2008年12月30日火曜日

日刊

復活カネヒキリがG1連勝/東京大賞典

ヴァーミリアン(右)をを振り切り東京大賞典を制したカネヒキリ <東京大賞典>◇29日=大井◇統一G1◇ダート2000メートル◇3歳上◇出走10頭

 2番人気のカネヒキリ(牡6、栗東・角居)が、ヴァーミリアン(牡6、栗東・石坂正)との激しいたたき合いを首差で制し、G1を連勝した。勝ち時計は2分4秒5で、上がり3ハロンはダートでは驚異の35秒1。重度の屈腱(けん)炎から立ち直ったスーパーホースがJCダートに続き奇跡を起こした。3着には2番手に控えたサクセスブロッケン(牡3、栗東・藤原英)と中央勢が独占した。

 カネヒキリとヴァーミリアンが抜け出した。ルメール対武豊。馬体がぶつかる壮絶なたたき合いだ。両者のムチが飛ぶ。譲る気配はない。ゴール50メートル手前、ヴァーミリアンが一瞬前へ出た。カネヒキリ万事休すかと思われた時、ルメールの鼓舞にこたえてグイッと首を突き出した。首差で栄光をつかんだのは、カネヒキリだった。

 1000メートル通過が64秒4とはいえ、上がりは35秒1。芝のレースかと見間違うほどの切れ味だ。ルメールは「ペースがそれほど速くなかったし、スタートも良かったから3番手に。マッチレースになるのを待っていたんだ。並んだら最後頑張るのを知っていたから」と笑顔を見せた。自身は、エリザベス女王杯(リトルアマポーラ)、JCダートに続きこの秋G1・3勝の大暴れ。「楽しいスペクタクルだった。来年もこのタイトルを取りに来たい」とファンの声援に応えた。

 角居勝彦師(44)は「最後は思わず『カネ!』って声が出ちゃったよ」と苦笑い。2度の屈腱炎。臀(でん)部の幹細胞を屈腱に移植する手術を受けた。難病を患った馬が復活しG1を連勝。未来が開けた。「1戦1戦が勝負。こわごわだけど、G1を目指して手加減するわけにもいかない。往年の強い力を出せる状態になった。本当に素晴らしい」。誇らしげな表情で愛馬をたたえた。

 これでダートでは史上2位タイとなるG1・6勝目。05年に続き2度目の最優秀ダートホースも近づいたが、来年は国内に専念する構えだ。「オーナーとも相談したが来年も国内で、と。あちら(海外)はスパイク(ひづめ)を履いたり、トレーニングする環境も違うので。フェブラリーSに向かっていくことになるのでは」とトレーナー。有馬記念のダイワスカーレットに続き、強い馬が強い競馬を見せ、08年競馬の大一番が幕を閉じた。【和田美保】

 [2008年12月30日8時26分 紙面から]

ヴァーミリアン連覇ならず/東京大賞典

<東京大賞典>◇29日=大井◇統一G1◇ダート2000メートル◇3歳上◇出走10頭

 1番人気に支持されたヴァーミリアンは2着に敗れ、アジュディミツオー以来2頭目の連覇はならなかった。直線でいったんは先頭に立ったが、「負けるとしたらあの馬しかいない」とあん上の武豊騎手が恐れていたカネヒキリが内から鋭く伸びてきた。

 首差の惜敗に「残念としかいいようがない。フリオーソが行かなかったのでペースが…。今年最後のレースだったので勝ちたかった」と武は悔しそうに振り返った。

 [2008年12月30日7時26分 紙面から]

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