2012年4月8日日曜日

http://column.keibalab.jp/interview/trainer/530/

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上積み見込めるジェンティルドンナ


-:続いて、ジェンティルドンナですが。この馬はドナウブルーという先生が管理している馬の下(妹)で、注目を浴びていましたが、デビュー戦は不良馬場でしたね。

石:極端な馬場ではあったけれど、内で残ったという競馬。あれはしょうがないかな。

-:追い切りの本数としては、勝ちに行ったものではないですよね。

石:いや~、勝てると思っていました。普通だったら、道中はああいう進路をとって、最後も伸びてくれるのかと思った通りに伸びてくれましたし。2戦目は確勝を期しましたが。

-:そして、シンザン記念でフサイチエアデールの1997年以来、牝馬による優勝と。

石:私はそういうデータを知らないからいいのかもしれないね。知っていたら使っていなかったかもしれないし(笑)。

-:勝った後になって知るという(笑)。

石:使うべきレースだと思って使っていたからね。桜花賞のことを考えたら、あのレースでどうにかならないようじゃ、桜花賞は難しいと思っていましたし。

-:牡馬と対戦した事も、牝馬のこの馬にとっていい経験だったかもしれません。

石:その時は今の時代、牝馬が強いし、そういう流れもあって、使う気になったのかもしれないね。

-:そして、チューリップ賞の4着はどうでしたか?

石:三週間くらい前に熱発して、それがなんとか治まって、前の週、当該週と追い切って、「これなら使っていいな」と。延ばすつもりもあったし、ジョッキーにもそう伝えてはいたんやけれど、それでもあれで勝ち負けは出来るんじゃないかと思っていたんですよ。ちょっと反応が悪かったり、大人し過ぎたのは、その影響もあったんだろうね。

-:しかし、結果的には順調さを欠いた中で、あれだけの結果を残せたことに手応えを感じられたのではないでしょうか?

石:そうですね。あそこから来たし、これで本番は行けるじゃないかと思いましたよね。

-:あのレース運びは抑え目に行ったわけではなく、熱発の影響もあったとみていいのでしょうか。

石:あの時は1番枠。若い牝馬の多頭数の中で、難しい枠を引いているわけですよね。そこで、ジョッキーも出して行ったら、噛むかもわからないという心配もあっただろうし、自然体で乗ったとは思いますよ。わざと行かないんじゃなく、周りが行ったぶんもあるだろうし。ジョッキーにとっても、次走へ向けて、いい経験になったと思います。

-:今回でこの着順ならば、次走へ向けて、ワンランク上げられると。

石:それは間違いないだろうね。私もそう思います。

-:こちらも極端な枠は好ましくはないですよね。

石:今度は大外ちゃうかな(笑)?

-:エピと入れ替わって大外と(笑)。ジェンティルドンナに関して、馬体重はどうなりそうですか?

石:今度は増えます。4~6キロ。

-:先程言っていたエピセアロームと同じじゃないですか(笑)?

石:いや、凄く良くなっているんですよ。いい意味でね。先週まで2キロずつくらい増えてきて、今週も状態はいいから、太め残りを心配しないといけないくらいです。エピもそうですよ。

-:あとは追い切りで調整もできますよね。牝馬というと、減る一方の馬もいますよね。

石:牝馬って普通そういうものですよね。去年のドナウブルーなんかも何ぼでも減りましたから。その点、ジェンティルはもう体が戻ってきていますから。

-:では、ドナウブルーと比べると、精神的には楽な方と。

石:そうですね。だいぶマシじゃないでしょうか。ドナに比べたら、そういう面は半分もない。ドナはもう何をしでかすかわからないところがあるから。

-:その分、向こうの方がスパっとキレるところがありますよね。

石:そうですね……。こっちは「ズシっとキレる」かなあ。

-:「ズシっと」ですか(笑)?例えるならスタミナもあるような。

石:ハハハ(笑)。そうですね。



-:過去に坂路で乗った時計を見ていると、16秒くらいのラップを正確に刻んでいますよね。そこから考えると、どこかでガツンと噛むようなところがないんでしょうね。

石:そういうところはないですね。乗り易いタイプだと思いますよ。

-:そういう乗り易さは大舞台で強みになってきますよね。

石:この前、1枠の1番で、かなり窮屈な競馬を経験してきたし、今度は枠順も1番は引かないだろうし、そういう意味でも上積みは十分だと思います。

-:ああいう枠で競馬をすると、シュンとしてしまう馬もいるはずです。

石:エピもジェンティルもダラダラとはならないですね。

-:では、桜花賞でも下手に後方に下げて、終い勝負に徹したりすることはないと。

石:そういうことはしなくていいタイプだと思います。普通に流れに乗って、競馬をしてくれればと。

-:では、二頭で桜花賞も楽しめると。

石:あのレースが終わった時点で、「よ~し、桜花賞は……」と思いましたからね。そういう内容だったと思いますよ。

-:二頭出しが出来るのも調教師冥利につきますよね。

石:そうですね!「ちゃんと桜が咲かんかなあ」と思いますよ(笑)。

-:石坂厩舎の桜(二頭)がですか(笑)?

石:いやいや、当日の阪神の桜がね(笑)。

-:では、ジェンティルドンナを応援するファンへ一言お願いします。

石:前走はちょっとアクシデントがあったけれど、本番はもっと行けるぞという競馬をしてくれたと思いますし、私も凄く期待をもって、楽しみにしています。そして、二頭共に前走よりも期待出来るとは思っています。勿論、あくまで私の期待値ですよ(笑)?応援してください。

エピセアロームについて
石坂正調教師インタビュー前半→
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(取材・写真)高橋章夫


【石坂 正】 Ishizaka Sei
1950年熊本県出身。
97年に調教師免許を取得。
98年に厩舎開業。
JRA通算成績は407勝(12/4/1現在)
初出走:
98年3月7日1回中京3日目9Rダンツチャージ・4着
初勝利:
98年3月21日1回阪神7日目7Rダンツチャージ・延4頭目
■最近の主な重賞勝利
・12年シンザン記念(ジェンティルドンナ号)
・11年ラジオNIKKEI杯2歳S(アダムスピーク号)
・11年小倉2歳S(エピセアローム号)
98年に厩舎を開業させると、その2年後には、16番人気のダイタクヤマトでGⅠ初勝利を挙げ、話題を集める。 近年はスカーレットレディの子(サカラート、ヴァーミリアン、キングスエンブレム)を毎年のように手掛け、クラシック・ダート戦線を湧かせている。 他にもブルーメンブラット(マイルCS)、アストンマーチャン(阪神JF、スプリンターズS)などでの活躍が記憶に新しい。

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