2013年11月23日土曜日

るか

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ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
 秋の”古馬三冠”レースの第2弾、ジャパンカップ(以下、JC)が11月24日(東京・芝2400m)に開催されます。
 今年で33回目を迎えますが、1981年に行なわれた第1回開催の衝撃は今でも忘れられません。当時としては考えられない2分25秒3というレコード決着(それ以前の東京・芝2400mのレコードタイムは2分27秒3)で、勝ったアメリカのメアジードーツ以下、4着まで外国馬が独占。日本馬との実力差をまざまざと見せつけられましたからね。
 しかし、今では日本調教馬が海外のGIでも勝ち負けするようになりました。ここまで日本馬のレベルが上がったのは、間違いなくJC開催の効果だと思います。反面、ここ最近は強い外国馬のJC参戦が減っています。日本馬のレベルが向上して簡単に勝てなくなったこと、日本特有の硬い馬場での競走を嫌ってのことなど、理由はさまざま考えられます。おかげで、今年にいたっては海外からの出走馬がギリギリまで決まらず、最終的にはその実力に疑問符がつく顔触れとなってしまいました。
 さらに、昨年は「最強メンバー」がそろった日本馬も、今年は何とも微妙なメンバー構成となりました。GI実績だけでなく、重賞実績さえない馬まで出走予定という、例年では考えられない事態となってしまいました。それほど、今年のレースに出走する馬の、全体の平均レベルは低いと言えます。
 そうなると、「最強メンバー」がそろった昨年のJCを勝ったジェンティルドンナ(牝4歳)にとっては、負けられない一戦となりそうです。
 昨年のレースは、JC史上でも3本の指に入るほど歴史的かつ伝説的なレースだったと思います。このコラムでも触れましたが(※2012年11月24日配信「ジャパンカップでオルフェーヴルを脅かすのは、この馬だ!」)、最後はオルフェーヴルとジェンティルドンナの壮絶な一騎打ちとなりました。
 凱旋門賞帰りのオルフェーヴルは、決して完調ではなかったかもしれません。オルフェーヴルの57kgに対して、ジェンティルドンナは53kgと、両者の間に斤量差があったことも確かです。それでも、歴史的な強さを誇るあのオルフェーヴルを、3歳牝馬という立場で、しかも2頭の叩き合いで競り負かすというのは、ただ事ではありません。ジェンティルドンナのポテンシャルは、近年「名牝」と呼ばれたブエナビスタやウオッカ、ダイワスカーレットなどをも凌ぐものだと思います。
 そのJC以来、ジェンティルドンナは勝ち星から見放されています。前走の天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)も、ややテンションが高くて2着に敗れました。ただ負けたとはいえ、相当強い競馬をしていますし、今回は1回使ったことで落ち着きも出るでしょう。舞台も、過去に最高のパフォーマンスを見せている東京の芝2400m(2012年、オークス1着、JC1着)です。普段どおりの競馬ができれば、きっちり結果を出してくれると思います。
4度目のジャパンカップに挑むエイシンフラッシュ。
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4度目のジャパンカップに挑むエイシンフラッシュ。
 鞍上は、初騎乗となるR・ムーア騎手に代わりますが、調教で跨(またが)って、馬とのコミュニケーションは十分にとれているようです。第一、ムーア騎手は、主戦場のイギリスはもちろん、フランス、イタリア、ドイツ、さらにはアメリカ、カナダ、香港、UAEなど、世界各国でGI勝利を飾っている世界のトップジョッキーです。まったく心配はいりません。

 他ではゴールドシップの走りには注目していますが、今回の「ヒモ穴馬」には、JC4度目(2010年=8着、2011年=8着、2012年=9着)の挑戦となる、エイシンフラッシュを取り上げたいと思います。
 日本ダービー(2010年5月30日/東京・芝2400m)をはじめ、昨年(10月28日)の天皇賞・秋、今年の毎日王冠(10月6日/東京・芝1800m)と、この馬が勝つときは、ある程度スローで流れて、直線で馬群が凝縮し、ヨーイドンの決め手勝負になったとき。馬込みから、まさに”フラッシュ(閃光)”のような鋭い脚を使って一瞬で突き抜けてきます。
 超一流馬がそろうJCでは、そうしたこの馬が理想とする展開にはなりにくいものです。しかし今年は、前述したとおり、出走馬全体のレベルは低く、是が非でも先手をとりたい馬も見当たりません。比較的スローに流れそうな気配があります。直線を向くまでは動かずに最後の決め手勝負といった、エイシンフラッシュにとって絶好の流れになりそうです。ダービー、天皇賞に続いてもうひとつ、ビッグタイトルを手にするチャンスがありそうですね。

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