まず最初に、土曜日の夕方の段階でハナズゴールが感冒のため出走取り消しになったことを書いておく。同馬は前走後に栗東に滞在して調整していたが、無念の回避。チューリップ賞を快勝後、桜花賞前にも蹄をぶつけるアクシデントでレースを回避しており、どうにも運がない。今後の調整、動向に注意を払いたい。


さて、レースのほうは、春に牝馬の2冠を制したジェンティルドンナがいよいよここから始動。メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネに続く「牝馬3冠馬」の誕生なるか、ステップレースといえど重要な1戦になることは間違いない。


ただ、データとして、メジロラモーヌ以外の2頭は前哨戦のローズSで負けているのが気がかりではある(スティルインラブは5着、アパパネは4着)。どちらもオークス時よりプラス20キロ超でここに出走してきており、ジェンティルドンナ陣営のコメントを見ると「恐らく20キロほど増えている」とあるので、この一致は嫌な予感がしなくもない。


しかし、それでもジェンティルドンナを本命を打つ。オークスでヴィルシーナにつけた5馬身差は、そう簡単に引っ繰り返るものではないとの判断だ。チューリップ賞ではハナズゴールやジョワドヴィーヴルらに遅れを取って4着に敗れたが、これは中間に熱発のアクシデントがあり、ギリギリ間に合ったという感が否めなかった臨戦過程だった。体調が整っていたシンザン記念、桜花賞、オークスの強さは語るまでもなく、現時点でも古馬相手に通用する能力を持っている。それは、オークスで4着に降したアイムユアーズが、夏のクイーンSで斤量の恩恵があったにせよ古馬を一蹴していることからも、わかると思う。


夏はノーザンファームしがらきに放牧に出し、8月1日に栗東に帰厩。以後は順調に乗り込まれ、いつも通り最終追いは坂路で52秒4-12秒5。オークス時の追切りが同じく坂路で52秒5-12秒3とほぼ同じことから、例え馬体重が大きく増えていたとしても、動きからは久々の不安は見られない。コース、距離も不問。最後の1冠に向け、好発進を切れることを期待したい。


対抗は春の2冠でどちらも2着に終わったヴィルシーナ。確かに、オークスでは離された2着だったが、マイル戦の桜花賞では一度出られたジェンティルドンナを差し返すようなところもあり、距離適性の差が前走に出ていたともいえる。スッと先行でき、ジェンティルドンナより前で競馬ができるのは、流れに左右されないという点では強みになる。恐らく、サンマルクイーンが逃げそうだが、ほかに行く馬もおらずペースは緩むだろう。あとは先手必勝、先に抜け出してあとは後ろからこないことを祈る、といったところか。仮にジェンティルドンナが勝負所でモタつくようなら、ヴィルシーナにも勝機は十分ある。


こちらは夏はノーザンファーム早来で過ごし、8月10日に栗東に入厩。坂路とウッドチップを併用して乗り込み、最終追いは美浦から内田博騎手が駆けつけ53秒1-12秒9。非常にリラックスした走りで、陣営によると「10キロほど増えいい体つきになった」とのこと。春は430キロ台でどちらかというと線が細く見えたから、この馬体増は成長分とみていいだろう。春のリベンジはまずここで、という陣営の意欲は、2冠馬がこのレースにかける想いより強いハズ。何とも贅沢な前哨戦だが、来年以降を見据える意味でも重要な1戦だ。


単穴にはトーセンベニザクラを指名したい。同馬はオークスでは前めに行き4、5番手からの競馬になったが、あの形ではキレ味が生きなかったし距離も長かった。桜花賞では、やや出遅れながら直線外から最後までジリジリと伸び8着。3着アイムユアーズとは0、4秒、4・5着のサウンドオブハート、メイショウスザンナとは0、1秒差しかなかったので、着順ほど悪い内容ではなかったといえる。


1月のフェアリーSでは、中団から馬群を割る根性を見せ重賞勝ち。やはり、脚をためる形のほうが力を発揮できるのだ。また、そこで4着のオメガハートランドがのちにフラワーCを勝ち、7着のアイスフォーリスがフローラS2着、オークス3着など、レースレベルも低くなかった。あとは、当日の馬体重が鍵だろう。桜花賞前は栗東に滞在し調整してきたが、逆にカイ葉を食べなくなりマイナス10キロで出走していた。今回は美浦で調整し、直前輸送の形。フェアリーSや桜花賞ぐらい走れば通用する能力はあるので、当日の気配に注目したい。


特注はラスヴェンチュラスを挙げる。こちらも細身の馬で春は馬体重の維持に苦労していたが、フローラS後は思い切って一息入れ、7月の新潟で復帰。そこで1着同着となり、前走の三面川特別では中団から追い込むも僅かに届かず3着に終わったが、そこで0、1秒差の2着だったブリッジクライムが先週の紫苑Sで2着。同世代の牝馬同士なら、大きな力の差はないどころか瞬発力だけなら世代屈指と思わせるキレ味があり、スローペースも望むところ。外回りの阪神1800メートルは歓迎だろう。


今回は輸送での馬体減りを考慮して、1週前に栗東に滞在。当初はカイ食いが落ちていたとのことだが、大幅な馬体減にまではならなさそうだ。ハマれば突き抜けるだけの脚はある。


押さえには、まずキャトルフィーユ。オープン特別の忘れな草賞を勝ち、フラワーCでも0、4秒差の5着がある馬で、3月のアルメリア賞では毎日杯2着、白百合Sを勝ったマウントシャスタの2着という実績もある。ジェンティルドンナ、ヴィルシーナ以外となら、実績面での差はそうない。前に行って渋太い馬なので流れが鍵になるが、一応残り目に注意する。


最後にスピークソフトリーもマークしておく。キャリア2戦で臨んだチューリップ賞で5着、この夏は古馬相手に揉まれ前走の札幌で2勝目を挙げてきた。480キロという馬体が示すように牝馬らしからぬどっしりとした馬で、まだ成長余地が見込める。2枠2番という内枠を生かし、ロスなく回ってくれば。
【阪神11R・ローズS(自信度A)】

◎ 09 ジェンティルドンナ
○ 06 ヴィルシーナ
▲ 03 トーセンベニザクラ(○=▲も)
☆ 10 ラスヴェンチュラス
△ 02 キャトルフィーユ
△ 13 スピークソフトリー

※…馬単の買い目は基本的に「◎○▲のボックス表裏(計6点)、◎→☆、◎→△」とします。この場合に的中と表記しますので、あらかじめご承知おきください。