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さて、今回の「ヒモ穴馬」には、前走の京都大賞典(6着。10月6日/京都・芝2400m)で復調の気配を感じさせたトゥザグローリー(牡6歳)を指名します。重賞は通算5勝。GIの舞台でも、2010年、2011年の有馬記念で3着と好走し、本来実力のある馬です。
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【競馬】天皇賞・秋、本命ジェンティルドンナの意外な「敵」
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
10月27日に開催されるGIは、天皇賞・秋(東京・芝2000m)です。このあと、ジャパンC(11月24日/東京・芝2400m)、有馬記念(12月22日/中山・芝2500m)と続く、秋の古馬三冠レースの第1弾として、すっかり定着しましたね。
僕がデビューした当時、1980年代の前半までは、天皇賞・秋も天皇賞・春(京都・芝3200m)と同様、3200mの距離で行なわれていました。淀(京都競馬場)の3200mもタフなコースですが、府中(東京競馬場)の2マイル(3200m)は、それ以上にハードなものだったんですよ。
その後、1984年に天皇賞・秋の距離が2000mに変更されました。それからは、それまでのスタミナ勝負とは違って、ある程度スピードが要求されるようになり、安田記念などマイル(1600m)路線で活躍してきた馬が勝つことも多くなりました。
だからといって、スピードだけで押し切れるほど、府中の2000mは甘くありません。スピードに、プラスアルファーが必要とされます。距離が短くなっても、タフで、ハードな舞台であることは変わらないのです。
そんな天皇賞・秋の今年の注目馬といえば、やはりジェンティルドンナ(牝4歳)でしょう。
昨年は牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)を制しただけでなく、3歳牝馬の身ながら、果敢にジャパンCに挑戦。オルフェーヴル(牡5歳。当時4歳)をはじめ、古馬トップクラスを撃破しました。3歳牝馬が古馬の、それも超一線級に挑んで勝利するということは、並大抵のことではありません。
しかも、そのレース内容が圧巻でした。同レースではジェンティルドンナの直線の進路の取り方が物議を醸して(直線で内のジェンティルドンナが斜行してオルフェーヴルの進路を妨害したというもの)、そのことばかりが話題を集めましたが、実はとても考えられないようなレースでジェンティルドンナは勝ったのです。外枠(17頭立て8枠15番)でスタートしながら、1コーナーまでの間に最内へ切れ込んで、絶好の位置で折り合うという素晴らしいレースぶりでした。普通なら引っかかっておかしくない手引きでしたが、センスの良さというか、どんなレースの形にも対応できてしまう、この馬の従順さに本当に驚かされました。オルフェーヴルを負かしたから言うのではなく、このレースぶりだけでも記憶に残るジャパンCでしたね。
ジェンティルドンナは今年、春はドバイ遠征(ドバイシーマクラシック2着。3月30日/UAE・芝2410m)を実施して、宝塚記念(3着。6月23日/阪神・芝2200m)に出走しました。2戦とも結果は出ませんでしたが、海外遠征というものは、想像以上に調整が難しいものです。さらに、日本に戻ってきてからのケアも大変です。当初予定していた凱旋門賞(10月6日/フランス・芝2400m)への参戦をパスしたのも、そんな海外遠征の反動が少なからずあったからだと思います。
しかしこの秋は、放牧から早めに帰厩して順調そうです。府中の芝2000mというタフなコースで、強いジェンティルドンナの姿を改めて見せてほしいものです。 唯一気になるのは、馬場状態がどこまで悪くなるのか、という点です。台風の影響がどれほどあるかわかりませんが、相当な雨量があってレース当日の馬場がかなり悪化するようだと心配です。ジェンティルドンナ自身は、道悪をそれほど苦にしないと思いますが、道悪をより得意とする馬に出し抜けを食らうシーンがあっても不思議ではありません。
その候補となるのが、力のいる洋芝(北海道の競馬場の芝)の重賞レース、函館記念(7月14日/函館・芝2000m)、札幌記念(8月18日/函館・芝2000m)と連勝を飾ったトウケイヘイロー(牡4歳)です。
特に、前走・札幌記念は大雨による影響で酷い馬場でした。にもかかわらず、トウケイヘイローはスイスイとまるで泳いでいるかのような走りで、あっさりと逃げ切ってしまったのです(2着馬に6馬身差)。
スピードだけでは押し切れない府中の芝2000m。まして逃げ馬にとっては、かなり厳しいコースですが、もし札幌記念のような馬場になったら、トウケイヘイローにとっては好材料です。そういう意味では、今年の天皇賞・秋は、馬場状態がレースの行方を左右するカギになりそうですね。
それが、昨年の宝塚記念(12着。2012年6月24日)以降は、ふた桁着順が続く体たらく。年齢的な衰えがあって、もう浮上するのは厳しいかもしれないな、と思っていましたが、敗因を探ってみると、いくつかの理由が浮かび上がりました。
ひとつは、近年の酷暑。もともと同馬は暑さに弱いようで、夏場に調子を落としてしまうのです。ゆえに、すでに暑さ厳しい初夏に行なわれる宝塚記念は毎年大敗。一昨年(2011年6月26日)も13着に沈みました。でも今年は、宝塚記念を使わずに夏場は休養。それも、ずっと北海道で放牧されていたようなので、この秋は例年とは違って、いい状態で迎えられるのではないでしょうか。
そしてもうひとつ、休養する前まではツメの具合が今ひとつだったようです。あの繊細な脚で500kgを超える体を支える競争馬にとって、ツメの状態の善し悪しは成績にも大きく影響します。惨敗が続いた要因のひとつであることは間違いありません。
しかしそのツメも、昨年の有馬記念(16着。2012年12月23日)から休ませたことで、回復しているのではないでしょうか。だからこそ、京都大賞典で「オッ!」と思わせる競馬を見せられたと思います。ツメの不安を解消し、涼しくなってきた今、例年とは違うトゥザグローリーの強さを、ぜひ見せてほしいですね。
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