2014年11月29日土曜日

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【競馬】JC、ジェンティルvsハープ「勝つのはどっち?」

2014.11.27
  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
 第34回ジャパンカップ(東京・芝2400m)が11月30日に開催される。創設当初の10年あまりは、ホスト国の日本調教馬にとって、同レースの栄冠は高い壁だった。それが近年では、8年連続で日本調教馬が勝利。日本の競走馬の強さを表す、象徴的なレースとなっている。
 そして今年も、日本調教馬の強さを世界に知らしめるにふさわしいメンバーがそろった。GI馬が9頭で、そのうち、天皇賞・春を制したフェノーメノ(牡5歳)をはじめ、皐月賞馬イスラボニータ(牡3歳)、ダービー馬ワンアンドオンリー(牡3歳)、天皇賞・秋の勝ち馬スピルバーク(牡5歳)など、7頭が今年のGIを勝利し実力のピークにある。しかも、ジャスタウェイ(牡5歳)とジェンティルドンナ(牝5歳)は海外(ドバイ)のGIウイナーで、出走馬のレベルは過去最高と言っていい。この豪華メンバーがどんなレースを見せてくれるのか、今から期待は膨らむばかりだ。
ジャパンカップ3連覇を狙うジェンティルドンナ。
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ジャパンカップ3連覇を狙うジェンティルドンナ。
まさしく現在の日本の頂点を決するレースとなるが、その中でも注目したい対戦がある。ジャパンカップ3連覇を狙うジェンティルドンナと、凱旋門賞(10月5日/フランス・芝2400m)で日本馬最先着(6着)を果たした桜花賞馬ハープスター(牝3歳)の、現役最強牝馬の座をかけた戦いだ。おそらく最初で最後の激突になると思われるこの一戦は、日本の競馬史に刻まれてもおかしくないほどの”夢の対決”と言える。
 そんな歴史的な”対決”を、識者はどう見ているのだろうか。トレセンで取材活動に奔走している競馬記者たちなどを直撃し、ジェンティルドンナとハープスター、「ジャパンカップで勝つのはどっちか?」聞いてみた。
 すると、一方の馬に支持が集中した。「ジャパンカップに限るなら、ジェンティルドンナが有利」という声が大半を占めた。
「ジェンティルドンナは、確かにピーク時に比べたら、ややパフォーマンスの低下は見られますが、それでも左回りでは、今年も崩れてはいません。東京・芝2400mという条件での安定感は抜群で、死角は少ないです。ハープスターは、ポテンシャルこそジェンティルドンナをしのぐかもしれませんが、2400m戦での戦績がもうひとつ。今回と同じ条件のオークス(5月25日)では、同世代のヌーヴォレコルト(牝3歳)を差し切れず、理由はどうであれ、凱旋門賞でも6着に終わりました。そうしたことを踏まえると、やはりハープスターには割引が必要で、ジェンティルドンナが一枚上と見ます」
 そう語るデイリースポーツの豊島俊介記者の見立ては、今回の”ジェンティルドンナとハープスターの対決”に対する典型的な意見だった。結果、2頭の対決に絞って識者に見解を求めたところ、18人中16人が「ジェンティルドンナが優位」と回答した。ある在阪の記者は、こう語る。
「まずは、臨戦過程。叩き2走目は5戦5勝というジェンティルドンナは、休み明けで天皇賞・秋(2着。11月2日/東京・芝2000m)を叩いて、理想的なローテーション。片やハープスターは、どんな馬でも不安材料となる”海外帰り”。その差は明らかです。また、実績面でも、ジェンティルドンナは牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)を難なく成し遂げましたが、ハープスターは結局、桜花賞の一冠だけ。さらに、ジェンティルドンナには国内外で積んできたキャリアがあります。大一番では、それがモノを言うはずです」
 加えて、ジェンティルドンナは「鞍上がライアン・ムーア騎手であることが、大きなアドバンテージになる」と、日刊スポーツの木南友輔記者は強調する。
「(ムーア騎手が)現在、世界で一番頼りになるジョッキーであることは、今年の活躍を見れば明らか(世界各国のGIレースで10勝以上挙げている)。オーストラリアのGIメルボルンカップ(芝3200m)では、ドイツのプロテクショニスト(牡5歳)に騎乗して4馬身差の完勝。その手腕を目の当たりにしてきましたから、信頼は増すばかりです。そんなムーア騎手がジェンティルドンナを最短距離でゴールまで走らせるのに対して、ハープスターは追い込み一手。馬群を割れず、これまでどおり外から仕掛けるしかないでしょうから、その展開は厳しいと言わざるを得ないですよね」
 今回は、あくまでもジャパンカップでの対決。そうなれば、臨戦過程や実績、騎手を含めて好材料が並ぶ、ジェンティルドンナに支持が偏るのも頷(うなず)ける。では、純粋に2頭のコンディションが同じだったらどうか。今年、大きな反響を呼んだ『覚えておきたい日本の牝系100』を上梓した、サラブレッド血統センターの平出貴昭氏によれば、血統面から見ても「ジェンティルドンナが優位」だと言う。
「ジェンティルドンナは、母が芝6ハロン(約1200m)の英国GI馬。そのため、字面上はマイル前後が適距離といったイメージがあります。そのうえ、祖母の父や3代母の父は、それほど実績や血統的な魅力のある種牡馬ではありません。そういった点から見ると、これほど輝かしい実績を挙げる馬になったことは意外です。ある意味、血統では分析できない”突然変異”的な存在と言えるでしょう。あえて血統的な要因を挙げるとすれば、リファールのクロス(近親交配)でしょう。このクロスは、同じディープインパクト産駒で言えば、ディープブリランテ(2012年ダービー馬)、トーセンラー(2013年マイルCS馬)とスピルバーグ(2014年天皇賞・秋馬)兄弟などと同じパターン。能力の底上げに成功しています。
 一方、ハープスターは、父ディープインパクト、母の父ファルブラヴがいずれもジャパンカップ勝ち馬と、このレースに縁の深い配合です。ただしファルブラヴは、父としても、母の父としても、産駒の多くはスプリンター。母の父としての芝レースの勝利は、ハープスターの札幌記念(8月24日/札幌・芝2000m)以外は、すべて1600m以下のもの。ハープスターも、本質はマイラーと思いますので、東京の芝2400m戦では厳しいと見ます」
 とはいえ、競馬に絶対はない。「ハープスターに利あり」と声高に語る識者もいる。独自の競馬予想『TF(タイムフィルター)指数』を駆使する競馬評論家の市丸博司氏は、「むしろ今回こそ、ハープスターに勝つチャンスがある」と断言する。
「ジェンティルドンナは確かにジャパンカップ連覇中ですが、3歳時は最内をぴったり回って、斤量の恩恵もあって(3歳牝馬=53kg、3歳牡馬=55kg、古馬牝馬=55kg、古馬牡馬=57kg)、ぎりぎり勝つことができました。昨年は低調なメンバー構成で、15着に沈んだゴールドシップ(牡5歳。当時4歳)の自滅にも助けられました。しかし今回は、昨年とはメンバーのレベルが違います。一昨年のような、斤量の恩恵もありません。『TF指数』でも6番手くらいの評価に過ぎません。
 翻(ひるがえ)って、ハープスターは札幌記念で、同コースが得意であるはずのゴールドシップ(2着)を完封しました。さらに、凱旋門賞では仮柵を外した“グリーンベルト(芝が生えそろったきれいな馬場)”の外、荒れた馬場でほとんど伸びないコースを通ったにもかかわらず、強烈な末脚を披露。潜在能力の高さは見せたと言えます。『TF指数』でも斤量53kgが評価されて、出走馬の中で1位となる数値が出ました。今回に限れば、ハープスターはジェンティルドンナに勝てます」
 獣医の資格を持ち、独特の馬体診断でも定評のある中日スポーツの若原隆宏記者は、2頭の体型を比べて「ハープスター有利」と分析する。
「この2頭の馬体を比較すると、推進力を生み出す、運動力学的な構造がまるで違うことがわかります。ハープスターはすらりとした後躯(※)の腱が良質なバネとして働いていて、一度作られたスピードを、新たなエネルギーを加えずにうまく保存できるタイプです。対してジェンティルドンナは、筋肉質で、失われた運動エネルギーをせっせと補填(ほてん)してスピードを得るタイプ。今春のドバイシーマクラシック(1着。3月29日/ドバイ・芝2410m)で見せたような、前が詰まり通しの中、一瞬馬群が開いたところを、一気に加速して抜けられるのは、運動エネルギーを瞬時に補填できるからこそ成せる業です。
 平たく言えば、トップスピードに乗る過程、あるいはスピードに乗ってから、スムーズな走りを見せるのが、ハープスター。ごちゃつく中で、馬群をさばく立ち回りに長(た)けているのが、ジェンティルドンナ。今回のメンバーを見ると、中団で大混雑しそうな展開が予想されます。そこで、ジェンティルドンナはその混雑からうまく抜け出せるでしょうが、最後の上がり勝負となった場合、中団馬群の外をスムーズにトップスピードで駆け抜けていくハープスターのほうが有利になると思うのですが……」

※馬体は大きく分けて、前躯(ぜんく)、中躯(ちゅうく)、後躯(こうく)の3つに分けられる。お尻や後肢などは後躯に入る。
 はたして、ジェンティルドンナが驚異のジャパンカップ3連覇を遂げるのか、驚異的な末脚を秘める若き牝馬が世代交代を果たすのか。そうそうたる顔ぶれの中で繰り広げられる“牝馬の頂上決戦”から目が離せない。

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