2013年4月2日火曜日

回顧

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レース回顧【合田 直弘】

2013/04/01 (Mon) 11:44
合田 直弘(ごうだ なおひろ)
合田 直弘。1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和 57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後 イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

ドバイシーマクラシック(G1)
レースに向かうジェンティルドンナ(左)とトレイルブレイザー(右)

3月30日(土) メイダン競馬場 2,410m(芝) 北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上
第8レース 21:20(日本時間:26:20)発走

賞金総額:US$5,000,000 1着賞金:US$3,000,000
 残念ながら、06年のハーツクライ以来となる日本馬によるこのレースの優勝は実現しなかった。
 典型的な逃げ馬がおらず、誰がどんなペースで逃げ、有力馬がどこに位置するかが鍵と言われていたこのレース。1コーナーの入りでは、最高のスタートを切ったトレイルブレイザー(牡6)がペースを作りかけたが、1番枠から出たシャレータ(牝5)がコーナーワークを利して先手を取り、鞍上J・オブライエンが意識的に前目の競馬を心掛けたセントニコラスアビー(牡6)がここで2番手を確保。向こう正面に入って隊列が落ちついた時、ジェンティルドンナは3番手外目をキープすることが出来たが、8番枠から出た同馬は1~2コーナーを含めてここまで終始外目を廻らされた上に、その後も前に馬がいない状態で内埒から3~4頭目を通ることになった。能力的にはジェンティルドンナが1枚抜けていると見られていただけに、多少のコース損は覚悟の上で、馬群の中に入れて閉じ込められるリスクは避けたいというのが陣営の思惑だったのかもしれない。


 
 直線に向くと先頭に立ったのはセントニコラスアビーで、ジェンティルドンナも遅れずについて行き、逆転を試みるも、残念ながら馬体を併せるところまで行かず、最後は逆にセントニコラスアビーに2.1/4馬身突き離され、ジェンティルドンナは2着に甘んじることになった。初のアウェイで、しかも4カ月の休み明けで、世界の精鋭を相手にしての2着は、大健闘である一方、優勝を期待されていただけに、非常に悔しい結果とも言えよう。 レース中盤から徐々にポジションを下げたトレイルブレイザーは11着だった。こんな実力の馬ではないだけに、ドバイの環境が合わなかったものと推測される。勝ったセントニコラスアビーは、これが5度目のG1制覇。今季も芝12F路線の中心的存在となりそうだ。(合田 直弘)
石坂 正調教師(ジェンティルドンナ)のコメント
「レース前半で多少ハミをかんでいましたが、最後は伸びると思っていました。外、外と回ったことが敗因だと思います。4ヶ月ぶりのレースで初の海外遠征であったことを思えば、2着だし全く駄目だったということはないと思います。次走については、日本に帰って状態をチェックした上で考えます。何とか勝ちたいと思っていましたが、申し訳ありませんでした。」
岩田 康誠騎手(ジェンティルドンナ騎乗)のコメント
「パドックのテンションはいつも通りでした。2着で悔しいです。失速はしませんでしたが、並ぶところまでいきませんでした。強い競馬を見せようと思っていましたが、残念です。」
池江 泰寿調教師(トレイルブレイザー)のコメント
「スタートは良かったです。ジェンティルドンナとセントニコラスアビーを追走していましたが、4コーナーで手応えが怪しい感じでした。なぜだか分かりません。シンガポールのレースに登録をしましたが、出直します。」
武 豊騎手(トレイルブレイザー騎乗)のコメント
「レースは3コーナーまでは思い描いた通りでしたが、4コーナーで手応えがなくなりました。良いときのコンディションに戻っていなかったのではないでしょうか。」
(各コメントはJRA発表)
 
優勝馬 セントニコラスアビー
 
ドバイゴールデンシャヒーン(G1)
タイセイレジェンド、ライアン・ムーア騎手と矢作調教師

3月30日(土) メイダン競馬場 1,200m(オールウェザー) 3歳以上
第6レース 19:45(日本時間:24:45)発走

賞金総額:US$2,000,000 1着賞金:US$1,200,000
 
 日本から参戦したタイセイレジェンド(牡6)は、果敢に先行したものの、4コーナー手前で戦線から脱落して12着に敗れた。タペタというブランドの人工素材を敷設したメイダンのオールウェザートラックは、馬によって巧拙がはっきり分かれる傾向がある。適性がないと能力を全く発揮出来ないというタペタの罠に、タイセイレジェンドは嵌ったようだ。
 勝ったのは、前半4番手から残り300mで先頭に立ったレイナルドザウィザード(騸7)。5シーズンぶりの重賞挑戦となった前哨戦のG3マハブアルシマール(AW1200m)を制した時には、周囲をおおいに驚かせたが、この日のレースを見ると、7歳にしての本格化と見て間違いなさそうである。(合田 直弘)
矢作 芳人調教師のコメント
「この距離のレースは世界的にも強い馬が多く、厳しい戦いになるのは覚悟していました。力の差はあったと思います。内外からプレッシャーを受け、展開的にもきつく、馬場もこの馬にとっては重かったです。馬とオーナー、応援していただいたファンの方々に感謝しています。」
ライアン・ムーア騎手(タイセイレジェンド騎乗)のコメント
「ゲートの出は良かったが、二の脚を使わされました。ひょっとしたら馬の状態が万全でなかったのかもしれません。3,4コーナー中間で手ごたえがなくなったので、今の状態はベストでなかったのかもしれません。」
(各コメントはJRA発表)

 
優勝馬 レイナルドザウィザード(左)
 
UAEダービー(G2)
3月30日(土) メイダン競馬場 1,900m(オールウェザー) 3歳
第4レース 18:25(日本時間:23:25)発走

賞金総額:US$2,000,000 1着賞金:US$1,200,000
 日本から参戦のケイアイレオーネ(牡3)は、前半後方に控えて末脚にかけたが、残念ながら10着に敗退した。そうでなくとも普段通りの戦いをするのが容易ではないのがアウェイで、ましてや心身ともに完成途上にある3歳馬が本領を発揮するのは、大きな困難を伴うようだ。
 勝ったのは、前半2番手から直線残り350m付近で先頭にたったラインズオブバトル(牡3)だった。欧州の愛国からの遠征馬だったが、昨年10月にダンドーク競馬場の準重賞(AW7F)で勝利を収めてオールウェザー適性を実証済みだったの加え、昨年11月には敗れたとはいえ北米のBCジュヴェニルターフに参戦し、遠征経験を積んでいた馬だった。(合田 直弘)
西浦 勝一調教師のコメント
「道中、力んでしまったように、精神面も含めて力不足でした。世界の壁は厚かったです。まだ3歳ですし、これをいい経験としてこれから力をつけていければと思います。」
幸 英明騎手(ケイアイレオーネ騎乗)のコメント
「ポジションは後ろでしたが、落ち着いていい感じに走ってました。走りは良かったのですが、内も詰まって、最後は止まってしまいました。」
(各コメントはJRA発表)
 

優勝馬 ラインズオブバトル
 
ドバイワールドカップ(G1)
3月30日(土) メイダン競馬場 2,000m(オールウェザー)
北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上
第9レース 22:05(日本時間27:05)発走

賞金総額:US$10,000,000 1着賞金:US$6,000,000 
 昨年の覇者モンテロッソ(牡6)が左前跛行でレース当日朝に取り消したものの、近走好調でなおかつタペタ適性の高い精鋭を揃えた地元勢と、ビッグネーム3頭擁した北米勢の争いになると見られたこのレース。先手をとったのは、北米で2年連続牝馬チャンピオンの栄誉を手にしているロイヤルデルタ(牝5)で、ゴドルフィン勢の代表格と見られた前哨戦G1マクトゥームチャレンジラウンド3(AW2000m)勝ち馬ハンターズライト(牡5)は4番手からの競馬となった。
 

優勝馬 アニマルキングダム
 4コーナー手前で先頭に立ったのは、そこまで2~3番手で競馬をしていた北米調教馬アニマルキングダム(牡5)で、そのまま後続に2馬身差をつける快勝。一昨年のG1ケンタッキーダービー(d10F)以来となるビッグタイトルを手にすることになった。一方、期待の高かったハンターズライトは7着、ロイヤルデルタは10着と、いずれも自分の競馬を出来ずに終わっている。(合田 直弘)
 

ドバイワールドカップ表彰式

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