それでは、今日は秋華賞を振り返ろう。

ジェンティルドンナは、このスローペースを中団から行って、道中ずっと回るロスがあったのに差し切るんだから「強い」のひと言。馬の力が違っていたね。あれだけ外を回っていたんだから、5~6馬身はロスしているはず。でも、仮に内でロスなく乗れていたとしても、馬群に閉じ込められて出るに出られなくなる可能性もあるし、結果的には外を回ったのは正解だったと思うよ。2着のヴィルシーナは素晴らしい競馬をして、120%の力を出している。その馬をロスの多い乗り方で負かすんだから、着差以上に強い競馬をしたと言えるんじゃないかな。道中、外で壁を作れずにハミを噛んでいたけど、あれぐらいなら大丈夫。歴代の3冠牝馬にヒケを取らないどころか、この馬が一番強いと思えるぐらいだよ。

ヴィルシーナは、ジェンティルドンナを負かすには「スタートを決めて、1コーナーから自分で競馬を作る(=ハナに立つ)しかない」と思っていたんだ。この1番枠だから余計にね。その通りの競馬ができていたし、道中で掛かっているわけでもない。最高の競馬ができていたんだけど、僕だったら3コーナーから早めに動いて後続に脚を使わせる乗り方をしていたかな。タイミングが早過ぎれば終いが甘くなるのは当然で、ウチパク(内田博騎手)も後ろの動きをしきりに気にしていたよね。でも、ヨーイドンの競馬では敵わないんだから、もうワンテンポ早めに動いて、何とか最後まで我慢させるような競馬をした方が良かったんじゃないかな。まぁ、これはあくまでも結果論であって、早めに動いたら2着もなかったかもしれない。この馬としては完璧な競馬ができたと思うよ。

アロマティコは後方からの競馬になったんだけど、4コーナーまでロスはひとつもなかった。ただ、直線ではジェンティルドンナの真後ろに入って、表に出す羽目になったのが痛かったね。それでもこれだけの競馬ができたんだし、ジェンティルドンナをマークして我慢して乗った甲斐はあったんじゃないかな。ここで勝つにはヴィルシーナのように先行するか、後ろから行くかの思い切った乗り方しかなかったと思うし、この馬も最高の競馬ができていたんじゃないかな。ひと夏越して力を付けているみたいだね。

ブリッジクライムも後方からの競馬で、アロマティコと同じような位置取り。4コーナーまでインでジッとしていたのも同じだけど、表に出すタイミングがワンテンポ遅れた分の4着だろうね。ペースが遅くて馬群が団子になっていたから、捌くのに手間取ったのが痛かったよ。まぁ、どんな競馬もできそうだし、自己条件に戻ればすぐにチャンスがあるんじゃないかな。

チェリーメドゥーサはペースが遅かったから、向正面で一気にマクってハナに行ったね。後続を離していてもペースは遅かったわけだけど、思い切った競馬をして5着に残れば大したものだよ。GⅠでこういう競馬を見るのは久々。イチかバチかの賭けに出た小牧を僕は褒めたいね。ヴィルシーナが来るのを待って、もし、4コーナーまで追い出しを我慢していたらヴィルシーナが勝っていたかもしれない。小牧の乗り方ひとつで全体の結果も変わっていたと思う。まぁ、この馬としては上等の競馬ができているよ。

アイムユアーズは5~6番手に付けて先行していたんだけど、最後は切れ味の差が出てしまったね。それにペースが遅かったせいで、道中も一生懸命に走って遊びがなかったんだ。ラップがコンマ数秒ずつでも速ければ違っていたんだろうけど…。まぁ、最後までバッタリ止まったわけではないし、切れる脚を使える馬に交わされただけ。悲観する内容ではないと思うよ。

ミッドサマーフェアは位置取りが後ろ過ぎたし、あまりにもペースが遅過ぎてハミをガッチリ噛んでいたからね。こうなったら終い伸びないのも当然だろう。思い切った競馬をしていれば、ペースが遅かったとしても結果は違っていたんじゃないかな。

明日は府中牝馬Sを振り返ろうと思うから、また覗きに来てよ。