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ドバイワールドカップデー回顧②[和田栄司コラム]
2014-04-01 10:29 更新
光のショーが終わり、歌手で俳優のジェニファー・ロペスが出て来て、レース後のコンサートを告知、そしてDWCはいよいよクライマックスへと突入する。最初のG1ドバイデューティーフリー(芝1800m)から総賞金は500万米ドルと大幅にアップ、そのレースで日本のジャスタウェイが、世界中が驚いた桁違いのレース振りで優勝した。
トウケイヘイローの単騎逃げでスローペースを予想したが、半マイル47秒12のとんでもないハイペースである。11番手のジャスタウェイは、ラスト600m34秒31、ラスト200m11秒48でまとめ、サージャーの記録を2秒41短縮する1分45秒52のコースレコードを樹立した。これは後にも先にも到底破ることの出来ない記録となりそうである。
ザフューグは好スタートもあって前々、対照的にダンクは後ろから2番手、南アフリカのヴァーシンゲトリクスとアナエロビオも中団の後ろから、予想した展開とは全く違った。ヴァーシンゲトリクスが直線残り300mで抜け出そうというところを、2馬身差で追走したジャスタウェイが並ぶ間もなく交わし、その差はゴールで6馬身4分の1に広がった。
内を縫うように追い上げたダンクが1馬身4分の3差3着、ムシャーウィッシュが1馬身4分の1差4着。トウケイヘイローのペースが明暗を分けた。ザフューグ11着、香港のブレイジングスピードは10着。須貝尚介調教師はこの後のレースを聞かれ「安田記念」ときっぱり答える。ジャスタウェイの驚異的勝ち方に驚いた香港勢は、昨年のロードカナロアに続いて、今年も安田記念をパスしそうである。
続くG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)は15頭立て。このレースも日本のデニムアンドルビーが逃げ、対照的に先行すると思われたアンビヴァレントが安目を売って予期せぬ展開となった。初手はいわゆるダンゴ状態、後手を踏んだアンビヴァレントも徐々に前に押し上げて行く。1~2コーナー中間、中団の内にいたマーズにアクシデントが発生、逸走して騎手を放り落した。これでダンゴ状態は崩れ、縦長の展開に変わった。
半マイル50秒87は平均ペース。人気のマジシャンは11番手、ジェンティルドンナは8番手。直線残り400m、4番手からアンビヴァレントが抜け出す。アンビヴァレントを追走してシリュスデゼーグル、2頭が抜け出した。内にいたジェンティルドンナは2頭が壁になり、最内のデニムアンドルビーと接触するような窮屈な競馬になった。しかし、残り200mの手前から外に出して追い出し100m残して先頭に立った。
勝ちタイムは2分27秒25、これも昨年のセントニコラスアビーの時計をコンマ45上回るレコードとなった。1馬身半差で一旦200m残して先頭に立ったシリュスデゼーグルが2着に入り、半馬身差3着にアンビヴァレントが残った。ドミナントは14番手から大外を追い込んで5着、マジシャンは6着、いかにも追い出しが遅れた。それにしてもライアン・ムーア騎手が最新情報⑤で紹介したように、アンビヴァレントを要注意馬に挙げていたのには驚かされる。同馬は英国で50/1、香港では万馬券扱いの馬だった。
そして掉尾を飾る賞金総額1000万米ドルのG1ドバイワールドカップ(AW2000m)、16頭立て。それまでの鬱憤を晴らすかのように、ホスト国UAEの上位独占、19年の歴史の中でゴドルフィン7回目の優勝をアフリカンストーリーで飾った。予想通り、ペースを握ったのはハムダン殿下のムカドラム、アフリカンストーリーは内の好位3~4番手から、4コーナー手前で2番手に上がり、後続を突き放した。
直線残り200mで先頭に立って2分01秒61、ムカドラムが2馬身4分の3差2着、その後ろは4馬身4分の1差が付いて大外からR3で4着したゴドルフィンのキャットオマウンテンが入った。バリードイルのルーラーオブザワールドは直前にオーナーが50%の権利を取って勝負服が変わった。しかし4番手を追走したものの直線はバテて13着、タペタの馬場を攻略することは出来なかった。
香港勢はミリタリーアタックが中団の後ろから見せ場なく10着、アキードモフィードが前団の後ろから流れ込んで5着。日本勢はホッコータルマエが絶好位の2番手で回ったが、最後はバテてしんがり負け、ベルシャザールは中団から早めに脱落して11着。日本のダート馬ではタペタは攻略出来ないことが良く分かる。
因みにムカドラムの半マイル通過は49秒94の平均ペース。タペタを含みオールウェザー競馬は初めてだったが、2000mのG1、プリンスオブウェールズS2着やエクリプスS3着の力がある先行馬だったから成し得た業だった。メイダン競馬場に変わってから、初年度は超スローペースで日本のワンツー、次の年はカーニバルを戦って来たゴドルフィンのワンツー、そして昨年はカーニバル以外のオールウェザー経験馬のワンツーだった。
今年はそのどれにも当たらない新しい組み合わせとなり、DWCの予想の難しさを改めて思い知らされる結果である。優勝したアフリカンストーリーは昨年アニマルキングダムの5着だった。7歳になったアフリカンストーリーにエースのシルヴェストレ・デ・スーザー騎手を乗せて来たのにもそれなりの理由があったのだろう。対照的にハムダン王子のプリンスビショップはスタートのミスが最後まで尾を引いて9着に終わった。
海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。
トウケイヘイローの単騎逃げでスローペースを予想したが、半マイル47秒12のとんでもないハイペースである。11番手のジャスタウェイは、ラスト600m34秒31、ラスト200m11秒48でまとめ、サージャーの記録を2秒41短縮する1分45秒52のコースレコードを樹立した。これは後にも先にも到底破ることの出来ない記録となりそうである。
ザフューグは好スタートもあって前々、対照的にダンクは後ろから2番手、南アフリカのヴァーシンゲトリクスとアナエロビオも中団の後ろから、予想した展開とは全く違った。ヴァーシンゲトリクスが直線残り300mで抜け出そうというところを、2馬身差で追走したジャスタウェイが並ぶ間もなく交わし、その差はゴールで6馬身4分の1に広がった。
内を縫うように追い上げたダンクが1馬身4分の3差3着、ムシャーウィッシュが1馬身4分の1差4着。トウケイヘイローのペースが明暗を分けた。ザフューグ11着、香港のブレイジングスピードは10着。須貝尚介調教師はこの後のレースを聞かれ「安田記念」ときっぱり答える。ジャスタウェイの驚異的勝ち方に驚いた香港勢は、昨年のロードカナロアに続いて、今年も安田記念をパスしそうである。
続くG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)は15頭立て。このレースも日本のデニムアンドルビーが逃げ、対照的に先行すると思われたアンビヴァレントが安目を売って予期せぬ展開となった。初手はいわゆるダンゴ状態、後手を踏んだアンビヴァレントも徐々に前に押し上げて行く。1~2コーナー中間、中団の内にいたマーズにアクシデントが発生、逸走して騎手を放り落した。これでダンゴ状態は崩れ、縦長の展開に変わった。
半マイル50秒87は平均ペース。人気のマジシャンは11番手、ジェンティルドンナは8番手。直線残り400m、4番手からアンビヴァレントが抜け出す。アンビヴァレントを追走してシリュスデゼーグル、2頭が抜け出した。内にいたジェンティルドンナは2頭が壁になり、最内のデニムアンドルビーと接触するような窮屈な競馬になった。しかし、残り200mの手前から外に出して追い出し100m残して先頭に立った。
勝ちタイムは2分27秒25、これも昨年のセントニコラスアビーの時計をコンマ45上回るレコードとなった。1馬身半差で一旦200m残して先頭に立ったシリュスデゼーグルが2着に入り、半馬身差3着にアンビヴァレントが残った。ドミナントは14番手から大外を追い込んで5着、マジシャンは6着、いかにも追い出しが遅れた。それにしてもライアン・ムーア騎手が最新情報⑤で紹介したように、アンビヴァレントを要注意馬に挙げていたのには驚かされる。同馬は英国で50/1、香港では万馬券扱いの馬だった。
そして掉尾を飾る賞金総額1000万米ドルのG1ドバイワールドカップ(AW2000m)、16頭立て。それまでの鬱憤を晴らすかのように、ホスト国UAEの上位独占、19年の歴史の中でゴドルフィン7回目の優勝をアフリカンストーリーで飾った。予想通り、ペースを握ったのはハムダン殿下のムカドラム、アフリカンストーリーは内の好位3~4番手から、4コーナー手前で2番手に上がり、後続を突き放した。
直線残り200mで先頭に立って2分01秒61、ムカドラムが2馬身4分の3差2着、その後ろは4馬身4分の1差が付いて大外からR3で4着したゴドルフィンのキャットオマウンテンが入った。バリードイルのルーラーオブザワールドは直前にオーナーが50%の権利を取って勝負服が変わった。しかし4番手を追走したものの直線はバテて13着、タペタの馬場を攻略することは出来なかった。
香港勢はミリタリーアタックが中団の後ろから見せ場なく10着、アキードモフィードが前団の後ろから流れ込んで5着。日本勢はホッコータルマエが絶好位の2番手で回ったが、最後はバテてしんがり負け、ベルシャザールは中団から早めに脱落して11着。日本のダート馬ではタペタは攻略出来ないことが良く分かる。
因みにムカドラムの半マイル通過は49秒94の平均ペース。タペタを含みオールウェザー競馬は初めてだったが、2000mのG1、プリンスオブウェールズS2着やエクリプスS3着の力がある先行馬だったから成し得た業だった。メイダン競馬場に変わってから、初年度は超スローペースで日本のワンツー、次の年はカーニバルを戦って来たゴドルフィンのワンツー、そして昨年はカーニバル以外のオールウェザー経験馬のワンツーだった。
今年はそのどれにも当たらない新しい組み合わせとなり、DWCの予想の難しさを改めて思い知らされる結果である。優勝したアフリカンストーリーは昨年アニマルキングダムの5着だった。7歳になったアフリカンストーリーにエースのシルヴェストレ・デ・スーザー騎手を乗せて来たのにもそれなりの理由があったのだろう。対照的にハムダン王子のプリンスビショップはスタートのミスが最後まで尾を引いて9着に終わった。
海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。
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