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- 有吉正徳 世界の名馬
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初のGⅠレース優勝となった桜花賞(写真 日本中央競馬会提供)
馬名はイタリア語で「貴婦人」を意味する。ジェンティルドンナが引退レースに選んだのは2014年12月28日に行われた第59回有馬記念だった。
本来は11月のジャパンカップを最後に現役生活を終え、母になるため北海道の牧場へ帰る予定だった。だが、史上初の3連覇を狙ったジャパンカップで4着に終わった。
3月のアラブ首長国連邦遠征では、見事にドバイ・シーマクラシックというGⅠレース制覇を果たしたが、帰国後は宝塚記念が9着、天皇賞・秋が2着、そしてジャパンカップと3連敗を喫した。「彼女のほんとうの姿を見てもらいたい」。石坂調教師のたっての願いで有馬記念出走が決まった。
しかしジェンティルドンナは有馬記念が行われる千葉・中山競馬場でのレース経験が一度もなかった。ゴール前の直線が急な上り坂になっている中山競馬場は、ラストスパートが身上のジェンティルドンナには不向きなコースだと思われた。
レースは16頭立てで行われた。1番人気はゴールドシップ、2番人気はエピファネイア、3番人気がジャスタウェイ、ジェンティルドンナはオッズ8.7倍の単勝4番人気に支持された。
2枠4番のゲートから飛び出したジェンティルドンナは3番手につけた。先頭に立ったのは同期のライバル牝馬(ひんば)ヴィルシーナだった。ジェンティルドンナが史上4頭目の牝馬3冠に輝いた2012年、その3冠レース、桜花賞、オークス、秋華賞でいずれも2着だったのがヴィルシーナだ。ヴィルシーナもこの有馬記念を最後に引退することが決まっていた。
ヴィルシーナが作り出すペースは一流馬が集まった有馬記念としてはスローだった。そのためレースは後半勝負の展開になった。ジェンティルドンナがもっとも得意とするレースパターンだ。4コーナー手前からスパートを開始したジェンティルドンナは戸崎圭太騎手の手綱に応え、末脚を伸ばした。残り200メートル付近で先頭に立つと、そのままリードを保ってゴールした。引退レースを最高の形で締めくくった。
有馬記念を牝馬が制したのはガーネツト(1959年)、スターロツチ(1960年)、トウメイ(1971年)、ダイワスカーレット(2008年)に次いで6年ぶり5頭目の快記録だった。
2011年11月に京都競馬場でデビューして以来、通算19戦10勝。10勝のうちGⅠレースは桜花賞、オークス、秋華賞、ジャパンカップ(2勝)、ドバイ・シーマクラシック、有馬記念と7勝を数え、父ディープインパクトなどと並ぶ史上最多になった。また海外での賞金も含めると獲得賞金の総額は17億2603万400円となり、テイエムオペラオー(18億3518万9千円)に次ぐ歴代2位に浮上した。
早ければ来春に出産し、その子は2018年に競走馬デビューを果たす。競走生活同様、繁殖生活でも成功してほしいものだ。「結婚相手」はまだ決まっていない。
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