穏やかに年越しできないくらい財布の中身を持っていかれてしまいました。来年こそは“馬券”でいい思いをしたい! それでは、有馬で勝った人も負けた人も、まだ東京大賞典がある、いやいや競輪グランプリで最後の大勝負という人も、すべての競馬ファンのみなさま、よいお年を!
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)
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