2008年12月4日木曜日

おいきり語

ヴァーミリアン連覇へ貫禄 JCダート水曜追い

坂路で貫禄の動きをみせたヴァーミリアン
◆ 力強くたくましく坂路4F53秒6-14秒1 ◆

 砂の猛者が集うJCダートは3日、各馬が熱のこもった追い切りを消化。栗東では王者ヴァーミリアン(牡6=石坂)が坂路単走で力強く駆け上がった。JBCクラシックVで弾みをつけ、最高潮のムードで臨む今季2戦目。このレース連覇へ、期待感は日に日に高まっている。3歳No.1の実力馬サクセスブロッケン(牡3=藤原英)は坂路51秒9の好時計をマーク。虎視たんたんと“逆転V”のチャンスをうかがっている。


◆ 「これだけ動けば上等」久保助手 ◆

 たとえ稽古での動きが目立たなくても、それが実戦には直結しない。ヴァーミリアンはまさにそんなタイプ。坂路単走での追い切りは4F53秒6-14秒1で時計だけを取り上げれば、強調すべき点はない。ただ、フットワークそのものは力強く、動きに重苦しさは一切なし。これで十分。手綱をとった久保助手の表情がそう物語っていた。

 「先週は岩田に乗ってもらって57秒7だからね。稽古で動く方じゃないし、むしろこれだけ動けば上等。動き自体も良かったよ」

 JBCクラシックを勝ってJCダートというローテは昨年と一致。それは同じでも、調整過程の充実度でいえば今年は全く違う。久保助手は1年前と比較した上で、状態の良さをこう強調している。

 「去年はJBCの前にザ石があったり、なんだかんだと不安材料があった。それに比べれば今年はウンと楽だよ。競馬が近づいているのを馬自身が分かっているし、自分でテンションを上げていっている。カイバもよく食べるしね。具合は良すぎるくらいだし、早くレースがしたい」

 ドバイでの2度の敗戦を除いて国内GIに限定すると昨年の川崎記念から6連勝中。実力、勢いともにNo.1の存在が完ぺきな状態とあって、死角は限りなくゼロに近い。石坂師の口調にも自信がにじみ出る。

 「少し太いかなって思っていたけど今朝の動きならそんなこともないね。いい意味で平行線じゃないかな。普段通りの仕上げをすれば心配ないと思う。普通に力を出してくれれば」

 連勝街道をひた走る国内ダート路線のトップが圧倒的な存在感を放っている。このレース連覇達成なら7度目のGIV。力ずくでタイトルをたぐり寄せる。

[ 2008年12月4日付


ヴァーミリアン坂路平凡ラスト14秒1も陣営「心配ない」…JCダート追い切り

手加減なし。ヴァーミリアンは最後まで力強い脚取りで駆け上がった ◆JCダート追い切り(3日) 国内G1で6連勝中のヴァーミリアンが、栗東の坂路で追われた。ラスト1ハロン14秒1。調教駆けしないタイプで時計は平凡だが、動きは迫力十分。陣営も自信に満ちたコメントを並べた。枠順は4日決まる。

 黒光りする巨体が、坂路を豪快な脚さばきで上がって来る。四肢の回転が速くなっても、フォームがぶれることはない。馬が密集した地点で、他厩舎の併せ馬に触発され、一瞬、力みを見せたものの、ヴァーミリアンは最後までパワフルに走り抜いた。

 800メートルを53秒6―14秒1。多少時計を要する馬場であることを差し引いても平凡だが、もともと調教駆けしないタイプだけに、石坂調教師は冷静だ。「ちょっと前の馬を意識したため、カーッとなって、かかる面があったが、これぐらいの時計で十分」

 数字に一喜一憂しないのは、順調にメニューを消化して来たという自信の表れだ。3月のドバイ・ワールドC(12着)後は、たっぷり充電して、予定通り11月のJBCクラシックから始動した。「それまで経験していない小回り(園田)を克服して勝ってくれたので、改めて感心した」と石坂師。予想以上の手応えを得た秋初戦だった。

 ローテーションは昨秋と同じでも、調整過程は雲泥の差だ。昨年は、JBCクラシックの後、ザ石の影響で歩様が乱れ、満足な調整ができなかった。「昨年の秋3戦は、ザ石が尾を引いて万全ではなかった。あんな状態で、よく勝ったと感心したぐらい」と担当の久保助手は振り返る。

 状態に不安を抱えながら、JBCクラシック、ジャパンCダート、東京大賞典、今年のフェブラリーSと、G1で4連勝を達成。「昨年のことを考えれば、今回は何ひとつ心配することがない」久保助手は負ける姿が想像できないようだ。

 07年1月の川崎記念から、国内のG1は6連勝中だ。「馬への課題は、全くない。納得できない競馬はしないはず」とトレーナー。敵は未知の外国馬でなければ、成長著しい3歳馬でもない。自分の力さえ出し切れば大丈夫。チャンピオンは、孤高の走りで連勝を伸ばし続ける。


【岩田トーク】凄く力強いフットワーク



 ――1週前追い切りに騎乗したが
 「凄く力強いフットワークをするな、と思ったし、すごく落ち着いているな、と感じました」
 ――これまではライバルだった
 「一緒に走って強いなあ、という印象しかありません」
 ――レースのイメージはできている
 「(武)豊さんには、乗りやすい馬でどんな競馬でもできると聞いています。ペースが速くなるか遅くなるかは分からないが、広い馬場なのでゆったりと乗れると思う」
 ――チャンスが巡ってきた
 「僕は自信を持って乗るだけ。全力を尽くして、このチャンスをモノにできるよう頑張りたい」

王者の風格!!ヴァーミリアン/JCダート

<JCダート>ヴァーミリアンは坂路単走で追い切られて
Photo By スポニチ
 砂の最強馬が最高の仕上がりだ。「第9回ジャパンCダート」(7日、阪神)の追い切りが3日、美浦、栗東トレセンで行われ、国内ダートG1・6連勝中のヴァーミリアンが力強い走りを披露。同レース連覇へ万全の臨戦態勢を整えた。

 たとえ稽古での動きが目立たなくても、それが実戦には直結しない。ヴァーミリアンはまさにそんなタイプ。坂路単走での追い切りは4F53秒6―14秒1で時計だけを取り上げれば、強調すべき点はない。ただ、フットワークそのものは力強く、動きに重苦しさは一切なし。手綱をとった久保助手は満足そうな表情で引き揚げてくる。「先週(11月27日)は岩田に乗ってもらって4F55秒7だからね。稽古で動く方じゃないし、むしろこれだけ動けば上等。動き自体も良かったよ」

 JBCクラシックを勝ってJCダートというローテは昨年と同じ。だが、調整過程は今年のほうがはるかに上だ。久保助手は1年前と比較した上で、状態の良さを強調した。「去年はJBCの前にザ石があったり、なんだかんだと不安材料があった。それに比べれば今年はずっと楽だよ。競馬が近づいているのを馬自身が分かっているし、自分でテンションを上げている。カイバもよく食べるしね。具合は良すぎるくらいで、早くレースがしたい」。未経験の阪神ダート1800メートルについても「全く心配していない。広い阪神の方が園田(JBCクラシック)よりレースはしやすいと思う」と全幅の信頼を寄せる。

 ドバイでの2度の敗戦はともかく、国内のG1は昨年1月の川崎記念から6連勝中。実力、勢いともにNo・1の存在が完ぺきな状態とあって、死角は限りなくゼロに近い。石坂師の口調にも自信がにじみ出る。

 「少し太いかなって思っていたけど、けさ(3日)の動きならそんなこともないね。いい意味で平行線じゃないかな。普段通りの仕上げをすれば心配ないと思う。普通に力を出してくれれば」

 落馬負傷で休養中の武豊に代わってコンビを組む岩田も1週前追い切りで感触を確かめている。「フットワークが凄く力強い。ユタカさんからは乗りやすいって聞いています。馬を信じて乗るだけです」と言葉に力を込めた。史上初のJCダート連覇へ、歴代最多のJRAダートG1・3勝目へ、砂の最強馬が力ずくでタイトルを手繰り寄せる。 【追い切り  馬体診断  記事特集  GIパネル  登録馬】

[ 2008年12月04日


【JCダート】ヴァーミリアン真の王者へ
 前を行く馬のチップを浴びても栗東坂路で確かな脚取りを見せるヴァーミリアン 「JCダート・G1」(7日、阪神)

 王者、揺るぎなし。ダート王決定戦の最終追い切りが東西トレセンなどで行われ、史上初のJCダート連覇を目指すヴァーミリアンは栗東坂路で単走。しまいは時計を要したが、力強い走りで好調をアピールした。

  ◇  ◇

 国内ダートG1・6連勝中。無敵の強さを誇るヴァーミリアンは馬場開門直後に栗東坂路に姿を現した。ゆったりとしたフォームで始動。前を行く2頭を壁にするように、じんわりと駆け上がる。緩やかなカーブを曲がると同時に、ラチ沿いへ進路を変えると鞍上の手が一気に動き出した。それに伴ってフォームもグンとダイナミックに。4F53秒6-39秒9-14秒1。スタミナを奪う馬場状態でラスト1Fはさすがに脚が上がったが、騎乗した久保助手には「俺が乗って、これだけ動けば十分だよ」と笑顔がこぼれる。表情が順調な調整過程を物語っていた。

 約7カ月半ぶりの実戦となったJBCクラシックは、ダート無敗を誇った3歳王者サクセスブロッケンを力でねじ伏せた。「強いと思って送り出したが、経験していなかった小回りをよく克服してくれた」。石坂師は改めて同馬の底力を確認すると同時に、「広い馬場なら心配ない」と確信。初めての仁川の舞台にも絶対の自信をのぞかせる。

 主戦の武豊が落馬負傷で騎乗できなくなったが、代役には大舞台に強い岩田。騎乗が決まった際、自ら電話を入れたという。「豊さんから乗りやすく、どんなレースでもできると聞いている」。1週前追い切りにまたがり、実際に感触も確かめた。「がっちりとしてパワフルな走り。難しいと思う面は全くない。チャンスをモノにできるように頑張りたい」と本番に向けて気持ちを引き締めた。

 勝てば史上初のJCダート連覇で、ウイングアロー以来2頭目の同一年JRAダートG1制覇の快挙だ。また、歴代最多タイのG1・7勝目となり、東京大賞典(29日・大井)での新記録達成に期待が高まる。真の王者へ-。砂の王者は真っすぐに突き進む。


ヴァーミリアン盤石の平凡/JCダート

<JCダート:追い切り>

 砂の王者ヴァーミリアン(牡6、栗東・石坂)が、JCダート連覇へ盤石の態勢を築いた。3日の追い切りは坂路800メートル53秒6-14秒1と平凡な時計で終えたが、これがいつもの姿。お金にならない調教では走らない。過去3頭の7冠馬でさえ達成していない国内G1・7連勝に期待がかかる。

 ヴァーミリアンは普段通りだった。追い切りでは動かない。坂路で2頭を前に置いて始まった直前追い切り。途中で置いて行かれ、単走になった。いっぱいに追われたが、時計は平凡な53秒6、しまいは14秒1。国内連勝が始まった06年12月の名古屋グランプリ前から、直前の坂路追い切りで51秒台は出したことがない。ほとんどが53秒、良くて52秒台なのだ。

 「前の馬を気にしてカッとなって、しまいに時計がかかった。いい意味で平行線」と石坂正師(57)は気にするそぶりもなかった。「時計的には十分だし、少し太いかなと思ったが、そんなこともなかった」と状態面に自信を見せる。「競馬はやってみなければ分からないが、納得いかない競馬はしないはず」とレースへ向けても強気に言い放った。

 勝てば記録ラッシュだ。国内では現在7連勝中。ここ2年間負けていない。すべてが重賞で、最初の勝利以外はすべてG1。7冠目をコレクションに加えれば、シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクトが持っているJRAの最多G1優勝記録に並ぶ。さらにJRAのダートG1・3勝は最多。JCダート連覇も未到の記録だ。石坂厩舎は06年アロンダイトからJCダート3連覇がかかる。「運良く一昨年、昨年と勝てたが、今年のヴァーミリアンも恥ずかしい競馬はしない」と言い切った。

 今年からコースが東京から、新しくなった阪神の1800メートルに変わる。コース替わりについてもトレーナーは心配していない。前走JBCクラシックが自信になっている。園田の超小回りコースが不安視されたが、終わってみればレコード勝ち。「今までにない小回りをよく克服して勝ってくれた。あれだけ園田でも走ったのだから、阪神の新コースも全然問題ない」。

 主戦武豊が落馬負傷した当日に、岩田への乗り替わりが発表された。「自在に動ける馬だし特に問題はない」。実績、実力と他馬を圧倒しているだけに自信にあふれている。

 最後に石坂師は「この馬の課題はない」とまで言った。今回のJCダートが、ヴァーミリアンの集大成になることは間違いない。【三上広隆】

 [2008年12月4日7時54分 紙面から]

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