2008年12月9日火曜日

ないがい

「旧新交代」って・・・うまいこというねえ。

阪神がわりで明暗分かれた JCダート カネヒキリが王座復権

 装い新たに今年から阪神競馬場に舞台を移して行われた「第9回JCダート」(GI、ダ1800メートル、7日)は、4番人気のカネヒキリが2005年以来となる2度目のJCD制覇を成し遂げた。勝ち時計は1分49秒2(良)。2着には7番人気の人気薄メイショウトウコンが突っ込み、1番人気ヴァーミリアンは3着に終わった。幅員の狭さ、短い直線などの“特殊性”をはらむ阪神のダートコースで際立ったのは位置取りの有利不利。東京時代とは違い、鞍上の“技”が問われる一戦に様がわりした。

 カネヒキリが見事、ダートの頂上決戦で復活劇を演じてみせた。
 好発を切り、道中は4、5番手をキープ。そして、3角過ぎでインにもぐり込んだ。結果的にこれが吉と出た。逃げた外国馬のティンカップチャリスが直線でフラつき、外に出したカジノドライヴなどが不利を被った。

 一方、カネヒキリは運も手伝い、前がポッカリとあく。後はルメール騎手の“叱咤”に応えるだけ。メイショウトウコンの猛烈な追い込みをアタマ差しのいで、2005年以来となる2度目のJCダート制覇を飾った。

 先月のエリザベス女王杯(リトルマポーラ)に続き、またしても自身の判断がピタリとハマッたルメールは「スミイセンセーがきちんと仕上げてくれた。スタートが良かったし、スペースがあいたので、そこをうまく使えた。短期間で2つもGIを勝つなんて滅多にないからね。ベリーハッピーだよ」としてやったりの表情。

 一方、角居調教師は「一時は引退を考えた馬なので、今日は素直に感動した。よくぞ復活してくれた、という感じ。鞍上には『好きなように乗ってくれ』とだけ伝えた。ルメールで、ここ一番を迎えられたことが最大の勝因だろう」と鞍上の“腕”を手放しで賞賛した。今後については「脚元と相談して決めたい。海外挑戦? 迷惑をかけたくないので、国内に専念すると思う」と、一戦一戦が勝負となる愛馬の境遇をおもんばかり、手堅くいく方針だ。
 それにしても、右前脚の屈腱炎を発症し、2度の手術をした“元王者”にダートの最高峰レースを簡単にさらわれるようでは、現有勢力もだらしがない。これでは新旧交代どころか、“旧新交代”である。

 また、まぎれの少ない東京から、小回りの阪神に舞台を移したことで、コース取りの有利、不利がかなりのウエートを占めることを今回のレースが如実に示した。関西のファンには願ってもない“衣がえ”が、日本最高峰のダートレースの権威を薄くしてしまった…といったら言い過ぎだろうか。


JCダート(GI、阪神ダ1800メートル、7日) 藤川京子 ヴァーミリアンが連覇達成よ!

 JCDはGI6勝を含む国内7連勝中の◎ヴァーミリアンが、さらに連勝を伸ばします。

 前走のJBCクラシックは、小回りコースでどんな競馬をするのか、期待と不安がありましたが、コーナリングもスムーズ。最後の直線では新星サクセスブロッケンとのマッチレースを制し、見事に国内GI6連勝を達成しました。

 ブロッケンと並んだときに、「能力も馬体も断然、この馬の方が上をいっている」と感じたのは、私だけではないはず。もちろんブロッケンには上積みがあり、体も成長していますが、現段階ではまだまだヴァーミリアンに軍配が上がりそうな気がします。

 初の阪神1800メートルも十分対応できると思います。天下の武豊騎手から岩田騎手に乗りかわりますが、ジャパンCのウオッカよりは乗りやすい馬。折り合いはつきますし、とにかくレースというものをわかっている。勝負どころの反応は抜群に早いし、いい位置をキープできれば結果はついてくると思います。

 ケイコ駆けしないタイプで中間の動きは大きく変わっていませんが、休み明けを1度叩かれたことで馬体はいい感じに締まってきました。GI7連勝を達成し、JRA最多GI記録に並びます。


JCダート(GI、阪神ダ1800メートル、7日) 本紙・谷口はヴァーミリアン中心

 決戦の舞台を府中から仁川に移して、装いを新たにされたJCダート。とくに今年は、破竹の快進撃を見せているキクノサリーレや、エスポワールシチーといった新興勢力が、収得賞金の関係で出走すらかなわないほどメンバーの層は分厚い。そんななか、ホスト国の大エースとして堂々、主役の座に君臨するのは、目下、国内GI6連勝中、現ダート界の王者ヴァーミリアンだ。

 この一戦へ向けての重要な前哨戦と位置付けて臨んだ前走のJBCクラシック。結果は次世代の王者として誉れ高いサクセスブロッケンにクビ差の辛勝となったが、雄大なストライド走法のこの馬にとっては絶対に有利には働かない園田での開催、さらには世界の厚き壁の前に返り討ちにあったあの灼熱のドバイから約7カ月ぶりの実戦であったことを思えば、“絶対王者”の底力を改めて見せつけたといえる。

 現実に、「あそこでやれば絶対に勝たんとあかんかった。ヴァーミリアンの強さを再認識させられた」と藤原英調教師。乾坤一擲(けんこんいってき)で勝負に出たSブロッケンを管理する新鋭トレーナーを脱帽させるほど、ヴァーミリアンの壁は厚かった。

 対照的に勝てば官軍、「一戦一戦、出走できるかどうかと悩まされて昨年とはデキが違うからね。前走時はオレも小回りの園田でどうかなと、アレコレ心配はしたけど、いざゲートが開くと、2週目の向正面で楽にサッと番手。もうその時点で“今日も勝てた”と思ったね」と、サラリと言ってのけるのはヴァーミリアンを担当する久保助手だ。
 「賢い馬で坂路だと力を抜いて走るからコースにも入れて調整してきた。いじめていじめて馬をつくるのが(スパルタ調教で知られた)戸山厩舎で育った私流の仕上げ方。GIで侮いが残る走りはさせたくないからね。とにかく、カイバも桶から頭をまったく上げずに平らげるし、怖いぐらいに不安点が何ひとつない。世代交代の波を感じさす馬が何頭か出てきているが、うちの馬だって何度も古馬の厚い壁にはね返されてきたからね。このJCダート、そして東京大賞典、年内は負けるつもりはないよ」

 砂上の猛者ヴァーミリアンが、国内GI7連勝と合わせ、JCダート2連覇の偉業を達成する。

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