2013年6月23日日曜日

制す

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清水成駿のジャイロボール

2013年6月23日 更新 

【宝塚記念】不世出の牝馬が同門同士の一騎討ちを制す

最強オルフェーヴルがアッサリ宝塚を回避(肺出血)できたのは、それでもなおサンデーR陣営にジェンティルドンナ、フェノーメノの東西2枚看板が控えている背景がある。すなわち社台グループにとって、オルフェーヴルの最大の目標とは、これ以上G1を勝つことではなく、「100年の不覚」と振り返るステイゴールド(売却)の穴を埋めるべく速やかな繁殖入りではなかったか。

そう考えると今年の宝塚は、至宝オルフェーヴルに傷をつけたかも知れないジェンティルドンナとフェノーメノの同門2頭が大きく浮かび上がる。第3のゴールドシップはさしたる障害と思っていまい。フェノーメノのいない菊花を制し、オルフェーヴル、ジェンティルドンナのいない有馬を勝った馬という認識。神戸新聞杯以降、4連勝の2着馬がロードアクレイム、スカイディグニティ、オーシャンブルー、デスペラードとかなり楽。傲慢にもトップ回避という社台の間接的な援護射撃があったればこそと思っているかも知れない。

その同門同士の一騎討ち。単になれあいの身内競馬と侮ってはならない。かなりシビアな闘いになる。というのも管理する調教師が共に同じ社台グループでありながら真逆の異彩を放つ2人。仮にジェンティルドンナの石坂師が渋谷駅前の銅像のような忠勤ぶりなら、対するフェノーメノの戸田師は我が道を行く組織内自由人。

今は調教師も生き残りをかけた厳しい時代。逆風の中でYESマンとして生き残るのも一つの才能であれば、グループ内にいながら調教師本来の仕事として自ら馬を仕上げられるのは、きわめて特異で恵まれた立場といわざるをえない。もちろん、結果を出さなければ切られるだろう。オルフェーヴルとジェンティルドンナに凱旋門賞登録があってもフェノーメノにはそれがない。置かれた微妙な立場の違いが見えるよう。

心情的にはフェノーメノでも心情で本命は打てない。フェノーメノは普通に強い馬。が、ジェンティルドンナはもっと強い不世出の牝馬。おそらくウオッカやブエナビスタよりもはるかに強い。同じ59秒1で流れたダービーとオークス。単にジェンティルドンナがコンマ2秒速かったというだけでない。上がりの数字がまったく違う。ラスト2F12秒台を要したダービーに対し、オークスは11秒8-11秒8。しかも余裕の5馬身勝ちである。

秋はそれよりはるかに成長していた。でなければJCでオルフェーヴルを負かせまい。フェノーメノにも決定的な0.8秒差をつけている。今季はドバイ(2着)を挟んでさらに飛躍。期間はそう長くないが、旬を迎えた牝馬の勢いは牡馬の比ではない。今回、オルフェーヴルの出走を止まらせたのは、同じ関西に拠点を置く「ノーザンファームしがらき」の強い意向であったような気がする。

本命は⑪ジェンティルドンナ。が、③フェノーメノが今のデキそのままシビアにガチンコ勝負に出れば2着が崩れる。結果として浮かび上がるのが第3の馬⑩ゴールドシップ。重の皐月に楽な相手とはいえG1.3勝はなかなかできない。ましてフェノーメノとは5分。真っ向勝負の間隙を縫える。コチラが相手本線。

連穴にサンデーRでありながら、あえて格上挑戦の⑨ローゼンケーニッヒ。募集価格は1億円でもっとも高い。これに⑧ナカヤマナイト。入厩から初時計まで2週間以上かかった今回のトーセンラーは見切った。

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