2009年12月3日木曜日

追い切り

【JCD】ヴァーミリアン合格走

 栗東坂路でラストまでビッシリ追われたヴァーミリアン
 「JCダート・G1」(6日、阪神)

 07年の覇者がG1・9勝目を狙う。最終追い切りが行われ、ヴァーミリアンが栗東坂路で軽快な動きだ。ラストは右ステッキに反応し、確かな脚取りでゴール板を突き抜けた。昨年は不利を受け、1番人気で3着。雪辱Vでダート王の座に返り咲く。3連勝中と勢いに乗るエスポワールシチー、3歳馬ワンダーアキュートもCWで好気配。ともに体調は文句なしだ。
  ◇  ◇
 ダート王奪還へ。ヴァーリミアンがうなりを上げる。栗東坂路、前方には半弟のソリタリーキング(2歳新馬)が併せ馬で追われる。自身は単走の形だったが、前を行く2頭を目標に定めて力強くこう配を駆け上がってきた。石坂師は「1頭だと掛かるところがある」とその意図を説明する。
 思惑通りに折り合い、リラックス。体力を温存して、しまいの反応を確かめる。ラスト1Fで鞍上の激しいステッキが飛ぶと、黒鹿毛の馬体はゲキに応えるように4F53秒6-39秒5。最後はエラーだったが、その脚色は鈍ることがなかった。
 変わらぬ姿に、指揮官は及第点を与える。「時計が遅いのはいつものことなので心配はしていない。ムキになるといつももっと頭が高くなるが、いいフォームで走れていたね。いつものヴァーミリアンだなと思った」。その表情は穏やかだ。
 大井-園田-名古屋と異なる競馬場で勝利を重ね、JBCクラシック3連覇を達成した。中央、地方合わせてG1・8勝。歴代トップの数字が力の証明だ。「あまり数を使っていないし、元気。競馬では集中しているが、昨年あたりからゲートがうまくなって競馬が分かってきた。精神面の成長は大きい」。7歳にしてなお、右肩上がりの成長曲線。だからこそ、トップを走り続けられる。
 連覇を目指し、1番人気で挑んだ昨年は3着に敗れた。「昨年は右に曲がれない馬が出てきたことが敗因」と師は語気を強める。致命的だった1角での不利。左回りを戦場にする、米国からの刺客に進路を阻まれた。
 悔しさは主戦にも残っている。「昨年は自分がケガをして乗れず、迷惑をかけた。競馬場で応援していたが悔しかったですね。長くコンビを組んできて、この馬の強さを一番に感じている立場。いい競馬をしたい」と武豊。視界の先には、9つ目のタイトルがとらえられている。

【JCダート追い切り】王座奪回“V9”ヴァーミリアン迫力十分2009.12.02


ヴァーミリアン【拡大】
 GIコレクター・ヴァーミリアンが2日朝、「第10回ジャパンCダート」(6日、阪神、ダ1800メートル)でのGI9勝目に向け、栗東TCの坂路で力強い動きをみせた。古豪に対して“政権交代”を迫る3歳勢の核となるワンダーアキュートは、意外やCWコースでの反応が今ひとつ。フェブラリーS優勝馬サクセスブロッケンは前2走完敗からの巻き返しに向け、Pコース先着で復調をアピールした。
 【栗東】
 一昨年のJCダート優勝馬ヴァーミリアンが、今年6月の帝王賞、11月のJBCクラシックと交流GIを連勝して再び地方の王座に就いた。残る目標はJCダートでの中央(世界)王座奪回。勝ってGI勝ちの日本記録を“9”に伸ばせば、完全無欠のチャンピオンとなる。
 坂路で単走。前で併走していた2頭を壁にするような形でスムーズな行きっぷりをみせた。もともとけいこでは地味なタイプだけに快ラップといえるほどではないが、2F目からはしっかりした脚取りで12秒7とペースを上げていった。ラスト1Fは計時不能も、最後まで脚勢は衰えることはなく、力強いフットワークは目についた。
 先月25日の1週前追い切りも、4Fのタイムはけさとまったく同じ53秒6。併走相手に6馬身遅れたが、「この馬としては上等の時計だし、動きに関しては満足している」と、石坂調教師がどっしり構えていたのにも頷ける。これが自然体、いつもの強いヴァーミリアンの動きだ。
 昨年は3着と悔しい思いをしたが、差はわずかに0秒1。昨年が阪神ダート初体験だったことを思えば、2度目の今年は戸惑うこともない。
 GI8勝のうち2勝目からの7勝をあげてきたベストパートナーの武豊騎手も、「とにかく安定して力を出してくれる。どんな条件になってもきっちりと走る。要するに変化がなく、ずっと安定しているところがこの馬のすごさだと思うね。去年はボク自身のケガ(骨折)でJCダート(岩田康騎乗)に乗れなかったけど、競馬場で観ていて悔しい思いをした。順調にきているし、結果を出したい」と力を込めた。
 まだまだ、若いもんには王座は渡せない。 

【ジャパンCダート】栗東レポート~ヴァーミリアン [News]
2009/12/02(水) 20:11

12月6日(日)阪神競馬場で行われる第10回ジャパンカップダートに出走予定のエスポワールシチーについて、追い切り後の関係者のコメントは以下の通り。

●石坂調教師
「前走は苦しい競馬でしたが、力があるから、抜けてこられたと思います。
競馬の後も何も問題無く、今日までやってこられました。大一番も、いつも通りの調教。15秒を切るくらいで行って、終い伸ばす。いつも通りのヴァーミリアンでしたし、順調にきています。ただ追い切りは同じでも、一度競馬を使っていますから、その分安心して競馬に出せます。
年を重ねる毎に、競馬をわかってきています。去年から、ゲートも凄く良くなって、競馬をわかっているなと感じました。体が元気ですから、精神面も成長していますし、精神面の成長は大きいですね。
自分の馬を、万全の態勢で出せれば、それでいいと思います。よくぞここまで走ってくれましたが、まだまだ走れる状態にあると思います。いい競馬をお見せできると思っています。

●武豊騎手
「前走は、よく狭いところに入ってくれたし、勝てて良かったです。去年も今年も、着差はわずかですが、乗っている感じでは、今年の方が体調も良く感じました。とにかく安定して走ってくれて、必ず自分の能力を出してくれる、頼もしい馬です。どんな条件でも走ってくれますし、凄い馬です。
とにかく順調なようで、今朝も良い動きだったと聞いています。ダート競馬はGIも少ないので、少ないチャンスをモノにしたいと思います。
去年は怪我をしてしまい、関係者にも迷惑をかけました。競馬場まで応援にいきましたけど、見ていて悔しい思いをしたので、その分も頑張りたいですね。
長くコンビを組ませてもらって、この馬の強さを一番感じている立場。いい結果を出したいですね」
(取材:中野雷太)

【JCダート】ヴァーミリアン数字“並”も陣営は平然

しつかりと追われたヴァーミリアン
Photo By スポニチ
 ヴァーミリアンが「獲得賞金10億円ホース」の輝きを調教でも見せられたか?と言えば、答えはノー。輝くのは本番でこそなのだ。

 石坂師は平然とした表情で「いつものヴァーミリアンだなと思ったよ。順調。変わりない」。武豊も「調教は相変わらず動かないなと思って後ろをチラチラ見ていた」と笑った。
 坂路単走での追い切り。ヴァーミリアンのすぐ目の前で武豊は同馬の弟(新馬ソリタリーキング)の追い切りにまたがっていた。道中でヴァーミリアンの蹄音を耳にして「邪魔したらいけないと後ろを振り返った」という。それでも、詰め寄られることなくフィニッシュ。仕上げ人・久保助手がヴァーミリアンの手綱をいっぱいにしごいて4F53秒6。数字的に言えば並。それでも隠れた味付けがあった。「前に2頭を置く感じでやったのは意図したもの。ああやるとテンに折り合っていいフォームで走れるから」。石坂師は走りにリズミカルさを求めたと説明した。
 東京で開催された07年のこのレースの覇者。連覇を狙った昨年は他馬と接触して後方に下がる不利もあり3着に終わっているが、主戦の武豊は2週間前に負った骨折のため、馬の上ではなく阪神競馬場のスタンドからの応援観戦だった。
 「昨年は直前でケガをして関係者に迷惑をかけた。隔年?1年置いて同じG1を勝つのは確かに難しいこと。でも、長くコンビを組んでこの馬の良さを分かっている立場だからね」
 メキメキと頭角を現してきたライバル勢。特に若い世代の追い上げは急だ。その相手関係には一切、関心を示さなかったのが石坂師。新旧交代を許さじ!ダートG18勝、絶対王者のヴァーミリアンが立ちはだかる。 【JCダート登録馬  追い切りニュース  データBOX  GIパネル】
[ 2009年12月03日 ]

ヴァーミリアン奪回へ53秒6…JCダート追い切り

ヴァーミリアンはチップを蹴り上げ、力強く駆け上がった
 ◆ジャパンCダート追い切り(2日) 豪快なアクションに王者の風格が漂っている。坂路に入ったヴァーミリアンは、黒光りする巨体を弾ませながら、力強い脚さばきでウッドチップをかき込んでいく。スピードがアップしてからも、全く体がぶれない。年齢は重ねたが、パワフルな動きは若いころと少しも変わらなかった。
 いっぱいに追われて、53秒6。ラスト1ハロンはエラーで計測不能だったが、攻め駆けしないタイプだ。石坂調教師は「15―15(200メートルを15秒前後で走る)を切るぐらいで行き、しまいを伸ばす程度だった。いつも通りのヴァーミリアン」と数字にこだわっていない。
 夏場を休養に充てて、今秋はJBCクラシックから始動。見事、3連覇を飾ったが、これまでは脚元のアクシデントが多かった。2月のフェブラリーS(6着)でも、右肩の違和感で直前の追い切りを延期したほど。
 「あの時は調子が落ちていた。レース後に筋肉痛が出たほど。それに比べると、この秋はいつになく状態がいい」と担当の久保助手。3年連続で同じローテーションになったが、調整が順調だけに確かな手応えを感じている。
 デビュー30戦目。あとひと月もすれば8歳になるが、カンパニーが8歳馬として天皇賞・秋(34戦目)、マイルCSを連勝したばかり。久保助手は「数は使っていないので、消耗はしていない。衰えを見せないのは、カンパニーと同じ」と力強く言った。
 参考記録ながら、前走のJBCクラシックで新記録となるG1最多の8勝目を挙げた。「昨年は右に回れない馬がいて、外にふられたのが痛かった。今年は万全の態勢で出られる。昨年のようなことがなければ期待できる」と指揮官。3歳の新興勢力をはね返し、昨年3着の雪辱を晴らした時、真の王座が帰ってくる。

【JCダート】満点!ヴァーミリアン53秒6
2009.12.3 05:02



坂路を力強く駆け上がるヴァーミリアン。GI8勝馬が久々の中央GI制覇に闘志満々だ=栗東トレセン(撮影・山田喜貴)【フォト】
 GI8勝のヴァーミリアンは坂路で4ハロン53秒6をマークし、7歳でも健在をアピールした。JCダートの枠順は3日午後に確定する(金曜発売はない)。
 ヴァーミリアンが栗東坂路で貫禄を示す力強い動きを披露した。
 僚馬ソリタリーキング(牡2新馬)、サンライズモール(牡2未勝利)の併せ馬を目標に追走。体を一杯に使ったダイナミックなフォームで駆け上がる。ラスト1ハロン過ぎで鞍上のムチが入り、最後まで踏ん張り4ハロン53秒6-39秒5(ラスト1ハロンはエラー)。「ゆったり流して最後の2ハロンを追う内容。最後は13秒2、3くらいじゃないかな。(前の馬に)ちょっと追いついていたからね」と手綱を取った久保調教助手。54~55秒くらいで一杯の時期もあったが、最近はコンスタントに53秒台の時計が出るようになった。「(馬は)しんどいけど、時計は出ますね。馬場も悪かったけれど。体調は大丈夫」と久保助手は自信を見せた。
 見届けた石坂調教師は「いつも通りのヴァーミリアン。順調です」と語った後、「追い切りの動きは前走と同じくらいだと思うが、一度、競馬をしたのでもうひとつ、安心して出すことができます」と胸を張った。
 昨年のJCダートは2コーナーで米国馬フロストジャイアントにぶつけられ、位置取りが後ろになったことが響いて無念の3着。落馬による右腕骨折で騎乗できず、岩田康騎手に手綱を譲った武豊騎手も「競馬場で応援していたが、悔しいと思った」と振り返る。
 昨年暮れの東京大賞典でカネヒキリの2着、フェブラリーSは6着と精彩を欠いただけに「帝王賞を勝った時は嬉しかった。本来の姿を取り戻してくれた」とユタカ。「長くコンビを組んできて、この馬の強さを一番感じている。いい結果を出したい」と気合がみなぎる。石坂師も「まだまだ走れる状態。いい競馬をお見せすることができると思います」と愛馬に信頼を寄せる。一昨年に次ぐJCダート2勝目、そして9冠へ、王者は堂々と突き進む。(下村静史)


【JCダート】王者健在ヴァーミリアン53秒6
2009.12.2 14:35


栗東・坂路を軽快に駆け上がったヴァーミリアン=2日、栗東トレセン(撮影・山田喜貴)【フォト】
 6日に阪神競馬場で行なわれるGI競走「第10回ジャパンCダート」(ダート1800メートル、1着賞金1億3000万円)に向け、有力馬が栗東トレーニングセンターで追い切られた。
 ジャパンCダート2勝目を目指す王者ヴァーミリアンはいつものように坂路コースに登場。
 単走の追い切りだったが、行き脚がついた2F目からは快調にラップを上げて行く。ラスト1Fは計測不能も力強いストライドで最後まで衰えずフィニッシュ。普段から調教駆けしない馬だけに4F53秒6-3F39秒5なら上々の時計。GI9勝目へ視界は良好。
 王者にストップかけたい3歳馬ワンダーアキュートは栗東CWコースで、主戦の和田騎手を鞍上に併せ馬を敢行した。
 3馬身先行する僚馬を追いかけ、直線、いっぱいに追われると並んだまま交わせず、ゴールではクビ差遅れた。格下を突き放せなかったが、時計的には6F83秒8-5F67秒7-4F52秒7-3F38秒9-1F12秒4は前回時と遜色なく、遅れは気にならない。
 今年のダートGIフェブラリーSを勝っているサクセスブロッケンは、美浦から駆けつけた内田博騎手が乗り、栗東Pコースで追われた。
 先行するオープン馬のエアジパングを直線で追いつくと、鞍上のアクションとともに一気に加速。ラスト1F11秒3の切れ味でパートナーを2馬身半置き去り。全体時計も5F68秒9-4F52秒5-37秒4と文句なし。前走10着に惨敗しているが、復活への下地には十分の調整ぶり。

【ジャパンカップダート】雪辱へ、そして9冠へ!ヴァーミリアン
2009年12月02日17:時15分 / 提供UMAJIN


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昨年の悔しさを晴らす! GI2連勝と王者の貫禄を復活させたヴァーミリアンは2年ぶりのJCダート制覇へ万全。
栗東 坂路 良 一杯
53.6-39.5-26.8-計不

 史上最多、GI8勝を誇る砂の王者・ヴァーミリアンが9つ目の栄冠を目指し、ジャパンカップダートへ順調に駒を進めてきた。
 一昨年このレースを制し、昨年も1番人気に推された。しかし、海外馬が最初のコーナーでヨレたあおりを受ける不利。位置を下げざるを得ず、直線で猛追を見せたが3着に終わってしまった。その後こちらも連覇を狙った東京大賞典でカネヒキリを捉えられず2着、明けてこれまた連覇を狙ったフェブラリーSで不可解な6着。王者の権威は地に堕ちたかと思われた―。
 しかし07年、08年はドバイに遠征していた春シーズンを、今年は休養に充てじっくりリフレッシュ。6月の帝王賞(大井)で復活の勝利を挙げると、11月のJBCクラシック(名古屋)も逃げるマコトスパルビエロをアタマ差交わしてGI2連勝。今期、中央での勝ち鞍こそないものの復活を高らかに宣言した。あとは昨年取りこぼし、歯車が狂う原因ともなったジャパンカップダートを制すれば完全なる“王権復古”となる。
 この中間は意欲的に併せ馬を消化。「実力は実際のレースで出せばよかろう」とばかり、ケイ古駆けしない馬でタイムこそ平凡ながらしっかりとした足取りを見せており、馬体の張りも十分。ベテランの域に入る7歳秋を迎えたが衰えた様子は微塵も感じられない。2日の最終追いは単走で坂路を駆け上がった。例によって時計は奮わないが、終い重点にビッシリ追われ、迫力のあるフットワークでゴールを駆け抜ける。9冠へ、視界は良好だ。
「時計(が出ないの)は相変わらずだけど、それでもいい動きだった」と、担当の久保助手は納得の表情だ。「去年は絶好のデキだったのに、1コーナーの不利があって悔しい思いをした。今年こそは、という思いはあるよ」と、王座奪回、そしてGI9勝目という偉業に大きく意気込んでいた。

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