数多くの名牝もなし得なかった大偉業を達成した。牝馬3冠&ジャパンC制覇と牝馬では年間初のGI4勝。ジェンティルドンナが、3歳牝馬として史上初めて年度代表馬に輝いた。
「すごい競馬でジャパンCを勝ってくれて、ファンからも『感動した』という言葉をいただいた。そのおかげで年度代表馬になれたと思うし、十分にいただく値打ちのある馬。立派な年度代表馬だと思う」
石坂正調教師が喜びを語った。牝馬が年度代表馬に選ばれたのは、トウメイ、エアグルーヴ、ウオッカ、ブエナビスタの4頭だが、いずれも4歳以上の古馬になってからの受賞。1954年から選出されてきたJRAの顔に、3歳牝馬が新たな歴史を刻んだ。
昨年は桜花賞、オークス、秋華賞を勝ち、史上4頭目の牝馬3冠を成し遂げた。さらに、ジャパンCでは、一昨年の3冠馬で仏GI・凱旋門賞2着のオルフェーヴルとの叩き合いを制し、3歳牝馬初の同レースVを決めた。最優秀3歳牝馬は満票で選ばれ、各部門の受賞馬から選出される年度代表馬も全投票数(289票)の9割近い256票を獲得した。
「本当にすごい馬をやらせてもらった。オークスで届かないところからぶっちぎったとき、『普通の“走る馬”どころじゃない』と思った。印象に残ったレース? やっぱりジャパンC。『絶対勝たないと…』との思いで、しんどかった秋華賞を思うと、気持ちとしては楽だったけどね」
今年は“世界”が舞台となる。春はドバイシーマクラシック(3月30日、UAE・メイダン、GI、芝2410メートル)の参戦が決定しており、秋には凱旋門賞(10月6日、仏・ロンシャン、GI、芝2400メートル)に挑戦する。
「(ドバイへは)日本を代表して行くことになる立場だから、いい競馬をして勝ちたいと思う」
石坂調教師は決意を口にする。現在は滋賀県のノーザンファームしがらきで充電中。2月上旬に帰厩し、ドバイに向かう予定だ。ジェンティルドンナが新たな勲章を手に、世界へ羽ばたいていく。(小林政史)
◆岩田康誠騎手「この馬のおかげで、自分自身も素晴らしい一年になりました。今年はこの馬と一緒に世界に羽ばたきたいと思います」
◆父子の年度代表馬は3組目 ジェンティルドンナの父ディープインパクトは05、06年度の年度代表馬。父娘の年度代表馬は初めて。父子となるとトウショウボーイ(76年)→ミスターシービー(83年)、シンボリルドルフ(84、85年)→トウカイテイオー(91年)に続いて3組目となる。
◆JRA賞 日本中央競馬会が競馬と馬に関する優れた業績に対して、その栄誉をたたえ、感謝の意を表すために設けた賞で、授賞式は最も権威のあるイベントとして行われている(今年は28日に都内のホテルで開催)。競走馬部門の選考は記者による投票。有資格者は東京記者クラブなど中央競馬の新聞、放送記者クラブに3年以上在籍する記者と専門紙トラックマンで、今回は289人が投票した。年度代表馬、各部門の最優秀馬は、投票全体の3分の1以上の票数(今年は97票以上)が必要となる。
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