【東京大賞典】カネヒキリが最強証明
ヴァーミリアン(中)との叩き合いを制し、ゴールするカネヒキリとガッツポーズのルメール 「東京大賞典・交流G1」(29日、大井10R)
6歳世代のダート王2頭による叩き合いは、首差でカネヒキリに軍配が上がった。レースの上がり3Fが35秒4という、大井競馬の常識を覆す極限の瞬発力勝負を制し、前年覇者のヴァーミリアンをJCダートに続いて退けた。次戦は06年に制したフェブラリーS(2月22日・東京)が目標となりそうで、この日参戦プランが浮上したダイワスカーレットとの初対決もあるかもしれない。なお売り上げは、20億2667万300円で前年比81・1%と大幅にダウンした。
◇ ◇
まさしく名勝負。ダート界の頂上決戦にふさわしい叩き合いは、地獄の底からはい上がってきた王者カネヒキリが首差で制した。
残り二百メートル、内のカネヒキリと外ヴァーミリアンによる一騎打ちとなった。ルメールの左ステッキに、武豊が両手を押して応戦。息詰まる攻防は、前走のJCダートに続いて再びカネヒキリに軍配が上がった。
「マッチレースになるのを待っていた。並んでからは最後まで頑張ってくれるのを分かっていたからね。2頭とも(騎乗経験があり)知っているが、きょうはカネヒキリが上だった」
東京大賞典に初騎乗のルメールが、ファンの歓声に応えた。今秋はエリザベス女王杯、JCダートに続きG13勝目をゲット。「このタイトルを守りに、来年も大井へ来たいね」と満面の笑みを見せた。
05年のJRA最優秀ダート馬に輝いた翌年、右前浅屈腱炎に見舞われ、復帰を目指していた1年後には2度目の発症。再起は絶望的かと思われた。腱再生手術が施され、2年4カ月のときを経てカムバック。JCダートに続くG1連覇は史上2位タイの6勝目。陣営の我慢と、カネヒキリ自身の頑張りが奇跡とも言える復活劇の原動力となった。
「一戦一戦が勝負だからね。でも、G1を目指すからには手加減はできない。よく頑張ってくれた。(ゴール前は)“カネ!”って叫んでいたよ。ちょっと嫌らしいね」。自身2回目、史上最多タイとなる年間G15勝を飾った角居師は感慨深そうに話した。
今後は予定通り、国内戦に専念する。「具体的には決まっていないけど、フェブラリーSへ向けて(調整して)いくのかな」。再び“カネヒキリ時代”が幕を開けた。
【東京大賞典】ヴァーミリアン猛追届かず 「東京大賞典・交流G1」(29日、大井10R)
つかみかけていた“連覇”が、ゴール前で幻となった。最後の直線、外から猛追した1番人気のヴァーミリアンだが、カネヒキリにもうひと伸びされて首差の2着。武豊が放つこん身の左ムチも及ばず、不利に泣いたJCダート(3着)の雪辱は果たせなかった。
11月3日のJBCクラシックまでは国内7連勝(G16連勝)と無敵を誇った砂の猛者が、まさかの2連敗。武豊は「残念としか言いようがない。フリオーソが行かずスローになったことには上手に対応していたし、1度は捕まえたんだけどね」と肩を落とした。前々走の武蔵野S(9着)まで自身が主戦を務めたカネヒキリが、ルメールの手綱で完全復活という結果に。「負けるとしたらあれしかいない、とは思っていたけど」。11月23日の京都競馬での落馬負傷(右尺骨骨幹部骨折)から超スピードで復帰した天才だが、Vはまたもやお預けとなった。
0 件のコメント:
コメントを投稿