2012年10月17日水曜日

夢対

http://www.tokyo-sports.co.jp/race/48308/
ジェンティルvsオルフェ夢対決
2012年10月17日 11時00分

 14日、京都競馬場で行われた第17回秋華賞(芝内2000メートル)は、圧倒的1番人気に支持されたジェンティルドンナ(牝3・石坂)が史上4頭目の3歳牝馬3冠を達成した。ヴィルシーナをわずか7センチ差でしのいだ薄氷のV。大方の予想だった“大楽勝”でないことに表面的な食い足りなさは感じるが、返し馬の落馬から始まった数々の試練を克服したレースの中身は、実は十分濃い。目指すべきは古馬牝馬撃破=エリザベス女王杯(11月11日=京都芝外2200メートル)ではなく、最高峰のジャパンC(11月25日=東京芝2400メートル)ではないか? 

“事件”満載の3冠V――。まずは、「観客席を見て物見をしてしまった」(岩田)ことで起きた返し馬の落馬。続いてレース展開。前半5ハロン通過が前日同距離の2歳未勝利戦より0秒3も遅く、さらに向正面過ぎに小牧太=チェリーメドゥーサが一気のマクりでハナに立ち、後続を大きく突き放す奇襲劇…。ゴール手前でなんとか先頭に立ったと思った瞬間、内からヴィルシーナの“猛襲”。

 ハナ差の辛勝に「ヒヤヒヤさせてすいません」とは岩田。「もう少し楽な勝ち方をしたかったけど、いろんなことがあって厳しい競馬になった。それでもあのスローで我慢できたし、あの位置から差し切ったのだから能力を再確認した。今後はもっと余裕を持ってエスコートできるように自分自身レベルアップしていきたい」

 落馬した際に、右のあぶみがなかなか外れなかったことで、右足首を捻挫。レース後は足を引きずって歩くのがやっとだったが「あそこで手綱を離したら歴史がとんでもないことになる(最悪放馬↓競走除外)と思って…。死んでも離せなかった」という。

「勝つのがいかに難しいかをあらためて痛感した」とは石坂調教師。戦前「大体、勝たせていただけると思っています」と強気の発言をしていただけに、最後ヴィルシーナが迫った時には「なんとか勝ってほしい」と祈ったという。

 5馬身差のド派手な勝ちっぷりを見せたオークスと比べると高い評価は与えにくい内容だが、この馬に対する関係者の評価はみじんも変わっていない。「ブエナビスタ、ウオッカに匹敵する馬。気持ちがドシッとしてくれば、世界に通用する名牝になれると思っています」と岩田が言えば、石坂調教師もこれに呼応するように「世界に行かなければいけない馬だと思います」。

 時計が遅くなればなるほど紛れが起こりやすいのが競馬。過去10年では最も遅い勝ちタイムの今回は大荒れになってもおかしくない状況だった。加えて複数の予期せぬ事態…それでもディープインパクトの孝行娘はきっちり3冠を取り切った。この事実は、やはり重い。

 同馬は今後エリザベス女王杯かジャパンCに向かう。前記の通り、陣営のこの馬に対する自信は微動だにしていない。オークスが最もハイパフォーマンスを見せた舞台だけに、打って出るべきはジャパンCでは? ソレミア、オルフェーヴル(有馬記念が最有力だが…)の凱旋門賞1、2着コンビと府中12ハロン2分23秒ランナーが真っ向勝負――。未確定の図式ではあるが、夢想するだけで心躍る“トライアングル”だ。

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