2009年12月1日火曜日

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ジャパンCダート(GI) ヴァーミリアン、臨戦課程に不安なし

【ジャパンカップダート】12月6日阪神、GI.ダート1800メートル


 昨年は初の阪神初開催。右回りの経験がない外国勢が12、13着に沈み、1―4着は6歳勢(現7歳)。今年の中央ダート重賞は6歳以下が4連勝中だが、ヴァーミリアンとは対戦がない。外国馬の目玉だったベルモントS勝ち馬サマーバードは29日に右前脚の骨折が判明して出走回避。いかに売り上げのためとはいえ、米国馬を呼びたいレースを右回りに移したツケは余りにも高くついたようだ。
 昨年のジャパンCダートが3着、今年のフェブラリーSは6着で主役の座を明け渡したかに見えたヴァーミリアンだったが、天敵カネヒキリが故障。休養明けで帝王賞、JBCクラシックを連勝。中央・地方合計でG1級8勝を達成した。昨年のこのレースは1コーナーで他馬と接触する不利、フェブラリーSは距離不足と明確な敗因もある。JBC→ジャパンCダートは3年連続、25日の坂路でも絶好の動きで臨戦課程に不安はない。距離もベストの1800メートル。
 エスポワールシチーは昨年夏のダート転向以降、9戦7勝2着1回。4着以下は、逃げて0秒2差4着に粘ったフェブラリーSの1回だけ。前走の南部杯は、フェブラリーS優勝馬のサクセスブロッケンを0秒7突き放し圧勝。ここにきての充実ぶりは今回のメンバーでも随一といえる。父ゴールドアリュールは2002年のジャパンCダートが1番人気でイーグルカフェの5着。雪辱を果たすか。
 今年のフェブラリーSを制し新王者となったはずのサクセスブロッケンだが、その後の戦績はさえない。前々回の南部杯2着は長期休養明けだったが、前走の武蔵野Sは59キロとはいえ勝ったワンダーアキュートに0秒9も離された。得意の距離での大敗は今後に不安を残した。JBCクラシック2着をステップにした昨年が8着、4走前の川崎記念は3着。コーナー4回の1800メートルは適性に疑問。
 3歳勢の中で勢いがあるのが3連勝中のワンダーアキュート。2走前のシリウスSでは異父兄のワンダースピードなどに完勝。前走の武蔵野Sは強敵相手に先行策から楽々と押し切った。7月のジャパンダートダービー5着の時点では、テスタマッタなど上位陣との差を感じさせたが、9月からは3連勝。ここに来て成長著しい。
 3歳勢はほかにも、後方一気の追い込みでトパーズSを好タイム勝ちしたシルクメビウス、昨年の全日本2歳優駿勝ち馬で、JBCスプリントで5戦ぶりに勝ったスーニ、ジャパンダートダービー優勝のテスタマッタなどもいて層は厚い。このほか、JBCクラシックでヴァーミリアンと接戦を演じたマコトスパルビエロは充実著しい。ワンダースピード、昨年2着のメイショウトウコンも登録。
(日経・森 青樹)

【JCD】ヴァーミリアン、衰え知らず!
2009年12月01日09時26分 / 提供:デイリースポーツ


 9つ目のG1制覇へ向けて闘志を燃やすヴァーミリアン
 「ジャパンカップダート・G1」(6日、阪神)

 ヴァーミリアンが本領発揮だ。1番人気の昨年は不完全燃焼の展開に泣いたが、それでも頭+首差の3着に踏ん張った。年齢をひとつ重ねた今年は、昨年以上と言ってもいい充実ぶり。一昨年以来となるレース2勝目を飾れば、同世代のカネヒキリと並ぶJRAダートG1・3勝目。9つ目のビッグタイトル獲得に向けて、陣営のムードは申し分ない。
  ◇  ◇
 コレクトしたビッグタイトルは8つ。07年に制した今回の一戦を制すれば、地方交流戦を含めて“G1・9勝”という、自身の持つ最多勝記録をさらに伸ばすことになる。素晴らしい光沢を放つ、ヴァーミリアンの馬体。まだまだ成長を続けるベテランの勢いは、とどまるところを知らない。
 驚がくの7歳馬を担当する久保助手もまた、百戦錬磨の猛者だ。旧戸山厩舎時代には、レガシーワールド(93年ジャパンCを制覇=当時は森厩舎所属)を厳しく鍛錬。また森厩舎ではフジヤマケンザンの持ち乗り担当として、9歳までの競走生活を支えた。「この馬も緩ませてはいない。体調を維持していこうと思えば、それ以上のことをやっていかないとね。若い馬とは違うんだから」。黒光りする7歳馬の馬体は鍛錬で培われたもの。純粋な図式が、ヴァーミリアンの実績とシルエットに明確に表れている。
 その根底にはブレのない軸がある。十分な休養と、冬場に絞ったレース参戦だ。「夏場に弱い。その時季は牧場で緩んでいるからね。だからトレセンでは、緩ませることなく調教ができるんだ。ローテが決まっているのは大きいよ。7歳でも、馬体の張りが違う」と久保助手は明言する。
 石坂師はオンとオフの切り替えを大切にする。我慢と勇気を併せ持つ指揮官だからこそ、ベテランの域に達してからも成長できるのだろう。「すごく元気やね。若々しいよ。精神的に落ち着いたことでスタートが良くなった」とトレーナーは手応えを抱く。一昨年は掲示板を独占。昨年も1~4着までを占めた現7歳世代。砂の最強世代の旗頭は、まだ前進を続けている。

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