日曜阪神11R
ローズS(G2)
芝外1800m
勝ちタイム 1.46.8ジェンティルドンナ(牝3、ディープインパクト・栗東・石坂厩舎)
3冠の秋、ジェンテイルドンナが好発進!!まるでディープインパクト祭り。1着のジェンティルドンナから4着の
キャトルフィーユまで、ディープインパクト産駒が並ぶ。その頂点にはジェンティルドンナが輝いていた。2番手と揺るぎのない位置を確保。直線でも追い出しは一番後。それでいて、一度たりとも後ろの馬に接近させない完璧な勝利。プラス12キロとパワーアップした馬体での秋初戦。いよいよ3冠の淀へと夢は続く・・・。
阪神競馬場のいい処は、パドックを見やすい事。長い年月、同じ場所で観られるのも実にありがたい。馬主サイドの正反対にある場所だ。ここで数々の名牝を観させて貰った。総じて言える事は、走る馬は廻りに気を散らさずマイペースを保持できる事だ。
ジェンティルドンナもそんな馬の1頭だろう。堂々として落ち着いている。後ろの
ヴィルシーナも負けじとおとなしく周回している。ジェンティルドンナ、プラス12キロ。ヴィルシーナはプラス18キロ。夏をリフレッシュした数字だ。しかしまったく太目感はない。他の馬達と比べてもこの2頭が目だって落ち着いているし、存在感がある。
ラスヴェンチュラスは逆にマイナス10キロ。こちらは逆に細め感はない。
トーセンベニザクラが少し硬いかなと感じる歩様だ。
春の勢いがこの秋も続きそうなパドックでの見立てであった。返し馬でも目立って変化は現れず。ほぼ本命サイドで終わりそうなムードだ。
ヴィルシーナが体半分前に出ていたゲート・オープンだった。逆にトーセンベニザクラは体ひとつ程に出が悪い。
サンマルクイーンが押して前へと出た。すぐジェンテイルドンナが3番手。キャトルフィーユも続く。
スピークソフトリーも続く。
1ハロンも行かぬうちにジェンティルドンナが2番手に上がる。同じ様にキャトルフィーユも内目を前へと出た。ヴィルシーナはジェンティルドンナを見る形での4番手だ。外から
サトノジョリーが5番手に上がる。後ろではトーセンベニザクラがブービーの位置だ。その1馬身前がラスヴェンチュラス。
外廻りコースへと入って行く3コーナー手前。前は5頭が先行集団。そこから2馬身後ろに、ラスヴェンチュラスがスピークソフトリーを後ろに従えて中団の先頭だ。トーセンベニザクラが後ろから3頭目に上がる。
3コーナーのカーヴを廻って行く時に、サトノジョリーがやや辛抱しきれなくなったのか、ジェンティルドンナをかわしかげんに行く。しかしまだ辛抱して並んだままで行く。
ヴィルシーナはその動きで、少し引いた形で内目へ進路を取る。1000メートルを1.01.4とユッタリな流れだ。
4コーナーが近づいてくると後ろにいた
ニコールバローズが、外を一気に上がって行き、先行集団の外目につけた。各馬もグッと差を詰めてきて、カーヴへと入って行く。
外廻りの生垣を過ぎたが、まだ先頭はサンマルクイーン。しかし直ぐ隣りのジェンティルドンナの勢いがまったく違う。外をチラっと観た
岩田Jが、さらにサンマルクイーンの方へ馬体を寄せに行く。
残り300の棒を通過するや岩田Jのステッキが1発入る。もう早めのゴーサインを出した様子だ。キャトルフィーユがその後を追う様に出てきた。外からはヴィルシーナも伸び出す。
残り100を過ぎる時には、ジェンティルドンナの勝利は確定した感じ。ヴィルシーナも2番手に上がって前を追うが、さすがに捕え切れる脚色ではない。ラスヴェンチュラが馬の中から出てきて前を追うが、まだ4番手だ。後ろでは一番外へ出したトーセンベニザクラも、やっと追い出せた様だ。
先頭のジェンティルドンナはもう勝利を確信したのか、流し気味のゴール前。むしろ2番手がゴチャツキそうだったが、ヴィルシーナが何とか死守しそうだ。最内キャトルフィーユとラスヴェンチュラスが3着争いをする。そこへトーセンベニザクラが猛追したが、届かず5着。かくして1着から4着までがディープインパクト産駒で占めた。
ゴール板前から最後の2ハロンが10.4~11.6。これがジェンティルドンナの数字である。ステッキは3発ぐらいか。パトロールビデオで見ると、最後の1ハロンで内ラチ沿いに随分と寄って行っている。それを矯正する意味でのステッキも入っていた。
フットワークが実に軽やかな馬である。今日はスッと3番手、2番手のポジションを取りに行くレースまでしていた。鞍上の気持ちに馬が反応して行っているものだろうが、何か勝負に長けた感じの馬である。まずはこのまま本番を迎えるだろうし、3冠は手中に入った感じはある。後は新しいニューヒロインがいるのかどうかであろう・・・。
そして
石坂師。これで重賞9勝目。これからまだまだ3ケ月以上あるだけに、年間最多重賞勝利も狙えるのではなかろうか。いやはや、勢いのある厩舎は違う・・なの印象でありました・・。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。