2007年12月30日日曜日

サンスポ記録

【東京大賞典】日本最強!武ヴァーミリアン、次はWC制覇だ!

不良馬場も展開も関係ない。武豊ヴァーミリアンが4馬身差の圧勝劇。ダートではもはや国内に敵はいない

秋のダートGI3連勝で07年を締めたヴァーミリアン。あまりの強さに天才ユタカは何度もガッツポーズ(撮影・高橋朋彦)
 第53回東京大賞典(29日、大井10R、指定交流、GI、サラ3歳以上、選定馬、定量、ダ右2000メートル)ダート競馬の年度総決算・東京大賞典は圧倒的1番人気の武豊ヴァーミリアンが好位から楽に抜け出し、2着フリオーソに4馬身差の圧勝。07年を鮮やかに締めくくった。タイム2分3秒2(不良)。JBCクラシック→JCダート→東京大賞典の3連勝は史上初の快挙。管理する石坂正調教師は来年、今年4着と敗れたドバイWCでのリベンジを誓った。

 3000勝ジョッキー武豊が07年を鮮やかに締めくくった。“砂のグランプリ”東京大賞典はヴァーミリアンが力の違いを見せつける圧勝劇で、史上初となる秋のダートGI3連勝を飾った。
 「スタートはいつものように遅かったけど、外枠だったこともあってスムーズに追走できました」。スタートの一瞬の遅れにも動じず、武豊騎手は(13)番枠を味方につけ、1コーナーでは5番手の外につけていた。道中も折り合いを欠くことなくスムーズに外めを追走。直線では1頭だけ次元の違う脚で抜け出し、2着フリオーソに4馬身差で圧勝した。「乗りやすい馬だし、強かったですね」とユタカも認める完勝劇。
 この秋のヴァーミリアンは充実一途のひと言だった。ドバイ以来で7カ月ぶりのJBCクラシック、驚異的なコースレコードで完勝したJCダート、そして東京大賞典。「以前乗っていた時とは違って、精神的にも体調も安定しています」とユタカもその強さに脱帽する。石坂調教師は「秋3走目で今回が一番自信を持って出せました。正攻法の競馬であれだけ離すのだから充実期なのでしょう」と成長した愛馬を称えた。
 ヴァーミリアンの来年春の最大目標は、今年完敗したドバイWC(4着)制覇。「今年はレベルの違いを見せつけられた。もう行かないと思っていたが、これだけ強い競馬をしているのだから色気を持って行きますよ」と石坂師はもう1度世界の舞台でリベンジを誓う。この後は、今年勝った川崎記念(1月30日、川崎、交流GI、ダ2100メートル)をステップにドバイWC(3月29日、ナドアルシバ、GI、ダ2000メートル)に向かう予定だ。
 今年のユタカはJRA前人未到の3000勝を達成(11月3日)。ラストライドもGI勝利と最高の形で締めくくった。「今年は充実していました。ドバイはこの強さならと思うし、何頭かまとめて乗りたい。皆さんも今のうちに飛行機を予約しておいた方がいいですよ」。ヴァーミリアンとユタカが世界の強豪を相手にどんな競馬を見せてくれるのか。楽しみは尽きない。
(高尾幸司)
■ヴァーミリアン
 父エルコンドルパサー、母スカーレットレディ、母の父サンデーサイレンス、黒鹿毛の牡5歳。栗東・石坂正厩舎所属。北海道早来町(現・安平町)・ノーザンファームの生産馬で、馬主は(有)サンデーレーシング。戦績21戦10勝(うち海外1戦0勝、地方6戦6勝)、重賞は04年GIIIラジオたんぱ杯2歳S、05年交流GII浦和記念、06年交流GIIダイオライト記念、交流GII名古屋グランプリ、07年交流GI川崎記念、交流GI・JBCクラシック、GI・JCダートに続き8勝目。総収得賞金6億5156万9500円。石坂正調教師は、交流GI東京大賞典は初勝利。武豊騎手は02年ゴールドアリュール、03年スターキングマンに続き3勝目。
★売り上げ地方競馬最高
 東京大賞典の売り上げは25億20万7900円(前年比142.9%)で、地方競馬史上、1レースの売り上げレコードを更新した。1日の売り上げも45億5670万1800円(同131.0%)、入場人員も3万9027人(同119.2%)と大幅アップ。ダート最強馬の登場に加え、早々に雨が上がり比較的暖かかったことが好結果につながったようだ。なお従来の1レースあたりの売り上げレコードは、02年の東京大賞典(優勝馬ゴールドアリュール)で24億3706万2000円。
▼東京大賞典(12月29日、大井10R、指定交流GI、3歳上、定量、ダ2000m)
1着(13)ヴァーミリアン
2着(11)フリオーソ
3着(3)メイショウトウコン
単勝
13
130円
複勝
13113
100円160円160円
枠連複
6-7
390円
馬連複
11-13
420円
枠連単
7-6
540円
馬連単
13-11
590円
ワイド
11-133-133-11
210円220円690円
三連複
3-11-13
1,010円
三連単
13-11-3
2,290円(レース結果は主催者発行のものと照合し確認して下さい)

【東京大賞典】公営の意地!フリオーソ2着、ドバイ挑戦視野
 第53回東京大賞典(29日、大井10R、指定交流、GI、サラ3歳以上、選定馬、定量、ダ右2000メートル)地方の若きエース・フリオーソは、好スタートから3番手を追走。4コーナーで早めに先頭に立つ積極的なレースを演じたが、ヴァーミリアンの末脚に屈し、4馬身差の2着に敗れた。
 今野忠成騎手は「よく頑張ったね。スタートは上手ではなくて、少し体を硬くしてしまうところもあるから注意していた。道中はスムーズだったけど、4コーナーで振り返ったらすぐ後ろにヴァーミリアンが来ていたから…」。川島正行調教師も「よく走ってくれた。楽にいいところを取れたけど、結局は(ヴァーミリアンに)マークされたような格好だね」と、両者とも勝ち馬の強さに脱帽だった。
 しかしJBCクラシックに続く古馬ダートGI2着で、改めて高い能力を証明。今回のレースぶりを踏まえて川島正師は「次走は川崎記念か、ドバイだな」と世界挑戦をも視野に入れていることを明かした。限りない可能性を感じさせる3歳馬フリオーソ。今後もその動向から目が離せない。
(大貫師男)

【東京大賞典】3着メイショウトウコン幸四郎「相手が悪かった」
 第53回東京大賞典(29日、大井10R、指定交流、GI、サラ3歳以上、選定馬、定量、ダ右2000メートル)ダート重賞3勝、JCダート4着の実績を誇るメイショウトウコンは3着。後方追走から3~4コーナーで位置取りを上げ直線でもよく伸びたが、2着のフリオーソから5馬身差まで詰め寄るのが精一杯だった。武幸四郎騎手は「状態はよかったし、ヴァーミリアンを見る形で上がっていけたけど…。最後も突き放されたし、相手が悪かったね」と勝ち馬を称えるよりほかなかった。しかし初の大井コース、自ら動かなければならない展開の中での3着なら上々。今後の交流戦線へ向けて視野が広がる一戦だった。
★今後の活躍予感、4着ルースリンド
 鞍上に内田博幸騎手を配し、万全の状態で臨んだルースリンド。中団からよく伸び、メイショウトウコンと半馬身差の4着に健闘した。今後の交流戦線での活躍を予感させる好内容に、「もう少しスムーズに追走できればよかったけどね。でも以前乗った時より良くなってきているし、力もつけている。距離もこれくらいあった方がよさそうだね」と内田博騎手は愛馬をねぎらった。
★不良馬場に泣く、5着ブルーコンコルド
 連覇を目指したブルーコンコルドは3コーナーで手応えが怪しくなり、直線も伸び切れず5着。日本記録タイとなるGI7勝は持ち越しとなった。「ヴァーミリアンと同じような位置につけられたけど勝負どころで動けなかった。パワー型だから力のいる馬場のほうがよかったね」と幸英明騎手は水の浮く不良馬場を敗因に挙げた。
★米国で種牡馬に、6着シーキングザダイヤ
 05年2着、06年3着のシーキングザダイヤは悲願のGI制覇を目指し果敢にハナを切ったものの6着に敗れた。これが引退レースとなり、「米国で種牡馬になります」と森秀行調教師。横山典弘騎手は「無事にレースを終えることができてよかった。(GI2着9回と)力はあったんだけど運がなかったね」と最後は笑顔ものぞかせていた。
★ほろ苦砂の初陣、12着デルタブルース
 菊花賞に加え海外GIメルボルンCも制しているデルタブルースはデビュー29戦目で初のダート戦となったが、勝ち馬から4.1秒離された12着と大敗。「躓いたから」と岩田康誠騎手は砂適性以前の敗因を口にした。
◆坂井英光騎手(トップサバトン7着)
 「折り合いもついていたし最後まで頑張っていた。今後またタイトルが獲れるよ」
◆戸崎圭太騎手(アンパサンド8着)
 「(プラス22キロは)重くはなかった。久々のぶん。でも馬はすごく良くなっているし、次は期待できます」

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