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宝塚記念
2013年06月24日(月)18時00分
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朝のスタートから良馬場発表。芝は大幅に回復しているようにみえたが、地盤は緩く、小雨の降りつづいた時間も長い。実際には重馬場にも近いタフなコンディションだった。
シルポートが引っぱったにもかかわらず、勝ち時計は「2分13秒2」。前2年の2分10秒台の決着とはまったく異なるパワーの競馬に持ち込まれた。後に記録として残るレース上がりは「50秒4-38秒0」となるが、好位からたたき出して勝ったゴールドシップの上がり3ハロンは「35秒2」である。伸び悩んだ注目のジェンティルドンナの勝負どころからの上がりは「35秒9」が正式な記録である。ところが、シルポートは40秒2。
つまり、シルポートの刻んだラップ「前半1000m通過58秒5」は、今回の有力馬の位置した実際の流れとはあまりにかけ離れている。各馬ともに中間地点で約3秒も前で飛ばしているシルポートはまるで無縁ということもないが、実際にはみんな、2000m以上【0-0-0-5】のシルポート(失速し10着)の今回の逃げは無視していた。
実際に残るレースの記録とは別の数字になってしまうが、中間地点で16~18馬身近くも離れた2番手に位置し、ジェンティルドンナやゴールドシップの3馬身くらい前にいたダノンバラードを事実上のペースメーカーだったと仮定すると、先導したダノンバラードの推定記録は、「前半61秒1-(12秒0)-60秒7」=2分13秒8(上がり36秒2)となる。
勝ったゴールドシップのそれは、「前半61秒6-(12秒0)-59秒6」=2分13秒2(上がり35秒2)。
3着のジェンティルドンナは、「前半61秒6-(12秒0)-60秒2」=2分13秒8(上がり35秒9)。
推定タイムだから誤差はあるとしても、ゴールドシップの前後半に注目したい。スタートは平凡だったが、そこから内田騎手が激しく気合をつけ、好位(各馬の並びでの)追走となったゴールドシップの前後半1000mは、中間の1ハロン12秒0を除くと、推定「61秒6-59秒6」=2分01秒2である。
ゴールドシップは行く気にならないと、前半は最後方近くに置かれてしまう。そこから追い通しにも映るようなロングスパートをかけると、みんなの苦しくなったゴール前で差すだけではない。抜け出してさらに伸びて完勝する。でも、不思議なことに、宝塚記念で残った記録は、前半1000mの方がやっぱり2秒も遅いのである。ゴールドシップは先行して抜け出したのではない。ほかの、もう少し先行スピードを発揮しても良さそうなライバルが、著しく控えすぎたか、行けなかったのではないか、と振り返ることができる。
通ったコースは異なるが、最後方から2馬身半も抜け出した昨年の皐月賞2000m(稍重)のゴールドシップの前後半1000mは、推定「62秒9-58秒4」=2分01秒3である。
最後方追走となった皐月賞と異なり、好位追走となった今回の宝塚記念のレース運びが大きく異なるのはたしかだが、中間の1ハロン12秒0の部分をのぞくと、中身の2000mの走破時計は同一にも近い「2分01秒2~3」であることは注目に値する。
コースは異なる。距離も1ハロンちがう。気合をつけて早めにほかの有力馬と同じような位置を取りに出たから、皐月賞と比較すると、前半1000m通過は1秒以上も異なる。でも、馬場状態が重馬場にも近いようなコンディションで、2000mに換算すると2分01秒台前半のレースだったから、ゴールドシップの良さがフルに爆発したのだと考えることもできなくはない。
ゴールドシップは先行して上がり33秒3でディープブリランテ完封した3歳春の共同通信杯が示すように、頭角を現したのは渋い中距離スピード系としてであり、2000m以下は【4-2-0-0】。やがて制した菊花賞や、有馬記念の内容から、長距離もこなせるパワーあふれる中距離タイプとなった。今回の宝塚記念で残した印象は、細かい数字など別のこととして、とにかく強い。力感あふれるすごいチャンピオンである。秋はどんなレースに出走するのだろう。
まだ分からない部分として残るのは、皐月賞や今回の宝塚記念だけでなく、日本ダービーも、神戸新聞杯も、自身の2000m通過記録は「2分01秒0」を突破していないから、仮に秋の天皇賞2000mに出走するとき、ホントに1分57~58秒で乗り切るスピード能力があるのか。そこが大きな関心を呼ぶことになる。
伏兵ダノンバラードは前述のように、離れた2番手追走が、絶妙の平均バランスのマイペースとなった。デキの良さも重なってタフな芝コンディションも苦にせず、全5勝中の4勝が「2000~2200m」に集中する距離適性をフルに生かし切っている。レース後に同厩のオルフェーヴルと違って、はっきり鼻出血と診断されたから、休養して立て直すことになる。
問題は、1番人気のジェンティルドンナ。馬場もペースもゴールドシップの理想形となったから、小差で負けても仕方がないが、ダノンバラードを捕らえきれずの完敗。こういう芝コンディションが合わなかったのは明らかである。牝馬デインドリームがレコードで抜け出した2011年の凱旋門賞のような芝状態はめったになく、秋のロンシャンは重馬場が珍しくない。そっくり今回のようなペースでの追走から、パワーと底力で抜け出して競り合うのが例年の凱旋門賞のパターンである。オルフェーヴルは2400mの走破タイム2分37秒6だった。ナカヤマフェスタは2分35秒台であり、エルコンドルパサーの年など2分38秒台だった。
休み明けにしては、陣営は自信満々だった。たしかに状態は良かった。カリカリするぐらいのレース前も、ジェンティルドンナの本来の気合の出し方である。凱旋門賞でもっとも日本馬に求められているのは、ゴール前の最後の最後、本当に苦しくなってからもうひと頑張りできる鍛え抜かれた底力だと考えられている。軽い芝コンディションに恵まれればいいが、今回の敗因が芝コンディションだとすると、これは不安、心配。好走には大きな条件がつきそうである。
フェノーメノは、スタート直後に芝の荒れた内を嫌って外に回ったのは作戦通りだったが、他のライバルを制するように位置を取ったのではなく、行かれて下げてから…の印象もあった。同じ好位にいても主導権を握ったわけではないから、この形は楽ではない。この馬も「馬場を苦にしたのが敗因」となるが、状態の出来不出来ではなく、3200mを3分14秒2の歴代4位の快時計で激走のあと。まだ昇り調子の途中のようにみえて、実はピークを過ぎていたかもしれない。
シルポートが引っぱったにもかかわらず、勝ち時計は「2分13秒2」。前2年の2分10秒台の決着とはまったく異なるパワーの競馬に持ち込まれた。後に記録として残るレース上がりは「50秒4-38秒0」となるが、好位からたたき出して勝ったゴールドシップの上がり3ハロンは「35秒2」である。伸び悩んだ注目のジェンティルドンナの勝負どころからの上がりは「35秒9」が正式な記録である。ところが、シルポートは40秒2。
つまり、シルポートの刻んだラップ「前半1000m通過58秒5」は、今回の有力馬の位置した実際の流れとはあまりにかけ離れている。各馬ともに中間地点で約3秒も前で飛ばしているシルポートはまるで無縁ということもないが、実際にはみんな、2000m以上【0-0-0-5】のシルポート(失速し10着)の今回の逃げは無視していた。
実際に残るレースの記録とは別の数字になってしまうが、中間地点で16~18馬身近くも離れた2番手に位置し、ジェンティルドンナやゴールドシップの3馬身くらい前にいたダノンバラードを事実上のペースメーカーだったと仮定すると、先導したダノンバラードの推定記録は、「前半61秒1-(12秒0)-60秒7」=2分13秒8(上がり36秒2)となる。
勝ったゴールドシップのそれは、「前半61秒6-(12秒0)-59秒6」=2分13秒2(上がり35秒2)。
3着のジェンティルドンナは、「前半61秒6-(12秒0)-60秒2」=2分13秒8(上がり35秒9)。
推定タイムだから誤差はあるとしても、ゴールドシップの前後半に注目したい。スタートは平凡だったが、そこから内田騎手が激しく気合をつけ、好位(各馬の並びでの)追走となったゴールドシップの前後半1000mは、中間の1ハロン12秒0を除くと、推定「61秒6-59秒6」=2分01秒2である。
ゴールドシップは行く気にならないと、前半は最後方近くに置かれてしまう。そこから追い通しにも映るようなロングスパートをかけると、みんなの苦しくなったゴール前で差すだけではない。抜け出してさらに伸びて完勝する。でも、不思議なことに、宝塚記念で残った記録は、前半1000mの方がやっぱり2秒も遅いのである。ゴールドシップは先行して抜け出したのではない。ほかの、もう少し先行スピードを発揮しても良さそうなライバルが、著しく控えすぎたか、行けなかったのではないか、と振り返ることができる。
通ったコースは異なるが、最後方から2馬身半も抜け出した昨年の皐月賞2000m(稍重)のゴールドシップの前後半1000mは、推定「62秒9-58秒4」=2分01秒3である。
最後方追走となった皐月賞と異なり、好位追走となった今回の宝塚記念のレース運びが大きく異なるのはたしかだが、中間の1ハロン12秒0の部分をのぞくと、中身の2000mの走破時計は同一にも近い「2分01秒2~3」であることは注目に値する。
コースは異なる。距離も1ハロンちがう。気合をつけて早めにほかの有力馬と同じような位置を取りに出たから、皐月賞と比較すると、前半1000m通過は1秒以上も異なる。でも、馬場状態が重馬場にも近いようなコンディションで、2000mに換算すると2分01秒台前半のレースだったから、ゴールドシップの良さがフルに爆発したのだと考えることもできなくはない。
ゴールドシップは先行して上がり33秒3でディープブリランテ完封した3歳春の共同通信杯が示すように、頭角を現したのは渋い中距離スピード系としてであり、2000m以下は【4-2-0-0】。やがて制した菊花賞や、有馬記念の内容から、長距離もこなせるパワーあふれる中距離タイプとなった。今回の宝塚記念で残した印象は、細かい数字など別のこととして、とにかく強い。力感あふれるすごいチャンピオンである。秋はどんなレースに出走するのだろう。
まだ分からない部分として残るのは、皐月賞や今回の宝塚記念だけでなく、日本ダービーも、神戸新聞杯も、自身の2000m通過記録は「2分01秒0」を突破していないから、仮に秋の天皇賞2000mに出走するとき、ホントに1分57~58秒で乗り切るスピード能力があるのか。そこが大きな関心を呼ぶことになる。
伏兵ダノンバラードは前述のように、離れた2番手追走が、絶妙の平均バランスのマイペースとなった。デキの良さも重なってタフな芝コンディションも苦にせず、全5勝中の4勝が「2000~2200m」に集中する距離適性をフルに生かし切っている。レース後に同厩のオルフェーヴルと違って、はっきり鼻出血と診断されたから、休養して立て直すことになる。
問題は、1番人気のジェンティルドンナ。馬場もペースもゴールドシップの理想形となったから、小差で負けても仕方がないが、ダノンバラードを捕らえきれずの完敗。こういう芝コンディションが合わなかったのは明らかである。牝馬デインドリームがレコードで抜け出した2011年の凱旋門賞のような芝状態はめったになく、秋のロンシャンは重馬場が珍しくない。そっくり今回のようなペースでの追走から、パワーと底力で抜け出して競り合うのが例年の凱旋門賞のパターンである。オルフェーヴルは2400mの走破タイム2分37秒6だった。ナカヤマフェスタは2分35秒台であり、エルコンドルパサーの年など2分38秒台だった。
休み明けにしては、陣営は自信満々だった。たしかに状態は良かった。カリカリするぐらいのレース前も、ジェンティルドンナの本来の気合の出し方である。凱旋門賞でもっとも日本馬に求められているのは、ゴール前の最後の最後、本当に苦しくなってからもうひと頑張りできる鍛え抜かれた底力だと考えられている。軽い芝コンディションに恵まれればいいが、今回の敗因が芝コンディションだとすると、これは不安、心配。好走には大きな条件がつきそうである。
フェノーメノは、スタート直後に芝の荒れた内を嫌って外に回ったのは作戦通りだったが、他のライバルを制するように位置を取ったのではなく、行かれて下げてから…の印象もあった。同じ好位にいても主導権を握ったわけではないから、この形は楽ではない。この馬も「馬場を苦にしたのが敗因」となるが、状態の出来不出来ではなく、3200mを3分14秒2の歴代4位の快時計で激走のあと。まだ昇り調子の途中のようにみえて、実はピークを過ぎていたかもしれない。
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