2009年2月17日火曜日

各紙

王座奪還へ ヴァーミリアンの逆襲 フェブラリーS
◆ カネヒキリにひと泡吹かす ◆
 頂上決戦へ。第26回フェブラリーS(2月22日、東京ダ1600メートル左)に復権をかけるヴァーミリアン(牡7=石坂)がすごい気配に仕上がっている。ここ2戦は同期のライバル、カネヒキリに後れを取ったものの逆襲へ準備は整ってきた。
◆ 叩き合ってねじ伏せる! ◆
 元気の源は食事。それは人も馬も変わらないはず。馬房内で英気を養う昨年覇者のヴァーミリアンは大勢の記者が押しかけてもカイバおけに夢中。そこで愛馬の手入れに余念がない担当の久保助手が穏やかな表情で語り始めた。
 「すごいでしょ。去年やおととしはこんな感じじゃなかったけど。代謝がいいのか、カイバをばりばり食べている。人が周りにいても集中してるからね」
 年齢について質問を投げかけるのが愚かしく思えるほど迫力ある食いっぷり。
 しっかり体を動かしているからこそ“ゴハン”がおいしくなる。フェブラリーSへの調教は陣営の熱意を感じさせるものだ。「長めを乗って息をつくりたい」という意図で坂路だけでなく、CWコースを併用。同コースで15-15より速くなるケースがあるのは身体能力が高いからこそ。あくまで「リラックスさせて自分のペースで走らせている」結果だという。11日の坂路では、エスプリヌーヴォー(3歳未勝利)を追いかけて同時入線。4F54秒7、ラスト13秒7を計時。もともと攻めで目立つタイプではなく、脚さばきは力強かった。「出来落ちはないよ。元気いっぱい」。久保助手の感触も上々だ。
 今回の一戦はプライドをかけた戦いだ。07年1月の川崎記念から昨秋JBCクラシックまで国内GIで6連勝、まさに王者として君臨した。だがJCダート、東京大賞典は復活したカネヒキリに先着を許した。  「離されて負けたわけじゃないから、よけいに悔しいね。今度は直線が長くて広いコースになる。勝ち負けはともかく、叩き合いでいいレースをしてほしい」
 久保助手が語気を強めて熱い意気込みを話した。このレースが終われば、放牧の予定。ここに全力投球というわけだ。昨年は久しぶりのマイル戦への対応を不安視する声を一蹴してみせた。今年も最高のパフォーマンスを披露できる態勢が整いつつある。
[ 2009年2月17日付 ]

ヴァーミリアン 連覇で宿敵にリベンジだ…フェブラリーS
王座奪回に向けてつめを研ぐヴァーミリアン ヴァーミリアンは、07年川崎記念から、昨年のJBCクラシックまで、国内G1・6連勝。無敵の強さを誇っていた。ところが、復活したカネヒキリとの対戦では2連敗。「やっぱり向こうは走るね。カネヒキリを褒めてやるべきだ」と久保助手は宿敵の底力を認めた。
 差はわずかだ。JCダート(3着)は、「頭」+「首」で、東京大賞典(2着)は「首」。いずれも競り合いに持ち込みながら、涙を飲んだ。「今回も、1馬身差以内の戦いになる」久保助手は接戦になることを予告した。
 昨年は、ドバイ遠征が控えていたが、今回は、このレースに全力投球。より良い状態で出走させる確信が、陣営にはある。11日の1週前の追い切りは、坂路で3歳未勝利のエスプリヌーヴォーを相手に首差遅れたが、しぶとく最後まで動いた。もともと、調教では動かないタイプ。「余裕があったし、この馬としては時計も悪くない。オーバーペースにならないように調整しており、調子は本当にいい」と久保助手は手応えを口にした。
 久保助手が心待ちにしていたダイワスカーレットとの対決は、夢と消えた。「あの馬、血がつながっているから好きなんだ」3代前の母は、同じスカーレットインク。自らの復権のためだけじゃない。一族の威信をかけて、カネヒキリを全力で倒しにいく。
(2009年2月17日06時00分 スポーツ報知)

2009年02月16日(月曜日)
フェブラリーS(GI、東京ダ1600メートル、22日) 丹下日出夫の虎の巻 王座復権に燃えるヴァーミリアン
 ヴァーミリアンに追い風が吹き始めた―。
 ヴァーミリアンとカネヒキリは、ともに7歳。前者の本格化は、2005年の浦和記念圧勝が起点だったが、一方の後者は同じ05年には、すでにJCダートを制覇。年明けの06年フェブラリーSでは、ヴァーミリアンを0秒9差の5着に退けている。
 そのフェブラリーSから3年。いったん天下が訪れたかに見えたヴァーミリアンだったが、昨年のJCダートで形勢逆転。2000メートルという得意の舞台である東京大賞典でも、再びカネヒキリに競り負けてしまった。それらを振り返ると、ダート王の覇権が「旧」に復した観もあるが、ちょっと待った!
 JCダートのヴァーミリアンの敗因は、内か外かのコース取りの差。加えて、鞍上の岩田騎手はJCダートの前に落馬。出遅れたり、道中外を振り回されたりのロスは、落馬のアクシデントによるジョッキーの動揺もあったように思う(自信がないと人間は消極的になる)。
 東京大賞典も、鞍上の武豊騎手は骨折の影響で、体調としてはいいとこ六分。追い負けてのクビ差2着は、ジョッキーの体調不良の影響も大きかったはずだ。一時はウインズでも、「タケは追えねぇなぁ…」なんて、馬券オヤジの独り言が渦巻いている時期もあったが…。
 先々週の共同通信杯で騎乗したブレイクランアウトの快勝。ゴール板を過ぎて、ほかのジョッキーから背中に祝福のパーンをされた武豊の「何かありましたっけ?」とでも言いたげな、冷徹な表情こそ完全復活の証し。天の才が蘇った瞬間だったように思う。
 しかも、ヴァーミリアンが、東京大賞典から中1カ月という、余裕をもったローテーションであるのに対し、カネヒキリは命を削るかのように、川崎記念でも全力投球。さすがのカネヒキリも、目に見えない疲れがたまっている可能性は捨て切れない。
 鞍上とローテーションを考えれば、今度はヴァーミリアンに追い風。東京マイルなら、距離うんぬんも関係ない。
 もちろん、当面の敵はまともなら8割方の確率でカネヒキリなんだろうが、思わぬ失速というか、嫌な予感も2割ある。
 間隙を突くのは、ギリギリで出走がかなったカジノドライヴ。前走は、見た目にもトモや腹回りがとがって映ったが、何と22キロ減で、しかも苦手とする右回り(JCダートはモタれて6着)を意に介さずに楽勝。
 「左回りなら、もっと走りますよ」と、鞍上のアンカツも口にしていたように、2強をまとめて下し、新ダート王の座を射止める可能性も十分あり得る。

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