2014年3月28日金曜日

展望

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異国で女王交代―ジェンティル対抗評価
奥野庸介のドバイミーティング展望
JRA-VAN
2014年3月27日 15:15

馬場適応ベルシャザールの末脚期待

タペタにも適応できそうなベルシャザール、一気の末脚を期待!
タペタにも適応できそうなベルシャザール、一気の末脚を期待!【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
[ドバイワールドカップ]

 昨年、地元香港のG1クイーンエリザベス2世CとG1シンガポール航空国際Cを連勝したミリタリーアタック(セン6、父オラトリオ)が優勝賞金600万ドルの大舞台で世界に羽ばたく。この時期に調子のピークを迎える「春馬」。新シーズンから4連敗と足踏みしたものの、前走のG1香港ゴールドCは文句のつけようのない完勝だった。タペタも5シーズン目となり、瞬発力のある馬に有利な傾向を見せている。

 G1フェブラリーSは追い上げたものの時既に遅し。末脚の強靱さならベルシャザール(牡6、父キングカメハメハ)もそん色ない。芝でもダートでも勝ち星を挙げているのは昨年の優勝馬アニマルキングダムと同じ。06年のG1ドバイシーマクラシックでハーツクライを優勝に導いたC.ルメール騎手の手腕に期待したい。

 凱旋門賞(7着)は不調に終わったが、英ダービー馬ルーラーオブザワールド(牡4、父ガリレオ)が無様な姿を見せる訳にはいかない。直前にカタールのジョアン殿下(アルシャカブレーシング)が部分所有権を獲得。代表馬主となったことで今回からアルシャカブのグレーの勝負服で臨む。トレード後に凱旋門賞を制したトレヴに続く、ウルトラCがあるかもしれない。

 G1香港ゴールドCではミリタリーアタックに5馬身以上ちぎられたものの、昨年のG1香港ダービーとG1香港Cを制したアキードモフィード(牡5、父ドバウィ)の末脚も一級品。G1香港Cで見せた瞬発力が怖い。

 昨年、アニマルキングダムにじわりじわりと迫って最後は2馬身差まで近づいたレッドカドー(セン8、父カドージェネルー)は長い直線(450m)で持ち味を生かす。自在な脚質を持つホッコータルマエ(牡5、父キングカメハメハ)はうまく立ち回って上位進出。有力馬が差し・追い込みタイプに偏り、サーファー(セン5、父ディストーテッドヒューマー)の前残りが穴。前哨戦を連勝中のプリンスビショップ(セン7、父ドバウィ)や米国でダートのG1勝ちのあるロンザグリーク(牡7、父フルマンデート)など気になる馬も多い。

ホッコータルマエは自在性が持ち味
ホッコータルマエは自在性が持ち味【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
◎ミリタリーアタック
〇ベルシャザール
▲ルーラーオブザワールド
☆アキードモフィード
△レッドカドー
△ホッコータルマエ
△サーファー

 AWでもミリタリーアタックの決め手が勝るか。オルフェーヴル世代のベルシャザールはあらゆる馬場に適応。格で英ダービー馬ルーラーオブザワールド。ミリタリーアタックとの差を徐々に詰めるアキードモフィードが逆転候補。良い脚を長く使うレッドカドー、自在に動けるホッコータルマエらが上位進出。前残りになってサーファーが穴馬に。

ジェンティルドンナに心強い味方

ジェンティルドンナは鞍上ムーア、コース経験が心強い味方になる
ジェンティルドンナは鞍上ムーア、コース経験が心強い味方になる【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
[ドバイシーマクラシック]

 ここを目標にじっくりと乗り込まれたデニムアンドルビー(牝4、父ディープインパクト)が晴れの舞台で新旧交代を告げる。ジェンティルドンナにハナ差まで迫ったG1ジャパンCで八分咲き。このメンバーでも通用する決め手を持つまでに成長した。他馬より軽い54.5kgも有利。「追う強み」が発揮されるはずだ。

 昨年はこの馬らしからぬ競馬でセントニコラスアビーの後塵を浴びた女王ジェンティルドンナ(牝5、父ディープインパクト)。G2京都記念で初めて掲示板を外し、メンタル面を心配する声もあるが、ジャパンCでコンビを組んだR.ムーアがいるのは心強い。英国ブックメーカーはマジシャンと並ぶ1番人気(単勝4.5倍)に支持しており、注目度は高い。コース経験があるのも強み。

 G1ドバイWCに挑むミリタリーアタック、アキードモフィードとともに香港の中長距離界のトップに位置するドミナント(牡6、父カシーク)も手強い一頭。G1香港ヴァーズではザフューグ、ドゥナデン、レッドカドーらをなで斬りにした。J.ムーア厩舎とJ.モレイラ騎手は香港最強のコンビ。

 G1愛2000ギニーとG1BCターフ優勝のキャリアを持つマジシャン(牡4、父ガリレオ)はA.オブライエン厩舎の目玉。G1BCターフではザフューグを半馬身差し切った。

 G1ドバイWCを念頭に今年初戦をシャンティーのAWに設定したシリュスデゼーグル(セン8、父イーヴントップ)は断然の人気を裏切って4着に敗退。AWを諦めて一昨年優勝しているシーマクラシックに狙いを変えた。5歳時は全欧古馬チャンピオンに輝いた古豪だが、巻き返しには馬場悪化の助けが必要。

 昨年の4着馬ドゥナデンには距離が短い印象。終いの脚は確実で良いところまで来るだろうが勝つまではどうか。

◎デニムアンドルビー
〇ジェンティルドンナ
▲ドミナント
☆マジシャン
△シリュスデゼーグル
△ドゥナデン

 デニムアンドルビーとジェンティルドンナの一騎打ちにドミナントが割って入る。マジシャン、シリュスデゼーグル、ドゥナデンらの欧州ビッグネームは乱ペース&混戦になって浮上。

日本馬3頭、V圏内だ

心身ともに充実一途のジャスタウェイ、突き抜ける可能性も十分だ
心身ともに充実一途のジャスタウェイ、突き抜ける可能性も十分だ【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
[ドバイデューティフリー]

 出走予定だったG1ドバイWCから急遽、こちらに矛先を向けてきたザフューグ(牝5、父ダンシリ)が日本馬トリオの前に立ちはだかる。昨年は牡馬に混じってG1愛チャンピオンS(芝10ハロン)に優勝。本命に推されたアルカジーム(2着)やG1愛ダービー馬トレーディングレザー(3着)をねじ伏せた。2着したG1香港ヴァーズ以来、約4か月ぶりの実戦だが、英国で十分に乗り込まれており、久々の不安はない。

 G1天皇賞・秋でジェンティルドンナに4馬身差をつけたジャスタウェイ(牡5、父ハーツクライ)が世界に立ち向かう。G2中山記念でも格の違いを見せつけて優勝と心身ともに充実一途。一気に突き抜ける可能性を秘める。06年のG1ドバイシーマクラシックを制した父譲りの末脚と福永騎手の思い切った騎乗が福を呼ぶ。

 G1香港Cは武豊騎手が絶妙のペースを刻んで価値ある2着。国内ではG1未勝利ながらトウケイヘイロー(牡5、父ゴールドヘイロー)のスピードが世界に通用することが明らかになった。G2中山記念敗戦は出遅れがすべて。一人旅が理想だが、行きたい馬がいるようなら2番手から機を窺って直線先頭に立つ。

 母国南アフリカでのデビュー以来、6戦負け知らずのヴェルシンゲトリクス(牡4、父シルヴァノ)は一気に相手強化となるが、それを補って余りある可能性を秘める。M.デコック厩舎はペースメーカー役に僚馬アナエロビオを急遽参戦させるなど、やる気満々。前哨戦のジェベルハッタの勝ちっぷりは文句なし。昨年はサージャーが前哨戦優勝の勢いのまま本番も快勝した。

 皐月賞馬ロゴタイプ(牡4、父ローエングリン)はG2中山記念のひと叩きで確実に調子は上向いている。R.ムーア騎手とのコンビでG1BCフィリー&メアターフを制した欧州馬ダンク(牝5、父ダンシリ)は渋太い末脚の持ち主。L.デットーリ騎手に手替わりするムシャウィッシュ(牡4、父メダーリアドーロ)も争覇圏。

◎ザフューグ
〇ジャスタウェイ
▲トウケイヘイロー
☆ヴェルシンゲトリクス
△ロゴタイプ
△ダンク
△ムシャウィッシュ

 世界でのキャリアに勝るザフューグが一歩リード。日本馬3頭も差は少ない。ペースと展開次第で逆転あり。まとめて負かせばヴェルシンゲトリクス。ダンクとムシャウィッシュはともに鞍上が魅力。

ブライトライン、直線でどこまで差を詰めるか

ブライトラインは直線勝負でどこまで迫れるか
ブライトラインは直線勝負でどこまで迫れるか【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
[ゴドルフィンマイル]

 南アフリカで2シーズン連続して年度代表馬に輝くバラエティークラブ(牡6、父ヴァー)の実績(21戦15勝、2着4回)を素直に評価したい。前走のG3バージナハール(AW1600m)でシュルックの2着に敗れ、連勝は9で途切れたが、スピードはメンバー中最右翼。AW1600m戦は向正面の引き込み線からのスタートで15番枠もさほど気にはならない。単騎逃げに持ち込んでライバルの追撃を封じ込める。

 バラエティークラブと同じ南アフリカ調教馬のソフトフォーリングレイン(牡5、父ナショナルアッセンブリー)は前走AW1200m戦で9着と期待を裏切ったが、本番は得意のマイル戦に戻る。枠順も絶好の5番枠を引き当てた。昨年はデビューから7連勝でこのレースを制したようにコースとの相性も良く、ライバルに接近してプレッシャーをかけたいところ。ワールドCデーでは毎年のように成果を挙げるM.デコック厩舎のエース格で逆転も十分にあり得る。

 前哨戦でバラエティークラブを退けたシュルック(牝4、イルーシヴクオリティ)の底力も侮れない。昨年のG3UAEオークスなど3つの重賞勝ちはすべてメイダンのAWが舞台。コースを熟知するデソウサ騎手だけに仕掛けのポイントは誤らないはず。接戦になれば2kg減がものを言う。

 2歳時に米国西海岸に遠征してG1BCジュベナイルフィリーズターフ制覇、3歳時はG1仏1000ギニー優勝と芝の1マイルで実力を発揮する欧州牝馬フロティラ(牝4、父ミゼンマスト)は初のタペタコースが鍵を握る。G1フェブラリーS5着で見せ場をつくったブライトラインは有力馬を前に見て、直線でどこまで差を詰めるか。

◎バラエティークラブ
〇ソフトフォーリングレイン
▲シュルック
△フロティラ
△ブライトライン

 バラエティークラブに展開の利。ソフトフォーリングレインは積極策で勝機を掴む。ペース次第でシュルックが浮上し、三つ巴の様相。欧州馬フロティラとブライトラインは初コースが鍵。

(文:奥野庸介)

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