ジェンティル桜冠!またディープ/桜花賞
ゴール前の接戦を抜け出し桜花賞を制したジェンティルドンナ(手前)
<桜花賞>◇8日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇3歳牝◇出走18頭
2番人気のジェンティルドンナ(石坂)が1分34秒6で差し切り、桜の女王の座を射止めた。石坂正師(61)は1歳上のドナウブルーで手にすることができなかったタイトルを全妹で手にし、クラシック初勝利。岩田康誠騎手(38)も桜花賞初制覇。次走オークス(G1、芝2400メートル、5月20日=東京)で2冠を狙う。桜花賞は昨年のマルセリーナに続くディープインパクト産駒連覇となり、ついに重賞2勝馬が登場。成長力をアピールする結果となった。
ディープ産駒2頭のたたき合い。アイムユアーズを挟んで内ヴィルシーナと外ジェンティルドンナ。半馬身抜け出したのはディープ産駒で最もグラマラスなジェンティルだ。中団外めから岩田騎手の完璧なエスコートで桜冠を手にした。
「すごい馬になるかもしれん」。石坂師が自身初のクラシックのタイトルを意識したのは昨年の秋だ。1歳上の全姉ドナウブルーも新馬→白菊賞を連勝したエリートだったが、こちらは繊細な気性からクラシックの季節に歯車が合わず、今年1月の京都牝馬Sでようやく重賞勝利。このドナウと比べても30~40キロも体に恵まれ、精神面でドッシリした妹にかける期待は大きかった。
「勝てる位置で競馬してくれていたので、差してこれると思っていた」。ジェンティルの長所については「ゲートをスッと出て折り合いもつく。追ったら伸びるのでテン良し、中良し、しまい良しですね」とJRA・G1、7勝目のトレーナーが絶賛の言葉を贈る。
年明けの日刊スポーツ賞シンザン記念で男馬を相手に重賞初勝利。桜のつぼみはふくらむばかりだったが、チューリップ賞の3週間前に暗雲が立ちこめた。熱発で馬場入りを4~5日控えざるをえなかった。
同じクラブには2歳女王ジョワドヴィーヴルがおり、僚馬のエピセアロームもいる。クラブからは翌週のフィリーズレビューへの転戦を打診されたが、石坂師は信念を貫いた。本番のために中4週、マイル戦をステップにしたかった。61歳の師は「クラシックを狙えるのはあと9回。好きにさせてください」。できるだけ本番までの間隔をあける用兵はズバリ的中した。
チューリップ賞前の追い切りで初めてまたがった岩田騎手は「ブエナビスタみたい」と乗り味を絶賛。その能力は本物だった。攻め馬担当の井上助手が「どんな時計でも乗れる」というコントロールのしやすさは2400メートルに延びるオークスでも大きな武器だ。
師も「精神的に大人びているので距離が延びても対応できそう。今日の内容なら期待を持てる」と、早くもクラシック第2ラウンドを楽しみにする。今週の皐月賞では同じディープ産駒のアダムスピークがスタンバイ。勢いに乗った石坂師とジェンティルドンナという“貴婦人”が府中でも華麗に舞う。【中西典章】
◆ディープ産駒初の重賞2勝馬 桜花賞はディープインパクト産駒の連覇で終了。桜花賞、安田記念、阪神JFに続く4つめのG1タイトルはまたしてもマイル戦だったが、ついに重賞2勝馬が誕生したことはディープにとって朗報。重賞勝ち第1号のダノンバラードからヒストリカルまでの15頭がすべて重賞1勝馬だったことから成長力に疑問符をつける声があったが、晴れて伸びしろも証明。産駒が最高で6頭出走する可能性がある皐月賞へ弾みをつけた。さぁ、次は初の牡馬クラシックのタイトルだ。
[2012年4月9日8時54分 紙面から]
岩田完璧…12年G1は2戦2勝/桜花賞
桜花賞を制し、ジェンティルドンナの鞍上で1冠ポーズを取る岩田騎手
<桜花賞>◇8日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇3歳牝◇出走18頭
2番人気のジェンティルドンナ(石坂)が1分34秒6で差し切り、桜の女王の座を射止めた。岩田康誠騎手(38)は桜花賞初制覇となった。
ほえた。岩田の雄たけびが仁川にこだました。馬上から左手の人さし指を1本つき立てた。1冠目のミッションを終えた岩田は「本当に具合が良かったので自信を持って挑めた。好スタートからうまく立ち回り、折り合いもバッチリだった」と完璧なエスコートを振り返った。
熱発明けのチューリップ賞で4着に踏ん張り、手応えはつかんでいた。「力は測れてましたからね」。4日栗東の会見でも「ワクワクしている」と初の桜のタイトルを意識するコメントを残していた。フェブラリーSに続き今年のJRA・G1では騎乗機会2戦2勝と、大舞台での勝負強さをアピールした。
「この馬の脚を見せられたことがうれしい。でも、実力はまだまだこんなもんじゃないですよ」と底知れぬ潜在能力を感じている。オークスに向けても「馬が冷静で賢いのが心強い。次もいい競馬ができると思う。素晴らしい馬に上げていきたい」と高らかに2冠を予告した。
[2012年4月9日8時54分 紙面から]
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