http://www.yomitoku-keiba.com/archives/52003857.html
第17回秋華賞は、曇り空ながら良馬場で行われた。
何が何でも逃げる、という馬がいなかったためハナ争いがひとつの注目だったが、まず最内を生かし押して押して行ったのがヴィルシーナ。外からメイショウスザンナも並びかけ、キャトルフィーユ、アイスフォーリスと馬群が続いた。アイムユアーズも好位の6番手辺りをキープし、その後ろにジェンティルドンナでここが中団。その後ろにミッドサマーフェア、アロマティコがいて、ハナズゴールやブリッジクライム、ラスヴェンチュラスは後方からの競馬。前半の3ハロンが36秒5、4ハロンが49秒9とかなりのスローペースで、向正面に入ったところで一気にチェリーメドゥーサが上がっていった。これは、前走の白井特別を勝ったときと同じパターンのひとマクリ。1000メートル通過はチェリーメドゥーサが最初で、ここで62秒2。やはり、遅い。そこから同馬は11秒6-11秒4-11秒3と加速していき、2番手のヴィルシーナを3コーナーでは10馬身ほど離していた。
直線に入ってもリードはまだ7馬身ほど。小牧騎手が必死に追うが、後続も差を詰めてくる。ヴィルシーナは馬場の3分どころ、ジェンティルドンナは真ん中外めに行き、アイムユアーズやアロマティコが大外。残り150メートル地点でも、まだ4馬身ほどのリード。ただ、ここでチェリーメドゥーサの脚色が鈍り、一気にジェンティルドンナとヴィルシーナが馬体を併せて伸びてきた。あと30メートル。ここでジェンティルドンナアとヴィルシーナがチェリーメドゥーサを交わし、ハナ面を合わせてゴールした。結果は、僅か7センチほどの差でジェンティルドンナが1着。桜花賞、オークスに続きヴィルシーナが2着で、ジェンティルドンナはメジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネに続く史上4頭目の「牝馬三冠馬」に輝いた。
…しかし、記録や馬券を脇に置いても、非常に見応えのある好レースになった。それも、すべて小牧騎手=チェリーメドゥーサのおかげ。あのマクリでペースが上がり、最後の1000メートルが58秒2。勝ったジェンティルドンナは上がり3ハロン33秒1を使い、オークスで見せたような爆発的な末脚をいかんなく発揮できた。また、馬群が縦長になったので、4コーナーで馬場の真ん中外めを通り、極力ロスが少なかったのも奏功した。結果は力通りだったが、あのままスローペースで流れていたら、ヴィルシーナに残られている可能性もなくはなかった。
ただ、パドックでジェンティルドンナを見ると、前走のローズS時のプラス12キロから更に2キロ馬体を増やし474キロでの出走。ローズS時より、いくらか気合いを表に出していたが、その馬体ははち切れんばかりで、古馬の牡馬を思わす「風格」すら漂っていた。ブエナビスタはどちらかというと貧相に見える馬体だったが、こちらは真逆。ウオッカを思わせる、まさに「男勝り」の馬体だった。折り合い、瞬発力も文句なしで、シンザン記念で既に同世代の牡馬は一蹴しているが、古馬の牡馬相手でも、互角以上にやれることは間違いない。次走はエリザベス女王杯かジャパンカップか、とのことだが、ぜひオルフェーヴルが出るジャパンカップに出てもらいたい。盛り上がりもさることながら、好レースになることは確かだから。
GⅠでの対決で「3度目の正直」とはならなかったヴィルシーナだが、これはもう生まれた年が悪かったよしか言いようがない。3着に突っ込んできたアロマティコは1と2分の1馬身差で、ほぼ後続は完封していたといっていい内容。「レース展望」でも述べたが、内枠を利して前に行く内田博騎手の戦法は正しかった。チェリーメドゥーサにマクられるという誤算はあったが、4コーナー手前で動き出し前との差を詰めていったのだから、形としてはほぼ「完璧」。自身、上がり33秒9を使ってジェンティルドンナに併せにいき、勝負根性を引き出す作戦もハマったのだが、またしても僅かに及ばなかった(まるで、テイエムオペラオーとメイショウオドトウの関係のよう)。今回も馬体減りなく450キロでの出走だったが、落ち着き払った周回でこれもデキは抜群に見えた。ジェンティルドンナ以外との勝負付けは済んでいるので、次走以降の動向が気になる。これも、古馬の牡馬相手でも通用しそうだ。
3着にはアロマティコが追い上げてきた。道中はジェンティルドンナの斜め後ろから行き、直線入り口で馬場の真ん中→大外に持ち出しひと追いごとに急追。上がり3ハロンの33秒1はジェンティルドンナのそれと同じだった。今後は馬体の維持も鍵(今回は458キロ)になりそうだが、脚をためればしっかり伸びてくるので、今後も注意が必要。
4着のブリッジクライムは、前走で減らした馬体重を回復できなかったが(プラマイゼロ)、後方待機から直線だけで追い上げ上がり3ハロンは33秒0。こちらも、牝馬らしいキレ味のある脚を持っている。やはり、
馬体重の維持が今後の課題だろう。
今レースの最大の立役者、チェリーメドゥーサは5着に踏ん張った。直線に入ってからも、恐らく小牧騎手は「やった」と思ったハズ。ビートブラックの天皇賞・春や、クィーンスプマンテのエリザベス女王杯を彷彿させるリードだったが、僅かに及ばなかった。ムラっ気がある馬だが、能力の一端は示した。ベスト距離はマイル前後なので、この路線に出走してきたときは要注意か。
3番人気に推されたアイムユアーズは6着まで。前走時のプラス24キロから、更に馬体を2キロ増やし470キロでの出走となったが、前走時と同様にまったく太くは見えなかった。8枠17番という大外枠を懸念していたが、1~2コーナーでも大外に振り回されることなく意外とスンナリ好位から運べた。直線で、ちょうど真横にジェンティルドンナがきて一緒になって上がってくるかと思いきや、伸びはジリジリ。デビュー以来で、初めて掲示板を外してしまった。これが現状の力の差なのか、それとも自分から動いていく形が良かったのかは、ちょっとわからない。あとは今後の成長力に期待といったところ。
5番人気だったミッドサマーフェアは後方からほとんど伸びることなく11着。プラス10キロと馬体もふっくら見えたし、状態は良さそうだったが、2コーナー過ぎまで口を割りやや行きたがっていた。若干、折り合いを欠いたのが伸びなかった要因だろう。
さて、今週は牡馬の最後のクラシックの菊花賞。皐月賞馬のゴールドシップ、ダービー馬のディープブリランテの対決が注目されるが、個人的に面白い存在と思っているのがこの馬。
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競馬 ブログランキングへ(現在30位ぐらいです)。
追切りの動きも含め再度検討するが、こちらも秋華賞に負けないくらいの「熱戦」となることを祈る。
何が何でも逃げる、という馬がいなかったためハナ争いがひとつの注目だったが、まず最内を生かし押して押して行ったのがヴィルシーナ。外からメイショウスザンナも並びかけ、キャトルフィーユ、アイスフォーリスと馬群が続いた。アイムユアーズも好位の6番手辺りをキープし、その後ろにジェンティルドンナでここが中団。その後ろにミッドサマーフェア、アロマティコがいて、ハナズゴールやブリッジクライム、ラスヴェンチュラスは後方からの競馬。前半の3ハロンが36秒5、4ハロンが49秒9とかなりのスローペースで、向正面に入ったところで一気にチェリーメドゥーサが上がっていった。これは、前走の白井特別を勝ったときと同じパターンのひとマクリ。1000メートル通過はチェリーメドゥーサが最初で、ここで62秒2。やはり、遅い。そこから同馬は11秒6-11秒4-11秒3と加速していき、2番手のヴィルシーナを3コーナーでは10馬身ほど離していた。
直線に入ってもリードはまだ7馬身ほど。小牧騎手が必死に追うが、後続も差を詰めてくる。ヴィルシーナは馬場の3分どころ、ジェンティルドンナは真ん中外めに行き、アイムユアーズやアロマティコが大外。残り150メートル地点でも、まだ4馬身ほどのリード。ただ、ここでチェリーメドゥーサの脚色が鈍り、一気にジェンティルドンナとヴィルシーナが馬体を併せて伸びてきた。あと30メートル。ここでジェンティルドンナアとヴィルシーナがチェリーメドゥーサを交わし、ハナ面を合わせてゴールした。結果は、僅か7センチほどの差でジェンティルドンナが1着。桜花賞、オークスに続きヴィルシーナが2着で、ジェンティルドンナはメジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネに続く史上4頭目の「牝馬三冠馬」に輝いた。
…しかし、記録や馬券を脇に置いても、非常に見応えのある好レースになった。それも、すべて小牧騎手=チェリーメドゥーサのおかげ。あのマクリでペースが上がり、最後の1000メートルが58秒2。勝ったジェンティルドンナは上がり3ハロン33秒1を使い、オークスで見せたような爆発的な末脚をいかんなく発揮できた。また、馬群が縦長になったので、4コーナーで馬場の真ん中外めを通り、極力ロスが少なかったのも奏功した。結果は力通りだったが、あのままスローペースで流れていたら、ヴィルシーナに残られている可能性もなくはなかった。
ただ、パドックでジェンティルドンナを見ると、前走のローズS時のプラス12キロから更に2キロ馬体を増やし474キロでの出走。ローズS時より、いくらか気合いを表に出していたが、その馬体ははち切れんばかりで、古馬の牡馬を思わす「風格」すら漂っていた。ブエナビスタはどちらかというと貧相に見える馬体だったが、こちらは真逆。ウオッカを思わせる、まさに「男勝り」の馬体だった。折り合い、瞬発力も文句なしで、シンザン記念で既に同世代の牡馬は一蹴しているが、古馬の牡馬相手でも、互角以上にやれることは間違いない。次走はエリザベス女王杯かジャパンカップか、とのことだが、ぜひオルフェーヴルが出るジャパンカップに出てもらいたい。盛り上がりもさることながら、好レースになることは確かだから。
GⅠでの対決で「3度目の正直」とはならなかったヴィルシーナだが、これはもう生まれた年が悪かったよしか言いようがない。3着に突っ込んできたアロマティコは1と2分の1馬身差で、ほぼ後続は完封していたといっていい内容。「レース展望」でも述べたが、内枠を利して前に行く内田博騎手の戦法は正しかった。チェリーメドゥーサにマクられるという誤算はあったが、4コーナー手前で動き出し前との差を詰めていったのだから、形としてはほぼ「完璧」。自身、上がり33秒9を使ってジェンティルドンナに併せにいき、勝負根性を引き出す作戦もハマったのだが、またしても僅かに及ばなかった(まるで、テイエムオペラオーとメイショウオドトウの関係のよう)。今回も馬体減りなく450キロでの出走だったが、落ち着き払った周回でこれもデキは抜群に見えた。ジェンティルドンナ以外との勝負付けは済んでいるので、次走以降の動向が気になる。これも、古馬の牡馬相手でも通用しそうだ。
3着にはアロマティコが追い上げてきた。道中はジェンティルドンナの斜め後ろから行き、直線入り口で馬場の真ん中→大外に持ち出しひと追いごとに急追。上がり3ハロンの33秒1はジェンティルドンナのそれと同じだった。今後は馬体の維持も鍵(今回は458キロ)になりそうだが、脚をためればしっかり伸びてくるので、今後も注意が必要。
4着のブリッジクライムは、前走で減らした馬体重を回復できなかったが(プラマイゼロ)、後方待機から直線だけで追い上げ上がり3ハロンは33秒0。こちらも、牝馬らしいキレ味のある脚を持っている。やはり、
馬体重の維持が今後の課題だろう。
今レースの最大の立役者、チェリーメドゥーサは5着に踏ん張った。直線に入ってからも、恐らく小牧騎手は「やった」と思ったハズ。ビートブラックの天皇賞・春や、クィーンスプマンテのエリザベス女王杯を彷彿させるリードだったが、僅かに及ばなかった。ムラっ気がある馬だが、能力の一端は示した。ベスト距離はマイル前後なので、この路線に出走してきたときは要注意か。
3番人気に推されたアイムユアーズは6着まで。前走時のプラス24キロから、更に馬体を2キロ増やし470キロでの出走となったが、前走時と同様にまったく太くは見えなかった。8枠17番という大外枠を懸念していたが、1~2コーナーでも大外に振り回されることなく意外とスンナリ好位から運べた。直線で、ちょうど真横にジェンティルドンナがきて一緒になって上がってくるかと思いきや、伸びはジリジリ。デビュー以来で、初めて掲示板を外してしまった。これが現状の力の差なのか、それとも自分から動いていく形が良かったのかは、ちょっとわからない。あとは今後の成長力に期待といったところ。
5番人気だったミッドサマーフェアは後方からほとんど伸びることなく11着。プラス10キロと馬体もふっくら見えたし、状態は良さそうだったが、2コーナー過ぎまで口を割りやや行きたがっていた。若干、折り合いを欠いたのが伸びなかった要因だろう。
さて、今週は牡馬の最後のクラシックの菊花賞。皐月賞馬のゴールドシップ、ダービー馬のディープブリランテの対決が注目されるが、個人的に面白い存在と思っているのがこの馬。
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追切りの動きも含め再度検討するが、こちらも秋華賞に負けないくらいの「熱戦」となることを祈る。
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