http://keibalab.jp/column/keita_weekly/105/
天皇賞ではジェンティルドンナに騎乗という大役を任された戸崎圭太騎手。結果は2着と、最高の結果を残すことはできなかったが、面目躍如の騎乗だったといえよう。そして、幾多の名手の中でも、戸崎騎手が標榜するライアン・ムーア騎手が来日。世界的名手とのエピソードも語ってもらった。
-:天皇賞はジェンティルドンナとのコンビ。結果は残念でしたが、振り返っていかがですか?
圭太:自分が思った通りのレース、展開にもなりましたし、凄く乗りやすかったですね。直線は行くところがなかったので、狭いところを突っ込んでいってしまったのですが、あそこは馬の能力で伸びてくれた感じですかね。
-:追い切りの段階では「レースに行った方が良さが出る馬じゃないか」という話もあったと思います。その違いは感じられましたか?
圭太:思ったよりも、もっと(掛かって)行くかな、と思ったのですが、すぐ落ち着いて道中は走ってくれましたし、それが良いのか悪いのか分からないですけど、乗りやすかったですね。
-:レースに行って何か新たな発見はありましたか?
圭太:その辺はイメージ通りかなという感じですかね。根性もあるし、それはもう乗る前から分かっていましたし、特にイメージは変わらないかなと。
-:ドバイしかり、ああいう狭いところを割って出るようなレースも出来る馬なので、直線で狭くなった時には、ある意味ジェンティルドンナの良さが出るのかな、と思いながら見ていました。それでも最後外から差される形になってしまいました。結果は2着ですけども、この馬の競馬というか、あの条件で与えられた中で良い結果だったのかなと思うのですが。
圭太:どうでしょうかねぇ、フフフ。それは周りが判断することなんで。
-:勝ってないだけに、なかなか……?
圭太:でも、僕は悔いなくレースを出来ましたし、コンタクトも良い感じで取れたので、良かったレースだったと思いますね。
-:理想を言えば、逃げた馬が流していれば、スペース的にも、流れとしても良かったかもしれませんね。
圭太:でも、ペースはどうなんですかねぇ。流していって……、どうなんだろうな。かと言って、多分流れていって、それに付いていっちゃうと、終いはどうなのかな、という気はしないでもないですね。距離が長ければ別の話ですが。
-:2000だったらこのペースは(ピッタリと)?
圭太:ちょうど良いペースだったのかなと。ただ、直線はどこか空いてもらいたかったですけどね。それくらいちょうど良い手応えだったんで。あれでもっとグングン行くなら、もう少し流れても良かったのかもしれないですが、すごくピタッと来ていた感じだったので。まあ、そこは僕の感覚だけですけどね。
-:展開を思う中では、ペースというか流れも理想的なものだった訳ですね。
圭太:流れていた方が良かったのかもしれないですし、それは分からないですが、僕は良かったと思います。
-:ジェンティルドンナは1戦しか乗らずに引退してしまう可能性があると思いますけど、今まで見てきた中でのジェンティルドンナの走りと、実際に乗ってのデキというか、力というのはどういう風に感じましたか。戦前は2番人気には支持されていましたけど、「終わったんじゃないか」という意見もあった訳じゃないですか。その中で2着に収まることができたので、ある意味のリベンジにはなったわけですよね。
圭太:まだまだ衰えた感じはないですけどね。もっと若い時はガツガツしていたと思いますけどね。その辺は変わったのかなという気はしますけど。
-:それが少し大人しくなっているというか、落ち着きが出ている分、昔から見ていると、そういう風に勘違いしてしまう部分があるのかもしれないですね。
圭太:それは言えるのかもしれませんね。
-:僕もパトロールビデオとか拝見しましたけど、直線は外に行くようなスペースもなかったですね。
圭太:そうですね。外に行ってても、結局残りちょっとぐらいしか開かなかったので。制裁を喰らっているので、良い騎乗です、とは言わないですが、ああいう乗り方をしました。
-:大半の人が納得してくれた一戦だったと思いますが、レースを終えられての心境はいかがでしたか。ご本人にとっても秋のイベントの中でも重要な一戦だったと思いますが?
圭太:負けはしましたけれども、そのレースの間の、あの馬とのコンタクトが凄く良かったし、気持ち良かったので、良いレースだったと思いますね。あれだけの馬に乗せていただいたというのも良かったですし。
-:あとは(ジャパンC)3連覇を頑張って欲しいですね。
圭太:そうですね。
-:リーディング争いは少し差が詰まってきましたが、残り1カ月間半のラストスパートですね。
圭太:まあ、終わった時に分かるでしょ。
-:「ライバル(ライアン・ムーア)」が海外からやってきて、勝ち星争いはますます熾烈になります。
圭太:良いですねぇ~。ライバルではないですけど、良いですねぇ。
-:それはどう良いんですか?
圭太:単純にカッコ良い。痺れる騎乗をしますよ、彼は。俺なんかよりも、全然比べ物にならないですよ。
-:戸崎騎手自体、相当な実績を残されていながら、それだけ自らを卑下するのも凄いですが……。ムーア騎手のその凄さというのはどういったところですか?
圭太:馬を余さない、能力をきちんと出し切る。コンタクトもすぐに取るし、知識も豊富ですし、いや~、痺れますよ。
-:得意の英語でしゃべったりしないですか?
圭太:いや、しないです。まだ、しゃべれないです。通訳さんを通して、話たりはしていますけどね。ちょっと色々と学びたいと思っているので。
-:戸崎騎手は他の方も讃えつつも、その中でもここまで「凄い」とハッキリ評する人はなかなかいないじゃないですか。
圭太:凄く尊敬もするし、大好きですね。
-:それはやっぱり特別な存在ですか?
圭太:うん、惚れ惚れします。乗り方を見て、さすがだと多々思いますね。
-:今、会っている中で騎乗の話はしていますか、技術的な話とか?
圭太:しましたね。去年くらいはまだそんなに聞けもしなかったし、まだまだ自分も慣れていないというのもありましたから、図々しいかな、という遠慮がありましたかね。新馬戦の話だったり、ジェンティルドンナの話も。通訳さんがいなかったんで、よく分からなかったけど。俺が返すのがダメだったから、これ以上は無理だと思ったんでしょう。それからは別の話をして。でも、今年はもうビッチリ聞こうかなと思っています。
-:基本的にはトレセンも美浦同士な訳ですよね、だったらしゃべれる機会も?
圭太:自分がしゃべれないからね。やっぱり通訳さんを通してだから、何か歯痒いなというのを自分でも思うんで。自分がしゃべれればもっとドンドン聞けるんでしょうけど。
-:現時点ではまだ自分で聞けるレベルに行っていないということですね。
圭太:全然、達していないです。
-:でも、英語をやって1年になる訳ですよね。
圭太:まあ、やってきたけども、ちょいちょい……。
-:休んでいるんですか?基本は週一なんですよね。
圭太:基本週一ですね。
-:それが月一になっている時もあると?
圭太:あります(笑)。
-:来年か再来年辺りはもっと自ら意志疎通を?
圭太:話が出来たら良いなと。それを求めて英語をやり始めたんですからね。
※次回は11月28日(金)に更新予定です。
- 週刊!戸崎圭太
- 2着惜敗も納得の天皇賞
2014年の勝利数
11月16日時点134勝リーディング1位
2着惜敗も納得の天皇賞
2014/11/23(日) 12:09
敗れても充実 名牝との天皇賞
-:天皇賞はジェンティルドンナとのコンビ。結果は残念でしたが、振り返っていかがですか?
圭太:自分が思った通りのレース、展開にもなりましたし、凄く乗りやすかったですね。直線は行くところがなかったので、狭いところを突っ込んでいってしまったのですが、あそこは馬の能力で伸びてくれた感じですかね。
-:追い切りの段階では「レースに行った方が良さが出る馬じゃないか」という話もあったと思います。その違いは感じられましたか?
圭太:思ったよりも、もっと(掛かって)行くかな、と思ったのですが、すぐ落ち着いて道中は走ってくれましたし、それが良いのか悪いのか分からないですけど、乗りやすかったですね。
-:レースに行って何か新たな発見はありましたか?
圭太:その辺はイメージ通りかなという感じですかね。根性もあるし、それはもう乗る前から分かっていましたし、特にイメージは変わらないかなと。
-:ドバイしかり、ああいう狭いところを割って出るようなレースも出来る馬なので、直線で狭くなった時には、ある意味ジェンティルドンナの良さが出るのかな、と思いながら見ていました。それでも最後外から差される形になってしまいました。結果は2着ですけども、この馬の競馬というか、あの条件で与えられた中で良い結果だったのかなと思うのですが。
圭太:どうでしょうかねぇ、フフフ。それは周りが判断することなんで。
-:勝ってないだけに、なかなか……?
圭太:でも、僕は悔いなくレースを出来ましたし、コンタクトも良い感じで取れたので、良かったレースだったと思いますね。
-:理想を言えば、逃げた馬が流していれば、スペース的にも、流れとしても良かったかもしれませんね。
圭太:でも、ペースはどうなんですかねぇ。流していって……、どうなんだろうな。かと言って、多分流れていって、それに付いていっちゃうと、終いはどうなのかな、という気はしないでもないですね。距離が長ければ別の話ですが。
-:2000だったらこのペースは(ピッタリと)?
圭太:ちょうど良いペースだったのかなと。ただ、直線はどこか空いてもらいたかったですけどね。それくらいちょうど良い手応えだったんで。あれでもっとグングン行くなら、もう少し流れても良かったのかもしれないですが、すごくピタッと来ていた感じだったので。まあ、そこは僕の感覚だけですけどね。
-:展開を思う中では、ペースというか流れも理想的なものだった訳ですね。
圭太:流れていた方が良かったのかもしれないですし、それは分からないですが、僕は良かったと思います。
-:ジェンティルドンナは1戦しか乗らずに引退してしまう可能性があると思いますけど、今まで見てきた中でのジェンティルドンナの走りと、実際に乗ってのデキというか、力というのはどういう風に感じましたか。戦前は2番人気には支持されていましたけど、「終わったんじゃないか」という意見もあった訳じゃないですか。その中で2着に収まることができたので、ある意味のリベンジにはなったわけですよね。
圭太:まだまだ衰えた感じはないですけどね。もっと若い時はガツガツしていたと思いますけどね。その辺は変わったのかなという気はしますけど。
-:それが少し大人しくなっているというか、落ち着きが出ている分、昔から見ていると、そういう風に勘違いしてしまう部分があるのかもしれないですね。
圭太:それは言えるのかもしれませんね。
-:僕もパトロールビデオとか拝見しましたけど、直線は外に行くようなスペースもなかったですね。
圭太:そうですね。外に行ってても、結局残りちょっとぐらいしか開かなかったので。制裁を喰らっているので、良い騎乗です、とは言わないですが、ああいう乗り方をしました。
-:大半の人が納得してくれた一戦だったと思いますが、レースを終えられての心境はいかがでしたか。ご本人にとっても秋のイベントの中でも重要な一戦だったと思いますが?
圭太:負けはしましたけれども、そのレースの間の、あの馬とのコンタクトが凄く良かったし、気持ち良かったので、良いレースだったと思いますね。あれだけの馬に乗せていただいたというのも良かったですし。
-:あとは(ジャパンC)3連覇を頑張って欲しいですね。
圭太:そうですね。
今年は世界の名手・R.ムーアに教えを乞う!
-:リーディング争いは少し差が詰まってきましたが、残り1カ月間半のラストスパートですね。
圭太:まあ、終わった時に分かるでしょ。
-:「ライバル(ライアン・ムーア)」が海外からやってきて、勝ち星争いはますます熾烈になります。
圭太:良いですねぇ~。ライバルではないですけど、良いですねぇ。
-:それはどう良いんですか?
圭太:単純にカッコ良い。痺れる騎乗をしますよ、彼は。俺なんかよりも、全然比べ物にならないですよ。
-:戸崎騎手自体、相当な実績を残されていながら、それだけ自らを卑下するのも凄いですが……。ムーア騎手のその凄さというのはどういったところですか?
圭太:馬を余さない、能力をきちんと出し切る。コンタクトもすぐに取るし、知識も豊富ですし、いや~、痺れますよ。
-:得意の英語でしゃべったりしないですか?
圭太:いや、しないです。まだ、しゃべれないです。通訳さんを通して、話たりはしていますけどね。ちょっと色々と学びたいと思っているので。
-:戸崎騎手は他の方も讃えつつも、その中でもここまで「凄い」とハッキリ評する人はなかなかいないじゃないですか。
圭太:凄く尊敬もするし、大好きですね。
-:それはやっぱり特別な存在ですか?
圭太:うん、惚れ惚れします。乗り方を見て、さすがだと多々思いますね。
-:今、会っている中で騎乗の話はしていますか、技術的な話とか?
圭太:しましたね。去年くらいはまだそんなに聞けもしなかったし、まだまだ自分も慣れていないというのもありましたから、図々しいかな、という遠慮がありましたかね。新馬戦の話だったり、ジェンティルドンナの話も。通訳さんがいなかったんで、よく分からなかったけど。俺が返すのがダメだったから、これ以上は無理だと思ったんでしょう。それからは別の話をして。でも、今年はもうビッチリ聞こうかなと思っています。
-:基本的にはトレセンも美浦同士な訳ですよね、だったらしゃべれる機会も?
圭太:自分がしゃべれないからね。やっぱり通訳さんを通してだから、何か歯痒いなというのを自分でも思うんで。自分がしゃべれればもっとドンドン聞けるんでしょうけど。
-:現時点ではまだ自分で聞けるレベルに行っていないということですね。
圭太:全然、達していないです。
-:でも、英語をやって1年になる訳ですよね。
圭太:まあ、やってきたけども、ちょいちょい……。
-:休んでいるんですか?基本は週一なんですよね。
圭太:基本週一ですね。
-:それが月一になっている時もあると?
圭太:あります(笑)。
-:来年か再来年辺りはもっと自ら意志疎通を?
圭太:話が出来たら良いなと。それを求めて英語をやり始めたんですからね。
※次回は11月28日(金)に更新予定です。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。
1999年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗初勝利を飾るなど、若手時代から存在感を放っていたが、2008年に306勝を上げて初の全国リーディングに輝き、一気にブレイク。その後は地方競馬No.1ジョッキーとして君臨。また、徐々に中央競馬でのスポット参戦も増えいった。
2011年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初の中央G1勝ち。一気にその名を全国の競馬ファン、関係者に知らしめると、同年に中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を受験。自身3度目となる受験で晴れて合格し、2013年3月から中央入りを果たした。移籍初年度も年間113勝をマーク。阪神JFをレッドリヴェールで制し、JRA騎手としての初のG1制覇と大活躍。今後は「JRAの戸崎圭太」として、トップを目指す。
1999年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗初勝利を飾るなど、若手時代から存在感を放っていたが、2008年に306勝を上げて初の全国リーディングに輝き、一気にブレイク。その後は地方競馬No.1ジョッキーとして君臨。また、徐々に中央競馬でのスポット参戦も増えいった。
2011年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初の中央G1勝ち。一気にその名を全国の競馬ファン、関係者に知らしめると、同年に中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を受験。自身3度目となる受験で晴れて合格し、2013年3月から中央入りを果たした。移籍初年度も年間113勝をマーク。阪神JFをレッドリヴェールで制し、JRA騎手としての初のG1制覇と大活躍。今後は「JRAの戸崎圭太」として、トップを目指す。
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